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民主主義国で独裁に憧れる人たちと防波堤としての中国

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ミャンマーの選挙で不正があったのはアメリカと同じ集票機を使っているからだという陰謀論があるそうだ。このニュースを読んで日本の民主主義を支えているのは中華人民共和国なんだなと思った。

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次から次へと出てくる陰謀論を支えているのはトランピズムの信奉者である。彼らは議会を停止したくて仕方がない。おそらくアウンサンスーチーさんを改革派だと信じていて民主党と重ねているのであろう。民主党は彼らの理想とする政治体ではないし改革は彼らにとっては悪である。

ところがどういうわけかトランプ支持者が議会を先導すべきだとは言わない。彼らはアンビバレントな状態に置かれるので「選挙は不正なものである」という陰謀論を持ち出すのである。

トランピストたちが「トランプ独裁」を訴えないのは中国を敵視しているからだろう。中国には民主的な選挙はあるのだが共産党の指導を逸脱することはできない。憲法で共産党の優位性が決まっているからだそうだ。その憲法は共産党独裁化で決まったものなので共産党に都合が良いものに決まっている。

同じようにトランピストたちは「彼が信じるアメリカイズム」が中国共産党と同じように民主主義に優越すべきだと考えている。白人至上主義であり肌の色によって身分が変わるという社会である。そう考えているがそれは言い出せない。それを言い出せば中国と同じになってしまう。そして彼らは中国を蔑視している。だからアメリカの民主主義を崩壊から救ったのは実は中国への蔑視感情なのだ。

ミャンマーの制度も軍が主導して決めたものである。だから軍に都合が良いものに決まっている。だがミャンマーはそれでは抑えられなくなり民衆に妥協した結果軍の優位性が失われようとした。そこでクーデターが起きる。そこで軍は選挙が不正だからと言い訳をした。そしてそれを信じたいアメリカ人が一定数いる。おそらくこれからも一部のアメリカ人は独裁・専制への憧憬と民主主義の旗手という自意識の中で揺れることになるのだろう。

奇妙なことに日本にもこれに同調する人がいる。アウンサンスーチーをリベラルだと決めつけてそれに対抗する軍に自分たちを重ねてしまう人は実は日本にも多い。進歩や改革についてゆけなかった人たちである。だが、そういう日本人でも「選挙結果が間違っていればそれを否定しても構わない」とまでは言わない。おそらくそれが中華人民共和国と同じだと感じるからであろう。日本にも一定数「ミャンマーの選挙は不正によって歪められた」とする人たちがいる。つまり構造としてはよく似ている。

トランピズムの信奉者も日本の反リベラルも多様性を混乱の意味でしか捉えられない。そこである種の秩序を求めるのだが、中国のような集団主義の伝統もないので秩序を構築できない。だからリベラルを代理攻撃して自分たちの正しさを主張しようとする。

彼らが停滞勢力リベラルを排除すべきだと言いださない最終防波堤は「それをやってしまえば中華人民共和国と同じだ」と感じているからだ。実はアメリカや日本の民主主義を支えているのは実は中華人民共和国なのである。

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