ブラジルで大統領選挙が終わり左派のルラ候補が僅差で勝利した。この選挙はデマとの戦いだった。ボルソナロ陣営は今のところ新しい情報発信は控えているが、デマとの戦いは今も続いている。
SNSでは虚偽の情報が飛び交っており当局はソーシャルメディアから不正確な情報を削除しようとしている。CNNによるとボルソナロ氏陣営の方が多く取り締まられる傾向にありボルソナロ氏の支持者たちは「検閲である」と批判しているそうだ。
CNNによると教会が関与している点にブラジルの特徴がある。両陣営ともにキリスト教会を取り込もうとしており宗教指導者たちは「選挙による救済」を公然と説教していると。宗教的な価値観と「真実」が交わっているため人々の信念はより強固なものになっているのかもしれない。
SNSにより宣伝合戦はどちらの陣営も行っている。ボルソナロ氏の成人の息子たちも虚偽の情報発信を行なっていて、特に新型コロナワクチンについて虚偽の噂を広めたと非難されている。YouTubeとFacebookはワクチンとエイズについて間違った情報を含んでいると認定しこの情報を削除したという。
BBCによるとボルソナロ氏はこの件で捜査対象になる可能性がある。ブラジルの新型コロナによる死者は60万人を超えておりアメリカ合衆国に次いで二番目に多い。ブラジル上院特別委員会はボルソナロ氏が対応を誤ったとして大統領を訴追すべきだと結論づけている。報告書は検察長官に送られたが刑事訴追につながるかどうかはまだわからない。アラス検察長官はボルソナロ氏に任命された「大統領派」である。
トランプ氏はボルソナロ氏を擁護しているが、同じ「表現の自由主義者」としてボルソナロ氏に共感しているのだろう。トランプ氏は左派のルラ氏を急進左派の変人と決めつけ攻撃し続けている。
ブラジルでは自分達の意に沿わない選挙は「盗まれた」と信じている人たちが多い。今回はトラックドライバーたちが選挙結果に憤りを感じており各地で道路封鎖をおこなっている。
今回ドライバーたちが何を根拠に選挙が盗まれたと考えているのかは不明である。New York Timesはボルソナロ氏が「盗まれた選挙」という神話を作り上げたのかという特集を組んでいる。要するに繰り返し「選挙は盗まれている」と一貫した主張を繰り広げてきたというストーリーになっている。
ブラジルのトラックドライバーたちはボルソナロ大統領によって直接の恩恵を受けている。ボルソナロ政権下でディーゼル燃料の引き下げが行われたのだ。トラックドライバーたちはサンパウロから国際空港に向かう道が占拠した。当局は占拠者に20,000ドル近くもの高額な罰金を科すとしている。だがm実は高速道路交通警察の中にもボルソナロ氏のシンパがいるようだ。多くの地域では交通妨害が撤去されたが、まだ撤去されていないところもあるようだ。ABCやBBCなどが伝えている。
こうした交通ストライキがどれくらい続くのかはわからないがABCは2018年には11日にわたってストライキが起こり物流が麻痺したと書いている。
CNNによると選挙結果を認定するのは最高裁判所でありボルソナロ氏が敗北を受け入れる必要はない。だが敗北を認めなければ支持者たちは妨害行為を続けるものと思われる。
ボルソナロ氏は政権移行には協力すると述べたが自身の敗北については言及しなかった。AFPとロイターが伝えている。政権移行は1月1日の就任式まで2ヶ月かけて行われる予定だ。選挙は終わったが決してみんなが納得できる結果にはなっていない。
このニュースはアメリカなどの英語圏ではかなりの関心を集めている。トランプ大統領の負けを認めない姿勢が結果的に議会襲撃というショッキングな出来事に結びついたことを鮮明に覚えている人が多いからだろう。表面的には秩序を守ると言っておきながら裏では支援者たちに過激な行動を消しかけた疑いが持たれている。同じようなことがブラジルでも起きるのではないかという懸念があるのだ。