Quoraで面白い話を教えてもらった。アリゾナ州の議会共和党がサイバー・ニンジャ社という会社に選挙の監査をさせたそうである。監査といってもオフィシャルなものではない。アリゾナ州ではすでに何度もオフィシャルの監査が行われているがバイデン大統領側の不正は証明されていない。サイバーニンジャ社はトランプ大統領の支持者だったそうである。
ワシントンでは議会襲撃の調査が妨害された。下院では通ったが上院では共和党からは数名の賛成者しか出なかったそうだ。中でも深刻なのは態度を表明できなかった人が9名もいたことだ。議席を持っているのに態度表明できない議員がいるのだ。
もちろん民主主義のプロセスに異議を唱えることで民主主義の正当性そのものが破壊されるという由々しきことなのだが、実際には複雑な背景がある。
民主党支持者は共和党支持者を知的に見下す傾向があった。中でも有名なのはアル・ゴア候補のため息事件である。議論が稚拙なブッシュ候補に対して見下すような態度を度々見せた。このことが反感を買いアル・ゴア候補はブッシュ候補に追い上げられた。最終的に疑念のあった裁定を受け入れたこともありアル・ゴアは大統領になれなかった。
知的に見下されて来た共和党では「論理的にはめちゃくちゃでもいいからとにかく議論に勝てればいい」という人たちが増えてゆく。そうして最終的に生まれたのがリアリティショータレントだったトランプ大統領である。
バイデン政権は国際的にこうした見下しを輸出しようとしている。相手になっているのは中国やロシアである。中国は人権的に遅れておりどうしようもない国なのだからアメリカが正しい態度を教えてやらなければらならないという価値観を押し出し同盟国を巻き込んでゆく態度だ。
新疆ウイグル自治区では大勢の親子が引き離されている。中国がウイグル人の伝統を抹殺しようとしているからだと言われている。親は再教育できないが子供はなんとかなるという判断があり、イスラムの親から子供を引き離して「正しい中国人」になるために洗脳をしている。彼らはこれをテロ防止の教育と呼び、矯正施設は寄宿舎と呼ばれる。
アメリカの人権を前面に打ち出した対中国包囲網は自分たちの競争優位性を確保するために中国を封じ込めたいという競争意識に基づいている。
ではこれがウイグルの人々の人権向上につながるだろうか。おそらく答えはノーである。かつて民主党が共和党を追い詰めたように中国やロシアも追い詰められてゆくだろう。
共和党の中にも再建派と呼ぶべき人たちがいる。数や勢いの上ではトランプ支持者に勝てないようで、最近では解任騒ぎも起きている。確かに民主党は共和党が自滅してくれた方が優位に立てるのだろうが、議会政治と民主主義への信頼は全体的に破壊されてゆく。おそらく国際政治でも同じことが起こるだろう。
中国を人権的に非難すればするほど一般の中国人はアメリカに対する被害者意識を募らせてゆく。だからこの話題を持ち出すと「アメリカの策謀である」という答えしか返ってこない。実はアメリカの不遜な態度が人権侵害を助長しているのである。
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