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ボリス・ジョンソン氏の乱入で「同じ間違い」をまた繰り返しそうなイギリスの次期首相選び

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イギリスで興味深い政治ショーが続いている。お騒がせ男のボリス・ジョンソン前首相が表舞台に再登場し「また首相になるのでは」などと言われているようだ。「今回は党員投票はない」と思っていたのだが、候補者が複数出た場合最終的にはオンラインによる投票が行われるという。世論調査では党員の間ではジョンソン氏の人気の方が高いため保守党はまた同じ間違いを繰り返すのかもしれない。

結局、ジョンソン氏は出馬を断念し「同じ間違い」は繰り返されずに済んだようだ。各局が速報で伝え始めている。

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イギリスでどたばたの首相選びが続いている。今回は保守党国会議員100人の賛同を集めなければならないがこのラインに到達したのはリシ・スナク氏だけだ。24日までに他の候補が100人を集めることができなければ自動的にスナク首相が誕生する。ハント財務大臣が続投するかはわからないが緊縮財政派の内閣が誕生するのは間違いないだろう。金融市場関係者は胸を撫で下ろすだろうが大胆な財政出動と減税を期待する国民には不満が残る内閣になりそうだ。

ところがここでボリス・ジョンソン氏が再登場した。イギリス政界や経済は大混乱していたがカリブ海で休暇を満喫中だったそうだ。パーティーゲートを全く反省してなさそうなところにジョンソン氏の人柄が現れている。これがある意味人気の秘密であり嫌われる理由でもあるのだろう。

ジョンソン氏周辺は「自分たちも100人集めた!」と主張しているようだ。自分を大きく見せたいというのもジョンソン氏の性格をよく表している。実際にBBCが確認したところその数は56人にとどまっているそうだ。スナク氏は136人集めているのでこれではジョンソン氏は立候補できないのだが「何となく自分達を大きく見せて勢いを維持したい」と考えているのかもしれない。スナク氏はジョンソン氏と面談しその真意を確かめようとしているという。

BBCによると候補者が1人の場合はその人に決まる。だが、3人の場合は国会議員が選挙して1人を落とした上で2人を全国の党員のオンライン投票にかけるのだという。

「今回はスピード重視のために投票投票は行われない」とどこかで書いたなと思ったが、やはり最後は全国の党員に決めてもらうというスタンスは守るようだ。

国会議員が「スナク氏やハント氏が主張する改革は不可避だろう」と考えたとしても、党員はそれとは違った判断をするかもしれない。つまりトラス氏を決めた時と全く同じことが再び起きようとしている可能性がある。ジョンソン氏を選んだとしてもパーティーゲートのようなことがまた起きるだろう。

既に出馬表明しているモーダント氏が23人しか支持者を集めることができていない。だが仮にモーダント氏がジョンソン陣営につけば100人弱というところまで手が届く。国民に人気が高い(同時にアンチもたくさんいる)ジョンソン氏に乗ろうという国会議員が増えれば、あるいは大騒ぎした末にジョンソン首相再登板という可能性が出てきた。このためモーダント氏の動向にも注目が集まっているそうだ。モーダント氏はジョンソン氏と話していないと否定している。

BBCは「保守党の下院議員357人のうち、支持候補を公言しているのは215人」と書いている。ジョンソン氏人気で議員になった人も多いはずで様子見をしている人たちがかなりいるのだ。

ただジョンソン氏が本当に首相になりたいのかは実はよくわからない。BBCは「誰が好き好んで首相になりたいのか」というような記事を出している。今度就任するイギリス首相は国民に不人気な政策を採用しなければならない。だから今首相になってもあまり旨味はないだろうということだ。自国の政治状況をここまで突き放して考えることができるというのがイギリスのジャーナリズムの強みなのかもしれない。

この分析が正しいとすると、ジョンソン氏は単に「自分にはまだ人気がある」ということを示すためだけにカリブ海で休暇を切り上げて戻ってきただけなのかもしれない。政治に縁のない庶民には全くわからない感情だが政治的に注目を浴びるということには抵抗し難い麻薬的な快感があるのかもしれない。

この記事をリリースした時には「まだわからない」状態だったが結局ジョンソン氏は出馬を断念したようだ。各局が伝え始めている。TBS NewsDigや時事通信の速報によると100人を集めたと主張しているようだが実際には60名程度の支持者しか集められなかったものと見られている。

日本と同じ議院内閣制のため多くの国民はおそらくこの首相選びを冷めた目で見ているのではないかと思う。次回の選挙は厳しいものになるだろうと時事通信が分析している。

いずれにせよ具体的な問題が全く解決しないままリーダー選びのショーだけが面白おかしく進行しているというのが今のイギリスの現状である。他国の政治状況なのでまだ落ち着いて見ていられるのだが自国の政治状況だったらかなりイライラしているだろうなと感じた。

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