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吉岡雄三駐ポートランド日本総領事が街角でホームレスに襲撃される

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アメリカ合衆国西海岸にあるオレゴン州ポートランドでアジア系の男性がホームレスに突き飛ばされた。たまたまそれが吉岡雄三・駐ポートランド日本総領事だったことがわかり日本で新聞記事になった。アジア人ヘイトだとされており犯人は「偏見犯罪(a bias crime)容疑」などで逮捕された。この記事の最も大きな問題は「そもそもこの手の犯罪はニュースににならない」という点にある。アジア系ヘイトはそれくらい当たり前の出来事になっている。今回これがかろうじて報道されたのはたまたま被害者が高位の外交官だったからだ。

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これが記事になったのは7月19日なのだが事件が起きたのは6月17日だった。総領事が軽症だったこともありすぐには記事にならなかったようだ。吉岡総領事は「この出来事でポートランドのイメージが変わるようなことはない」というような意味のことを言っている。あくまでも穏便に済ませたい考えのようだ。

アメリカのアジア系ヘイト急増(surge)で検索するとNBCの記事が見つかった。2022年2月15日のものだ。ヘイトクライムセンターという団体のまとめでアメリカの主要都市で反アジアのヘイトクライムが前年比339%増加しているそうだ。ただしもっとも狙われているのはアフリカ系アメリカ人(黒人)である。この記事はアジア系ヘイトの原因を「パンデミック」を一つの原因としている。つまり新型コロナウィルスが中国から来たという風評がきっかけになっていると示唆していることになる。

だが本当にそんな単純な問題なのか。

続いて「なぜアメリカでアジア系に対するヘイトクライムが増えているのか?」も検索した。New York Timesの記事が見つかるには見つかったのだが、状況は意外と複雑だ。そもそもアメリカは経済的に地位が低い民族集団が「さらに地位が低そうな」民族集団をターゲットにするという歴史がある。あまりにもありふれているため「そもそも何がヘイトクライムに該当するのか?」という定義づけすら難しいようだ。記事には長々といろいろなことが書かれている。だが「結局どうするべきなのか」はよくわからない。

「アジア人はおとなしい」と思われているため、女性や高齢者のアジア人などはターゲットになりやすいのだろう。

地元テレビ局がこの件について伝えているYouTubeを見つけた。Japanese diplomat targeted and assaulted in downtown Portlandというタイトルになっている、最後に「そもそもこの手の犯罪は報告されないケースもある」と言及されている。つまり今回はたまたまターゲットが「外交的に偉い人」だったからそれなりに扱われた可能性が高い。

この問題を語るのに避けて通れないのが軽犯罪に関する取り扱い問題である。今回の加害者にはアジア系ヘイト行動の前歴があった。一応所定の手続きで処理されたのだが結局ストリートに舞い戻り同じようなことをやって捕まっている。

治安の悪い地域ほど警察の取り締まりが過激になる。当然ターゲットになるのは有色人種である。このため民主党が強い地域ほど「警察の予算を減らせ」とか「軽犯罪を犯した人には寛大な対処をしろ」などと主張されることになる。治安対策よりも人権への配慮が重要視されている。

だが、この主張は結果的に犯罪を行う人たちを増長させることが多い。すると刑務所の施設では裁ききれなくなるため「軽犯罪はすぐに釈放する」というような措置がとられることが増えている。するとますます犯罪者が増長する。このため「人権に配慮した処遇」そのものが政治問題になってしまうのである。Quoraでこの件について紹介したところ「全ては民主党のせいだ」と煽るコメントがつき、それに続いて「ポートランドの治安は良く、当局はうまくやっている」という地元在住者の擁護コメントがついた。

今回のケースではわざわざ「容疑者はいまだに拘束されている」などと言及されているのはおそらくそのためだろう。

別の記事によるとホームレスは2件のアジア人を襲撃していたことがわかっている。2022年8月には76才のアジア系の老人を襲って首を絞めている。また2021年8月には赤ん坊を連れた母親をチャイナタウンで襲撃している。

ryuchellさんの問題に絡めて「SNSで自分より弱い人を見つけて叩く人が増えている」というような話を書いた。ryuchellさん問題を消費していると考える人もいるだろう。困窮している人がさらに自分より弱そうな人を犠牲者に選ぶという意味では共通した構図があるのだと感じる。治安の悪くない日本では現実に人が襲われることは多くない。だから人目につかないSNSがかえって荒れるのかもしれない。つまり日本の精神的治安もそこそこ荒れているということだ。

さて、ここまでホームレスの詳細については書かなかった。ここまで読んだ人には頭の中にイメージができていると思う。

容疑者のホームレスは23才のアリッサ・ジーン・ミニョン・ロビンソンという女性である。住所記録がないことからホームレスだったと報道されている。アジア系の女性と老人を狙っていたが野放しになっていた。おそらく多くの人が持っているホームレスのイメージとはかけ離れているのではないかと思う。調べた限り人種について触れたものはなく顔写真も報道されていないようだ。

若くて将来展望が見えない女性が中華街で子供連れの母親が押しているベビーカーを蹴って「わざとやった」といっている。もちろんアジア系ヘイト犯罪はいけないことなのだが、どうしても「彼女はどうしてそんなことをやったのだろうか」ということも気になってしまったが、おそらくそれが報道されることはないだろう。

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