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元捜査一課取調官の実名告発 木原官房副長官報道に新展開

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知っている人は知っているが知らない人は全く知らないという木原官房副長官周りの報道がさらに盛り上がりを見せている。ついに捜査関係者が実名で告発したと文春が伝えている。木原官房副長官側は一時は裁判も辞さないという態度だったが弁護士会に人権救済の申し立てをするにとどまっている。

現在の焦点は「テレビが扱うか扱わないか」だ。テレビが扱えば陥落寸前を意味することとなりこれが「犬笛」になり政権叩きが始まるだろう。このため事態が進展すればするほどテレビや新聞各社は全くこの話題を扱えなくなる。これでは却って国民の知る権利を阻害する。ワイドショーの犬笛化には問題が多い。

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文春の記事はかなりの力作だった。一部が「「オマエなんて、いつでもクビ飛ばせるぞ!」自宅に向かうと木原副長官は怒鳴り…“妻の元夫怪死事件”全容を“捜査一課伝説の取調官”が実名告発!」で読めるのだが本誌の内容はさらに具体的かつ詳細だ。今回の特徴はなんといっても、警視庁捜査一課殺人犯捜査第一係・通称「サツイチ」に所属していた佐藤誠警部補(当時)という人が実名を出して告発しているという点だろう。有田芳生さんが「佐藤さんは28日に記者会見をやる」と伝えている。真偽不明だが今のところ訂正Tweetはない。

妻を犯人扱いされて怒った木原氏が「時間ぐらい守れよ! お前なんて、いつでもクビ飛ばせるぞ!」と恫喝したというのが今回のポイントだ。身内を疑われて憤る気持ちはわかるのだが、職権を持ち出したのはまずかった。その後、理由が告げられずに捜査規模が縮小になったた。このため佐藤さんは「権力が不当な圧力をかけた」と怒っているのだ。

木原官房副長官は当初提訴も検討していたようだが、裁判になればさらに世間の注目が集まるという理由で提訴に踏み切れなかったようだ。結局人権救済の申し立てがなされた。まだ容疑者にもなっていない段階であたかも重要参考人であるかのように扱われたということになる。確かに人権上問題がある。

仮にこれが佐藤さんの作り話だったとすると人権上の問題は極めて大きい。だが話の内容はどうもかなり具体的である。記者会見はテレビでは報道されないかもしれないがおそらくYouTubeなどでは広く出回るのではないだろうか。噂が燻りつつけることになる。

ネットの関心は「なぜこれをテレビが取り上げないのか」というものだ。警察の発表に頼る新聞とテレビの社会部は情報がもらえなくなるのを恐れて手を出せないのだろうという人もいる。だがこれは逆効果だ。

ビッグモーターのケースを考えてみればわかる。当初、東洋経済だけが記事を書いていたがテレビと新聞はスルーだった。確証はないがビッグモーターも損保ジャパンも大口のCMスポンサーである。PR番組と報道番組が癒着した現在のワイドショーでは扱いにくいテーマだ。

だがいったん「当局が入った」となると今度は一斉にビッグモーターと損保ジャパンを叩く報道が始まる。ビッグモーターの前副社長が損保ジャパンの前身会社に勤めていたと報道され、ついに「損保ジャパンに爆弾を仕掛けた」と騒ぎになっている。

このような極端なことになるのは「全く伝えない」と「伝える」の差があまりにも極端だからだ。

誰かが報道を始めると遅れるなとばかりに報道が氾濫する。だからワイドショーが伝えたことに意味が出てしまうのである。情報隠蔽はダムに水を溜め続けるのと同じ効果がある。木原さんの問題についても「面倒な問題なので扱わない」という姿勢は好ましくない。あくまでも両論を伝え判断は視聴者に委ねるべきだろう。確実な情報しか出しませんではいつまで経っても視聴者は育たない。さらに言えば根拠不明な報道がネットには溢れている。

今頃岸田総理は頭を抱えているのではないかと思う。岸田総理は「丁寧な説明」が口癖だ。だがワイドショーなどに直接出演すると周りが気を使う。これは官房長官でも同じことである。担当大臣に説明させてもいいのだが省庁がまたがる案件では全ての大臣を呼ばなければならない。マイナンバーカードの場合はデジタル庁、厚生労働省、総務省の代表者がツアーを組んでワイドショーを回らなければならなくなる。すでにその弊害が出ていている。マイナンバーに漠然とした不安を持つ人は多いが間接的な報道による説明では懸念は払拭できない。政府は優秀かつ国民から信頼できるスポークスマンをおくべきだ。

官房副長官は政府の方針をわかりやすく伝えるスポークスマンの役割が期待されている。官房副長官を誰にするのかその人が安心してメディアに露出できる人なのかというのは極めて重要なことなのだ。木原氏を役職にとどめておきたいなら総理大臣が明瞭な説明を指示すべきだろう。政権にとっても国民にとってもこれは重要だ。

実名告発者が出てきたことでこの案件はネットで燻り続けるだろう。今回の佐藤さんの記者会見を伝えるテレビや新聞はないのかもしれない。だがどこかの局が取り上げた時点でそれは「犬笛」になる。隠せば隠すほどその反動は大きなものになると我々はビッグモーター報道から学んだ。

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