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東京都で公明党と自民党が落とし所のない「全面戦争」に突入。最後に泣きを入れるのはどちらか?

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東京都で自民党と公明党が全面戦争に突入した。「落とし所」がなさそうな「決別の最終宣言」だが連立関係は維持されるという。つまり「最後に泣きを入れるのはどちらか」というような事態になっている。公明党の石井幹事長は「協力関係は地に落ちた」と「激おこ」だ。永田町では早期解散論が出ていたそうだが危機的も早期解散論者たちも頭を抱えているのではないかと思う。

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公明党は仏教系の信徒団体である創価学会に支えられた政党だ。もともとは東京や大阪などの都市の地方議会に政治家を多く送る政党であり「憲法第9条護憲政党」としても知られている。創価学会は戦後農村から出てきた人たちを中心に信者を増やしてきたが2世3世と進むにつれ政治離れが進んでいる。つまり公明党は支持母体維持にとても苦労している。特に大阪府・大阪市では維新の躍進を許した。このため、今回の騒動では「なりふり構わぬ党勢拡大に打って出た」などと解説されることが多いようだ。

公明党と自民党の関係は菅義偉元総理と創価学会とのパイプに支えれれてきた側面がある。安倍政権時代の安倍総理と山口那津男はあまり仲が良くなかったと言われているそうだがその間を取り持ったのが菅義偉幹事長だったと言われている。一方で菅義偉氏も創価学会とのパイプが力の源泉になっていった。しかし最近では「創価学会と本音で話ができるのは菅さんだけ」という状態になっていたようだ。

この個人的なパイプを引き継ぐ人がいなかったようだ。現在の都連の会長は萩生田光一氏である。清和会・安倍派は安倍元総理の個人的人気に支えられており現在でも自民党の最大派閥である。だが、安倍派には明確な後継者がいない。萩生田氏はさまざまな手段で頭角を示そうとしているが思うようにいっていない。

現在三つの変化が起きている。

  • 菅義偉氏が表に出なくなり公明党と自民党の間で調整ができる人がいなくなっている。
  • 公明党は党勢の維持をかけて東京でのプレゼンスを増したい。
  • 萩生田氏は安倍後継として強い態度で東京都連をまとめたい。

結果的に衆議院選挙において新設された28区(練馬区東部)を「どちらのシマ」にするかで利権争いが起きた。自民党東京都連側は「この戦いに負ければ公明党に良いようにされる」と勇ましい意見が多かった。萩生田さんはこの勢いに引くにに引けなくなったようである。

読売新聞によると22日の会合は非公開だったが「公明の要求を簡単に飲めば、党全体が公明のいいなりになってしまう」などの声がでた上で「萩生田さんに一任する」ということになった。

一方で公明党もかなり喧嘩腰だったようだ。足立区の区議選で「公明党の候補者13人が全員当選」し、自民党は19人中7人が落選した。つまり公明党の協力がなければ選挙に弱い候補者は負けてしまうという「実績」を示したのである。

今回、茂木幹事長との会談の後で石井幹事長は「自民党との協力関係は地に落ちた」と言っている。この異例の怒りがマスコミの注目を集めた。24年の連立で「最悪」の事態だからである。各局が盛んに取り上げている。いずれもYouTubeで見つけた動画だが「全面戦争」などという派手な見出しになっているところもある。

表向きの主語は自民党になっているのだが、実際にはそれが誰だったのかということになる。

今回「東京の話」で公明党が怒っているわけだから、怒らせたのは萩生田さんということになる。連立は維持したままで「選挙では協力しない」という選挙区が増えるとどうなるのかは火を見るよりも明らかである。萩生田さんのせいで選挙に弱い人が落ちてしまうということになってしまうだろう。そして茂木幹事長と森山選挙対策委員長は萩生田さんをいなすことも石井さんを慰撫することもできなかった。

話が複雑なのは、公明党幹部は実質的には創価学会の「お使い」であるという点である。つまり実際に萩生田さんが怒らせたのは創価学会ということになり創価学会とパイプがあるのは菅義偉さんだけということになる。

創価学会と萩生田さんの関係はあまり良くないようだ。創価大学が八王子にあり八王子は萩生田さんの地元である。だが萩生田さんは統一教会との関係が深いと指摘されている。生稲晃子候補(当時)をつれて統一教会関連施設を訪れていたこともわかっており創価学会としては「蔑ろにされている」という気持ちがあるだろう。

このため北側一雄中央幹事会長が「萩生田さんは統一教会問題で説明すべきだ」と怒りをあらわにしていた。だが萩生田さんは「統一教会と手を切る」とは言わなかった。

一方で大阪市長選挙・府知事選挙などでは維新と自民党の関係も構築できなかった。自民党内で公明党・創価学会と是々非々の関係を気づいてきた二階・菅両氏と現在の執行部の間に意見の相違があるなどと伝えるメディアもある。

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今後「自分は選挙に強いか弱いか」で公明党との関係をどうしたいかが決まってくるだろう。今回の早期解散論は主に選挙に弱い人が「G7で支持率が高いうちに選挙をやってほしい」と考えたところから始まっている。この早期解散が今回のゴタゴタで潰されるようなことがあれば選挙に弱い人たちの怒りの矛先が東京都連に向かう可能性があるということになる。

今後国会が進むにつれ維新の選挙準備が整ってゆく。子育てでは社会保険料が上がることがわかっている。さらに秋になれば防衛増税の話が始まる。つまり選挙に弱い自民党議員たちはどんどん増えてく流ことが予想される。

最後に「泣きを入れてくる」のが誰になるのかに注目が集まるが「大阪政界の」の記事が正しければ、創価学会と自民党の間を取り持ってくれる人はもう誰もいないかもしれない。

憲法改正で異議を申し立てる落ち目の公明党など切り捨ててしまい、維新や国民民主党と組めば良いではないかという声がある。しかし実際には自民党の議員の中にも創価学会に依存している人たちがいる。その影響は一様ではない。

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Comments

“東京都で公明党と自民党が落とし所のない「全面戦争」に突入。最後に泣きを入れるのはどちらか?” への2件のフィードバック

  1. はくりゅうのアバター
    はくりゅう

    日本の政治家達、なんと志の低い事、己らの私利私欲だけの道具でしかないのか。
    日本の進むべき道を企業は示しているにも拘らず、その意味を汲み取れず、先行している知的分野を政治的に後押しもせず、外国勢に足元を掬われている現状を理解できないとは嘆かわしい。

  2. 自由民主党岩盤支持層3割、公明党との連立解消を大いに喜んでいるが。

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