ざっくり解説 時々深掘り

ロシアが金本位制に復帰?

ウクライナ情勢が緊迫化してから10日余りがたった。だんだんウクライナ情勢に飽きてきたのは変な噂が多数立ち始めている。Twitterではロシアが金本位制に復帰するのではという噂が立った。ロシア・ウクライナをめぐる陰謀論について調べて見た。

Follow on LinkedIn

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

|サイトトップ| |国内政治| |国際| |経済|






ロシアが金本位制に復帰

噂はロシアが金本位制に復帰すると闇の勢力に支えられたアメリカが核戦争を容認するようになるだろうというようなものだそうだ。いわゆる陰謀論の一種である。

確かにロシアは金の保有を進めていた。だがおそらくそれはIMF支配を恐れたロシアが自前で経済を回せるようにという意図だったのではないかと思う。ただ、新型コロナ禍で金の価格が急騰したことで金の購入は一時ストップしていた。中央銀行が高値であっても金を再び買い始めたのは2022年2月のことだそうだ。そもそも金の価格は高騰しているのだし国際市場は利用できない。これではとても金本位制復帰に間に合いそうにない。

噂はすぐに消えた。

だが心配なこともある。

VATを免除するという話も出ている。つまり、ロシアは金を売りやすくしようとしているようだ。経済制裁が長引けば国内市場から金を安値で供出させて戦争資金に当てようとしているのかもしれない。一種の総動員体制だ。

経済制裁が始まってからすぐロシア経済は困窮を始めた。デフォルト寸前だという声もあり、ルーブルも暴落している。ロシアの人口は日本よりやや多い1億4千万人程度なので「一億総動員経済」が始まる予感がする。

だが、2019年時点のビジネスインサイダーの記事によるとロシアの外貨準備における金の保有率はそれほど高くない。フランス・ドイツ・イタリア・アメリカなどに引き離されている。つまりルーブルを支えるほどの金は保有していない。

このためロシアは外国に借金を返すにあたりルーブルで返済することもあるとルールを変更した。通貨価値が下落しつつあるルーブルでもらっても嬉しくないとは思うのだが、こうでもしないと外国に借金が返せず名実ともに国家破産(デフォルト)に陥ってしまう可能性が高いのだろう。

なぜロシアはそんな無謀な賭けに出たのか?とも思えるが、今回のウクライナ派兵において経済閣僚たちは蚊帳の外に置かれていたようである。独裁者を放置していたツケが回ってきたとはいえロシア国民は何の抵抗もできないままに総動員体制に駆り出されたことになる。まさに戦前の日本と同じような状態だ。

アメリカの極右支持はバイデンの陰謀

さて、前回アゾフ連隊について書いた。極右傾向があるアゾフ連隊への支援を一時止めたにも関わらず国防総省の圧力で援助が復活したという話である。

おそらくは国防総省がウクライナ情勢に対して興味がないトランプ政権が倫理を度外視した作戦を容認したのではないか。ウクライナ情勢に全く興味がないトランプ政権は支援中止をほのめかしぜレンスキー大統領を脅かしていた。結局この支援はトランプ政権の末期かバイデン政権になって中止になったようだ。

これについて質問をしたのだが、当然アメリカサイドの人たちはこれに答えたがらない。唯一、バイデン大統領は息子を通じてウクライナに利権を築こうとしていると主張する答えが返ってきた。

支援中止撤回の主語は国防総省だがこの回答者の主語はバイデンになっている。これについて指摘しようかなと思ったのだがやめてしまった。この手の主張は「実は彼らは闇の勢力を通じて繋がっているのだ」という謎の展開になることが多いからだ。この時に主語として用いられるのがDSである。Quoraは陰謀論を削除する傾向にあるのでディープステートをDSと略する傾向にあるようだ。隠語にすれば引っかからないだろうということなのだろう。

ただしこの話も辻褄が合わない。バイデン政権がウクライナの西洋化を推進していたのなら最近になって支援撤回をした理由がわからないのである。ディプステートに従ってウクライナに支配地域を作ろうとしてきたのなら闇の金融界はこぞって戦争を援助するはずだ。つまり、バイデン大統領が「ウクライナに派兵しない」と明確に宣言しロシアの進行にお墨付きをあたえるということの説明もつかなくなる。

一端で辻褄を合わせても全体の整合性は取れない。

ウクライナを利用しようとしたが手に負えなくなって見捨てたアメリカ

これについてはもっと整合的な説明をしようとしている人がいる。中国問題に詳しい遠藤誉さんだ。文章自体はかなり興奮した調子で書かれており「あれ、遠藤さん大丈夫なのかな?」と心配にはなる。また議論の最後にはアメリカは中国と戦争しないだろうから日本を見捨てるのではないか?というようなことを書いている。

ただ、ウクライナ情勢については論理的に整合性のある味方をしている。

もともと息子を通じてウクライナに繋がりがあったバイデン大統領はウクライナ情勢に過度に介入した。具体的にはポロシェンコ大統領を操りNATOに接近させていた。さらにプーチンを刺激し「悪者」にするためにプーチン大統領が怒るのがわかっているジャベリン砲を設置したりもしている。つまりバイデン大統領は副大統領時代からウクライナ情勢を煽り続けている。

プーチン大統領が悪魔の表面だとすればジョー・バイデンは副大統領時代から悪魔の裏面である。

プーチン大統領は議会をまとめるために外に悪者を作ろうとしてたのは間違いがないだろう。このためしきりに中国を非難し新疆ウイグル問題を持ち出してきた。さらにここにプーチン大統領が入ってくれればさらに「面白い」展開になるだろうと考えたとしても不思議はない。

おそらく「アメリカから離れた場所で多少混乱が起きていたほうがアメリカに都合がいい」という気持ちがあったはずだ。それが新疆ウイグルでありウクライナなのだ。と同時に「少々刺激を加えても大したことにはならないだろう」という侮りの気持ちもあったのではないかと思う。これが例えば極右勢力を利用したりウクライナの大統領に西側への接近を勧めるという姿勢になって現れている。

だが実際に起きたのは「明日は核兵器かもしれない」という事態である。状況が収拾不可能だとみるやいなやアメリカはさっさと逃げ出してしまった。結果的に100万人以上もの難民が出る騒ぎになっている。

陰謀論など持ち出さなくても説明できることはたくさんあるのだが、この手の話はやはり居合が地味だ。どうしても華やかな陰謀論に惹きつけられてしまう人が多いのだろうということがわかる。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です