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アメリカ人は日本人をどう見ているか

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最近、国連絡みで日本人が大騒ぎをしているニュースを二つ耳にした。一つはユネスコが南京事件(大虐殺)を「認定」したというもので、もう一つは、日本の女子高生の13%が性的に搾取されているというレポートだ。日本人は中国人や韓国人が日本をどう捉えているかということにはたいした関心はないのだが、国際社会(つまり、欧米の事だ)が日本をどう思っているのかということを異常なまでに気にする傾向がある。
では、実際に日本人は西洋人からどのように見られいてるのだろうか。アメリカの例を考えてみたい。
よい点として、東洋人は一般的に「賢い」と見られている。東洋系の民族は子供を熱心に教育することで知られているからかもしれない。
しかし、悪く見られている点もある。第一に日本人は何を考えているのか分からない人たちだと考えられている。いったん「イエス」と言っても「訳の分からない言語」で「こそこそと」話し合い、結論を変えてしまう。スターウォーズにでてくる異星人(訳の分からない言語を話す集団)は日本人を揶揄しているのだと考えられる。西洋人は「フェアでストレートフォワードだ」という自己認識に基づく。日本人から見ると、西洋人には文脈(コンテクスト、所謂「空気」)を読み解く能力がないように見えるが、コンテクストに依存しない人たちはこれを薄気味悪いと感じるのだ。
東洋に詳しい人たちの中には、日本人は沖縄人(Okinawan)を差別しているという認識を持った人たちもいる。日本人の多くは沖縄県民を「日本人だ」と認識しているのだが、民族問題に詳しい人たちの中には「日本人は少数民族を差別している」と考える人たちもいるのだ。沖縄どころか、韓国や台湾の位置も答えられないアメリカ人も多いはずで、認識は二極化しているといってよいだろう。
それよりも一般的なのが、日本人男性は女性を所有物だと思っているというものだ。日本人は「アレンジメントマリッジ(お見合いの訳語だ)」をし、渋谷のセンター街(最近はこれが秋葉原になった)で女子高生を買っているというのは割と一般的な認識だ。
ラスト・サムライでは女性は従順に描かれているが、これは女性が男性の所有物だと信じられているからだ。また、女体盛り(裸になった女性の上に刺身が盛りつけられている)というのも割とよく知られているのではないか。日本人の男性は妻を支配し、外ではお金を出して女を買うのだという認識があるのだろう。
こうした認識が一般的なため、アメリカにいる日本人はステレオタイプを否定するような言動を見せる必要がある。日本人同士で話すときには「日本語でごめんなさい」と予め断りを入れる。頻繁に自分の気持ちを言葉にする。そして「自分が女性を平等に扱っているか」をひけらかすように話すのだ。
「沖縄人というのは存在しない」と否定するのは逆効果で、民族としての沖縄人に理解を示しているという言動の方が受け入れられやすい。「沖縄人」をいう言葉を知っているだけで、国際通だという自己認識があるのかもしれない。その知識を否定すると、やっきになって反論される場合があるのだ。
同じように「日本人は女性を差別していない」とか「女子高生搾取は存在しない」などと主張するのも逆効果なのではないかと思う。彼らの認識に合わせると「親の世代にはそういうこともあったが、今の世代は教育されている」と言った方が受け入れられやすいはずだし「政府はこのような対策を取っている」と具体的な施策を使って反論した方がいいだろう。相手は「日本人をよく知っている」という自己認識を持っているので、反対の主張をすると、整合性を取る為にリアクタンス(抵抗)が起こるからだ。
さて、このような話をすると「日本人は差別されている」とか「間違った認識は恥だ」と考える人が出てくるのではないかと思う。
しかし、こうした疑念を持たれているのは日本人だけではない。「白人は黒人や東洋人を差別している」と考えられている。このため、白人男性は自分がいかに人権意識を持っているかということを喧伝しなければならない。こうした言動は「ポリティカルコレクトネス」と言われる。最近ではポリティカルコレクトネスに疲れたアメリカ人も多く「非政治家系」の大統領候補を支持している。
こうした現状を知らない人は「正しく説明すれば必ず分かってもらえるはずだ」と考えるかもしれないのだが、いったん染み付いた認識というのは、例えそれが思い込みであったとしても、そう簡単に覆ることはないのだ。


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