アメリカでは債務上限問題が話し合われている。共和党が議案を通さない限り「共和党が大惨事をもたらした」といわれかねない。つまりどっちみち下院共和党は議案を通す必要があった。ところが一時議会共和党は学級崩壊状態に陥った。下院共和党を教室に例えると一部の生徒が「机をバンバン叩いて存在感を示している」というような状態だ。このため「先生」にあたるマッカーシー議長はFOXニュースで国民に支持を訴えた。
結局離反の動きは広がらず議会採決に持ち込まれた。今後数時間のうちに採決される予定だ。
これまでの動きをおさらいする。バイデン大統領の諸政策を潰すために共和党は債務上限問題を人質に取り歳出削減を要求した。大統領は要求を飲まざるを得なくなり「2年間は歳出を削減します」という約束をしている。つまりこれは「共和党の勝利」になるはずであった。
ところが現地時間の午後7時(東部時間)になっても「規則委員会がまとまった」というニュースは流れてこなかった。規則委員会を通過しなければ議決ができない。そればかりかマッカーシー議長が「保守御用達」のFOXニュースに出演し「自分のディールへの支援」を呼びかけていた。
問題は解決するはずなのだが、どうしてこんな騒ぎになるのか。埋没を恐れた一部の極端な人たちが大騒ぎしていたのである。
Bloombergが共和党議員の反応を書いている。一時「学級崩壊状態」に陥っていたようだ。教室の後ろの方で机をバンバンと叩いて「俺はこんなのは認めないぞ!」と叫んでいる生徒が数名いるような状態に見える。
騒いでいるのは急進派の「フリーダムコーカス」の人たちである。チップ・ロイ議員は下院共和党は合意によって「共和党は引き裂かれた」と言っており「何が起きても報いを受けることになるだろう」と言っている。Bloombergはこの「報い」という言葉をタイトルに持ってきている。
ロイター通信も「強硬派の一角」が対決姿勢を鮮明にしていると言っている。
このフリーダムコーカスと呼ばれる人たちは共和党では少数派に過ぎない。実際にチップ・ロイ議員は「何が起きても」と言っている。つまり、議場(the Floor)に降りれば法案は可決されるのだろう。
ただチップ・ロイ氏は単なる不良生徒ではない。彼は「規則委員」のメンバーなのである。規則委員会は共和党9人民主党4人で構成されるそうだ。過半数は7人になるので共和党から3名離反すると議長の要求が通らないことになる。既に彼の他にもう一名の離反者がおり「3人目が出てくるか」に注目が集まっていた。
CNNによると、ロイ氏は「共和党側の委員が全て賛成しないと議案を通さない」とする紳士協定が既に結ばれているとした上で
規則通りに行ったとしても7名が賛成しないと議案は通らないと仄めかしていた。
すでに2名が反対表明しているため「あと一人が造反すると議案が議場に降りない」ということになる。マッカーシー議長の仕事はこの1名を離反させない点にあった。
結局、規則委員会の造反は失敗に終わった。民主党は慣例に従って議長提案に賛成しなかったため共和党側から2名の造反者が出たことがわかる。
米下院議事運営委員会は30日、連邦債務上限を一時的に停止する法案の審議入りを7対6の賛成多数で承認した。法案は本会議に送られ、31日にも採決される。
マッカーシー議長は議長の椅子と引き換えにこの重要な委員会にフリーダムコーカスの議員を取り立てた。このため少数派に活躍の場ができてしまったのである。またこの先も議会が大統領と協力しようとするたびに彼らは騒ぎを起こすだろう。
最新の情報では下院での採決は間もなく行われることになるようだ。
議長は「議案は可決される見込み」としており、この後上院で審議されることになる。上院は民主党がかろうじて支配権を維持しているため民主党側から造反者がでないかぎりはすんなりと通過するであろうと見られている。
バイデン大統領とホワイトハウス側はXデーの5日までには問題は解決されるであろうとしている。
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