ざっくり解説 時々深掘り

国民に忍従を強いるバッハ会長と不平等条約と化したオリンピック招致契約

カテゴリー:

バッハ会長が「日本国民は辛抱強い」と語った。言外に辛抱してオリンピックを支えろと日本人に指示しているように聞こえた。つまりバッハ指令が降ったのである。日本国民の健康に一切の責任を持たないバッハ会長からこのような指令が出たことに対して抗議するメディアはなかった。日本政府も特に抗議はしなかった。まるでIOC植民地のようだと思った。

Follow on LinkedIn

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

|サイトトップ| |国内政治| |国際| |経済|






菅政権の新型コロナ対策が失敗していることは明らかだ。緊急事態宣言の扱いに失敗してしまい国民は政府の言うことをきかなくなった。政権幹部からは日本は緊急時に国民の権利を制限する権力委譲がないから有効な措置がとれないという意見がでてきた。全て憲法のせいというわけだ。

二階幹事長の年末会食の流れは無視されている。二階幹事長は2度目の緊急事態宣言が必要なほど感染者が多くなっていたにも関わらず「自分たちだけはコロナにかからない」と考え自分の権勢を誇示するため菅総理を忘年会に呼び出した。二階幹事長は三回目の緊急事態宣言が出た時にも本会議場でマスクを外したそうである。だが同じことを若者がやれば若者は叩かれる。二階幹事長は国民に指示する側であり国民は無条件でいうことを聞く側なのである。

例年よりも少ないそうだがゴールデンウィークで新幹線の予約は増えたという。国民は政府の言うことは聞いてくれそうにない。人の流れが止められなければおそらく変異種は東京にも広がるだろう。ゴールデンウィークの行動は制限され医療も崩壊する危険性がある。被害を受けるのは政治家ではなく医療従事者だ。

強いリーダーシップも共感もない中、医師や看護婦だけが強い緊張を強いられてきた。それに加えてオリンピックに向けて協力しろと要請されている。ついに一部の看護婦たちが#看護師の五輪派遣は困りますと言うTwitterデモを始めた。

オリンピックを開催するためには新型コロナ対策をしっかりやらなければならない。そのために医療リソースを国民から取り上げるという図式になっている。医者・看護婦・病床などを準備する必要がある。当事者たちは「もうできない」と言っている。当然だろう。

政治家は憲法が悪いからコロナ対策ができないという。だがやっていることはお願いばかりである。黙ってコロナ患者の面倒を見よ、ワクチン接種にも協力しろ、そしてオリンピックにも参加しろというわけだ。

では無観客でやればいいではないかと思う。だがそこにも国民負担はある。実は無観客でチケットが売れなければ国税で補うことになりそうだ。そう言う契約になっていて日本政府は拒否することができないという。もともと政府の場当たり的な対応から始まった無駄な資質とはいえ「民主的なプロセス」で決められているのだから違法なことは何もない。我々は黙ってIOCに保証してやらなければならない。これが契約社会というものである。

チケット収入の900億円が吹き飛ぶそうだ。公費で穴埋めをする必要があるそうだが、東京都ではなく国が支出することになるそうだ。コロナ対策の予備費が流用される可能性が高いという報道があった。ここでもコロナ対策費が削られることになるだろう。

こうした負担を覚悟しても感染の不安が消え去るわけではない。

観客がいなくなったとはいえオリンピックは選手やコーチなどのスタッフを入れなければオリンピックは成り立たない。彼らに十分な医療体制を提供できなければ国際的に「殺人オリンピック」ということになってしまう。チケット代を補償してやり国家の体面のために嫌がる看護師たちを動員しなければならない。どこまで尽くせば、そしてどれだけ我慢すれば支配者たちは許してくれるのか?という気持ちになる。

思えばこれまでも中間搾取と思われることはたくさんあった。

国民や医療関係者に対する補償が抑制されるなかで、オリンピックにだけなぜか金が出てゆく。例えば使いもしないスタジアムを建てたゼネコンは丸儲けだ。また広告代理店も大儲けしたことだろう。人件費も守秘義務があり開示できないと言われているそうだが、派遣会社が大儲けしているのだという観測もある。丸川大臣は守秘義務があるから答えられないと言っているが、知らないはずはない。騒ぎになるのを恐れているのだろう。

だがバッハ会長は知っている。従順でおとなしく団結できない日本人は黙って搾り取られ続ける。日本人の健康にも財政にも責任を持たないバッハ会長は「日本人は粘り強い」から大丈夫だと言っている。日バッハ会長は正しい。これはあくまでも合法的な契約であり、オリンピックを欲しがったのは日本側である。

これほど容易に「盗み」を受け入れる国も珍しい。よその国なら暴動が起きていたかも知れない。IOCがリスクを負わない上に実質的に国がコミットする不平等条約が一私的団体と結ばれている。

国民一人ひとりが「もうたくさんだ」と言って投票行動に結び付けず抗議する人たちの足を引っ張り続ける限り我々は搾り取られ続けているしこれからも搾り取られ続ける。

だが私はオリンピックはやるべきだと思う。

新型コロナウイルスは抗議もしないが忖度もしない。医療崩壊が起こり、自宅でたくさんの重症患者が亡くなり手術の受け入れ先がなくガンの患者たちがなくなってゆく中でオリンピック選手だけがファーストレーンで医療を受けているというような状況を見てみたい。国家プロジェクトに踏みつけれても黙って耐えるしかない。

そうなれば、おそらく日本人は永久にオリンピックを忌まわしいものとして記憶することになるのではないか。これくらいのことが起こらなければ日本人の目は覚めないのかも知れない。それでも誰も抗議しないなら我々は黙って耐え続けるべきだろう。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です