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アメリカ民主党と共和党の違い

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Quoraでアメリカ人に共和党と民主党の違いを聞いた。2名の回答があった。最初の回答は意味がよくわからなかったのだが、2番目の回答は比較的わかりやすかった。

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一般的に、民主党は大きな政府と人権擁護を指向し、共和党は小さな政府を指向しアメリカ優先主義だと言われる。しかし、実際には共和党支持者たちは宗教勢力のような非政府的な組織に期待をしている。また民主党は大きな政府を支持する労働者の党というかつての説明だけでは説明できないことが多い。変化や多様性を求める開明的な人々からも支持されているからだ。つまり、わかったようでよくわからないのである。

この回答がわかりやすかったのは、こうした成り立ちの説明を避けて具体的な政策に的を絞ったからだろう。ところどころ付け足したが、要約するとこんな感じである。

  • 中絶問題:民主党は中絶支持(プロチョイス)で共和党は中絶反対(プロライフ)である。
  • 移民問題:民主党は不法移民が市民権を得られる方法を模索し、共和党は違法移民には反対している。共和党は移民がアメリカの限られた資源を脅かすと考える。民主党は移民を成長のエンジンと捉える傾向があるように思える。
  • 文化問題とナショナリズム:まず民族性の維持がありそのあとにアメリカ市民権があると考えるのが民主党である。共和党は愛国的なので多様な移民がまずアメリカ人であることを求める。民族性だけでなく個人の価値観が優先すると考えるのが民主党支持者なのかもしれない。
  • 宗教:共和党は宗教的表現を大切にし、自分たちの伝統を守る為には区別があっても当然だと考えるが、民主党は宗教が他者差別に使われるなら表現の自由が制限されるべきと考える。
  • 言論と報道:民主党はヘイトスピーチを防ぐ為に言論の自由が制限されることを求め、共和党は言論の自由を求める。ただし、どちらの党にも言論の自由を制限するべきだと考えるサブグループがいる。
  • 社会主義:民主党は富裕層が社会を支える為に応分の負担をするべきだと考える。共和党は課税に反対する。米国で一般的に議論されている社会サービスとは医療・社会保障(失業およびホームレスサービス)・年金であり、政府による収入の保証・大学教育の無償化・共産主義(民間団体ではなく政府による生産と供給の手段の完全な所有権)のようなものが議論されることはない。

面白いことにアメリカでは富裕な地域ほど民主党を支持する傾向があり、そうでない地域ほど共和党を支持する傾向がある。つまり成功している人ほど多様性と協力の大切さを訴え、そうでない人ほど個人による競争に重きをおくのである。

アメリカ民主党関連のニュース

かつては民主党は労働者政党であり、共和党は金持ちの党だと言われてきた。アメリカの製造業が衰退してしまったという点に原因があるのだろう。だが、この変化のために人によって政党の性格についての説明に食い違いが生じることがある。

民主党支持の人たちはアメリカ人である前に自分たちの個人の価値観や民族としてのバックグラウンドに誇りを持っているということがわかる。と同時に国家は福祉インフラの整備を通じてこうした多様な人たちが幸せに暮らせるように国家が支援すべきだと考えている。また金持ちや大企業ほどそれを支えるべきだと考える。個人を大切にするのか国に期待するのかがよくわからない。

一方で成功した金持ちの党であったはずの共和党の大統領であるはずのトランプ大統領は「自分たちは正当にやれば勝てるのに誰かが不公正なことをしている」と成功から取り残された白人労働者層を煽ることがある。トランプ大統領は自分が日本から投資を勝ち取った(Bloomberg)と言っており、支持者たちも強い国の交渉力に期待している。共和党は小さな政府指向のはずだから考えてみれば不思議な話である。

VOXというリベラルよりのメディアが作った共和党の変遷というビデオがある。これを見ると共和党が新しい支持者を獲得するために政治ポジションを次から次へと変えてゆく様子がわかる。

いずれにせよ、キーになるイシューによって党の対応がある程度明確になっており、コンテクストを共有しない我々日本人にもある程度党の違いがわかるようになっている。このような「国論を二分するような」「選択肢」をウェジポイントというのだそうだ。直訳すると楔の点という意味だ。

アメリカ共和党のニュース

日本の政党政治はもともとGHQに協力して日本の体制を作った官僚出身の人たちにたいして体制作りに関われなかった人たちの緊張関係という構図があり、外側にそこにすら組み込まれなかった左派という選択肢がある。つまりアメリカに対する距離によって政党ができている。このため設立経緯を全部知らなければなぜ特定の政治的主張(例えば消費税をどうするかなど)について知ることができない。野党に至ってはほぼ好き嫌いと個人的な関係だけで分裂と統合を繰り返しており外から見ると何が何だかよくわからない。

ここまでで見ると、アメリカの政治が政策によってドライブされており、日本の政治は人間関係によってドライブされているように見える。政策があるのは多様な有権者がいて「そのどれをターゲットとして狙いに行くか」という戦略が立てられるからである。つまり、日本の有権者は均一なので政策ベースでは政党ができないのだと考えられる。

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