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IR関連の逮捕劇は安倍後を見据えた与野党再編の闘争の始まりである

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IR関連で秋元司議員が逮捕された。現職国会議員が逮捕されたのは10年ぶりだなどと言っていた。このニュースを聞いているといろいろわからないことが出てくる。そこで陰謀論を導入してみることにした。こういう根拠のないことは普通の政治系コラムではできないだろうという自信はある。陰謀論を検討すると見えてくることがある。それは中国の力を利用して政権を取りたいという人たちの影である。つまりIRは実は本質ではないのである。

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陰謀論に入る前に、IRの認識を確認しておきたい。やはり多くの政治家には「ギャンブル」と捉えられている。政治家たちは「日本が成長するには合理的な判断を狂わせてお金を搾り取るしかないと考えているのだ。だから日本の成長戦略の柱は資源でも製造業でもない。人を育てて科学技術立国でやってゆくなどと思っている政治家はいない。だからIRが政治闘争を生み出すきっかけになる。オリンピックで偽りの一体感を演出した後は賭け事で搾り取りたい。まさに「売国的退廃思考」であるという印象を持つ。

安倍政権が仕掛けた派閥闘争である

秋元司議員は二階派である。ここでこれが自民党の派閥争いなのではないかという仮説が成り立つ。だが相関図がわからない。二階派は安倍+菅派と東京都で小池百合子都知事の擁立を巡って対立関係にある。安倍+菅派は岸田派と広島で対立していて、二階派・岸田派・安倍+菅派は福岡で麻生派と対立しているところもある。地方で内戦状態になっていると言える。

安倍政権が仕掛けたというシナリオもいったん崩れたかに見えた。秋元さんが逮捕されてから別の議員の関係先にも捜索が入ったからだ。勝沼栄明前議員はもともと中国との関係を重視する二階派だが。白須賀貴樹議員は細田派でありつまり安倍首相のお膝元である。つまり、派閥抗争であれば二階派だけが捜索され細田派は無傷でなければならない。

窪田順生さんという人がダイヤモンドオンライン上で、安倍・麻生派閥が菅・二階派閥に対して仕掛けたという説を「噂だけどね」と唱えている。窪田さんはもともと写真週刊誌のライターさんのようだ。つまり、ここでは官邸に安倍さんに近い人たちと菅さんに近い人たちが別々に存在するということになっている。田崎史郎さんはなぜか自信ありげに「秋元さんはいかにもやりそうな人だったが細田派の議員は歯医者さんでお金には困っていない」と言っていた。

実際に秋元さんの時には入念に情報が出ていたが、今回の捜索は突然だった。「一応改めたが何も出てこなかった」という儀式かもしれない。今後の展開が注目される。

中国とアメリカという図式

これとは別の見方がある。それは中国企業に日本政府からお金が渡るのを阻止したい人たちがいるのではないかという見方だ。

東京地検特捜部が出てくると「脊髄反射的に」アメリカとの関係が噂される。

東京地検特捜部がよく知られているのが田中角栄元議員の「粛清」である。もともとロッキード事件はアメリカの議会で暴露された話からはじまっているが東京地検はロッキード社を捜査することはできなかった。田中角栄は「サウジアラビアと直接交渉しようとした」ことでアメリカの虎の尾を踏んだといわれたそうである。これもダイヤモンドオンラインで窪田順生さんが書いている。窪田さんは陰謀論の類が好きなのかもしれないし、他に書ける人がいないのかもしれない。

東京地検特捜部の前身は隠匿退蔵物資事件捜査部だそうだ。戦争で儲けた資金が政界に流れるのをGHQが止めた。そしてGHQは自分たちの息がかかった人に資金提供し現在の政治体制が作られている。東京地検特捜部は最初から政治的な存在だったのである。

最近では西松建設事件などが記憶に新しい。この時は二階ルート(自民党側)・小沢ルート(民主党側)などと言われた。この時も「特捜部が動いたということは彼らがアメリカに潰されたのだろう」などと噂された。

安倍後を見据えた与野党再編

この話をノンフィクションライターの空想だろうと一蹴できない情報がある。野党側を中村喜四郎がつないでいるという。中村喜四郎さんといえば建設大臣当時に逮捕された事件が記憶に残る。この事件は、金丸信自民党副総裁の疑惑が発端になっていて、建設大臣・茨城県知事・宮城県知事・仙台市長が逮捕されたそうである。中村さんは建設大臣だった。

自民党を離党したまま二階派に所属していたのだが、なぜかここを離れて野党の一員になっている。そこで共産党を巻き込んで野党共闘に動いていたという。この動きはウィキペディアに書いてあるのだがなぜ二階派を離れて野党に行ったのか合理的な説明はない。

ここに「二階さんが中国利権を背景に野党を巻き込んで親米自民党に対抗する勢力を作ろうとしている」のだという陰謀論を導入するとすらすらとよみとけてしまう。つまり、野党再編は中国の影響力を背景にした自民党の権力闘争だと読み解けばいいのだ。中村さんが「本当の意思を隠して共産党を含む野党に接近している」と置けば面白いスパイ物が作れる。

安倍政権は中国との関係を重視していて中国の国家主席を国賓として招く予定である。これは明らかに自民党の中にいる「親中国派」への気配りだろう。中国も安倍さんが気に入っていて今回の成都での会談の際も文在寅大統領と格の違いをつけて(文在寅さんは大統領なので本来は首相よりずっと格上だ)厚遇したそうだ。この関係を橋渡ししたのが誰かはわからないが、親中国派の人たちの国内での活動は一定の成果を見せていると見ていいだろう。

だが自民党の中にこれが気に入らない人たちもいる。「ネットで活躍の人たち」が抗議文を送るのはまあ可愛い活動だが「ガチな」人たちもいる。つまり対日工作だというのだ。

IR利権の一部を中国に渡すとなれば、アメリカの人たちの機嫌を損ねるのに十分な条件が整っているということになる。中村さんの動きと合わせて考えると、与野党再編を背景にして「二階さんと小沢さん」という組み合わせも考えられる。つまりアメリカを背景にした人たちと中国を背景にした人たちの争いである。

今回の件で習近平さんへのお土産は一つ減ったと見ていいだろう。

長期停滞という環境で安倍政権は少なくなった利権を分け合おうとしてきた。ところがカジノという(彼らにとっては本物の)利権が出てきたことで本来の性質が覚醒したのかもしれない。安倍政権は意外と危ない橋を渡っているといえる。

このことから政治家の人たちは権力闘争というギャンブル要素が強い世界を生きているのだということがわかる。賭けに使われているのは我々の生活で、彼らがチップのようにやりとりしているのは有権者一人ひとりの票なのだ。

やはりIRは中止したほうがいいと思う。

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