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梅村みずほ議員秘書逮捕で感じた政策なき政治の限界

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梅村みずほ参議院議員の秘書が逮捕されたそうだ。容疑は殺人未遂だという。秘書には政策を担当し資格が必要な政策秘書と、国費から歳費が支給されるが資格が必要ない公設第一・公設第二秘書がいる。成松圭太容疑者は公設第一秘書だったそうだ。

公設秘書というキーワードで新興勢力の議員さんについてまとめてみたのだが、まあどれもひどい話ばかりである。個人商店的に発展した日本の議会政治はこうした公設秘書たちを排除できない。

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成松容疑者の起こした事件において「殺人未遂」はおおごとだが、緊急事態宣言が出ている大阪で幼馴染と深夜午前3時に酒を飲み騒ぎを起こしていることから、あまり公費で食べさせてもらっているという意識はなかったように思える。

ではこれで梅村さんの評判に傷がつくのかと思うのだが、あるいはそんなこともないのかもしれない。梅村さんという名前を何処かで聞いたことがあるなと思い調べて見たのだがこんな記事が引っかかった。「お天道さまが見ている」発言である。質問中に突然脈絡のないことを言い出し「この人は大丈夫なのか?」と思った記憶がある。

調べてみるとこれは立憲民主党の小西洋之議員を揶揄したもののようだ。同じ維新の音喜多駿議員のブログにこんな記事を見つけた。

小西洋之議員もなかなかのお騒がせ議員である。彼が同じ会派の議員に対して「質問通告しましたというのは嘘でもいいんだよ」と言ったという「ネット上で話題になった事件」があったそうだ。小西さんは記録に残らなければ何をやってもいいと考えたのだろう。そこで梅村さんは質問に乗せて記録にしてさらにマスコミが拾ってくれることも期待したのだろう。だが産経新聞の記事を読む限り小西さんの名前が載ることはなかった。単に議員同士が報復合戦をやっているだけで政治的な関心は集まらない。

だが小西議員には事情がある。政策ではなく騒ぎによってしか注目してもらえない。だからこうやって「嘘でもいいから」というようなことを続けざるを得ない。

こうしたリベラルの伝統は昔から引き継いだものだ。公設第一秘書の問題といえば資金不足で政策秘書が置けないことを知った土井たか子議員の秘書が辻元清美議員に「名義貸しを斡旋した」のが記憶に新しい。2002年に発覚し辻元さんは逮捕され有罪判決が出た。執行猶予期間は2009年に終わっているそうだ。Wikipediaには辻元清美秘書給与流用事件というエントリーが残っている。

背景にあるのはリベラルの寂しい懐事情である。組織に依存せず個人商店を立ち上げようとするとお金が足りない。だから犯罪に手を染めてしまったということになるのだろう。

だが辻元清美議員は今でも「自分が目立って世間の耳目を集めないと埋もれてしまう」という強いプレッシャーと戦っているようだ。一部の人には熱烈に支持されるのだし、菅政権の問題も浮き彫りになるのだから、悪いことばかりとは言えない。

だが、おそらくその他大勢はドン引きしている。これが結果的に市民運動・リベラル・立憲民主党の不人気につながってしまうのだ。政党として議員を支える何らかの手段を作らないとこうした議員はいなくならない。実は立憲民主党は「社会的信用の失墜」というかなりのコストを支払っている。

自民党やかつての自民党が地域の利権構造を維持したままでいるというのが先日見た4.25補選・再選挙の感想なのだが、その裏面がこの「どうせ国民は政策には興味がない、Buzzってなんぼだ」という議員の氾濫である。組織の後ろ盾のない個人は埋没を恐れ派手な行動に出る。これが嫌われて「個人は信頼できない」という悪循環に陥ってしまう。

国民は税金で言論プロレスラーを雇っているわけではないが、彼らもこうせざるを得ないのだろう。

公設秘書で探すと意外なニュースが見つかった。

サウナ市長こと池田市の冨田市長はリコールを突きつけられて「辞意」を表明した。だが話をよく聞いて見ると「お前らがリコールするなら俺も覚悟がある」「コロナ禍の選挙になったらことを構えた議会が悪い」といっているに過ぎない。政策闘争ではなく議会太子町の泥沼対立になっている。

調べて見るとこの人も第一公設秘書出身だそうだ。維新の足立康史議員の秘書さんだったそうだ。足立さんも「個人のプレゼンスのためにスタンドプレーに走る傾向があるなあ」と思う。維新というのはよく言えば実力本位の政党だが個人が議会で大暴れして見せて目立たないと上にゆけないのだろう。それが議員だけでなく秘書にも広がっているのかもしれない。

これはもともとの創始者である橋下徹さんの悪い影響だと思う。橋下さんもお騒がせの人だが庶民感覚を掴む独特のアンテナがある。ああいう才能を持てる人はそんなにいないわけで、テクニックだけを模倣すると、劣化コピーのまた劣化コピーみたいな人が量産されてしまうのだろう。橋下さんは責任を持って「政界での暴れ方」の講義を維新の議員に対して行うべきだろう。三年ぐらいのハンズオンでやってみて、卒業したら免許皆伝にすればいい。

日本人は自分たちで論を立てられない。政治議論を見ているとたいていの論は誰かのコピペか誰かの否定である。アンチとしてしか議論が成立しないのである。おそらく立憲民主党は「アンチをたくさん集めている」ことはわかっていると思う。政権が成立すれば彼らは否定するものを失うので政権は瓦解するだろう。かといって今の所、アンチ以外に彼らに関心を持ってくれる人はいない。

維新はおそらく「アンチのアンチ」になっている。類は友を呼ぶというやつだ。そういう政党のスタッフの中に緊急事態宣言の最中に酒を飲んで殺人未遂を起こす議員秘書がいたとしても不思議ではない。騒ぎを起こした公設秘書は確かに悪い。だがそれを選んだ有権者にも責任はある。

成松容疑者はおそらく店が閉まっているからという理由で宅飲みを選択したのだろう。これがコロナを広げかねないわけである。維新の間に広がっている「目立って実績を上げればあとは何をやってもいい」という気風があるのかもしれない。

梅村さんは医療崩壊の中戦っている大阪のお医者さんや自分たちのベッドを開けて大阪の患者を受け入れてくれている滋賀県の病院にどう詫びるのか。議会で目立つのも確かにオシゴトなのだろうが自分の部下もしっかり管理したほうがよかった。梅村さんの言い方を借りれば「お天道さまは見ていた」ことになる。

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