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韓国のロックオン問題とネトウヨが陥る自虐史観

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韓国の船が日本の哨戒機を「ロックオンした」という話がまだ尾を引いているようだ。この話を聞いていて「ネトウヨが陥っている自虐史観」について考えた。

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どうやら話の全体像はかなり見えてきているようだ。韓国は日本海でなんらかの秘密活動を行っていたようだ。漂流する北朝鮮の漁船を助けていたのではなどと言われている。(読売新聞)北朝鮮はそもそも密漁しているわけだし、韓国はそれを知っていてこっそりと助けていた。となると見つかったら「怒られる」ということを予測していたことになる。見つかったら何をされても彼らは文句が言えない。そして韓国政府もそれを黙認していたはずである。

そこに日本の哨戒機が近づいてきた。Twitterではレーダーの範囲を出たり入ったりしていたのではという観測も出ている。そこでパニックに陥り攻撃姿勢を見せてしまったことになる。序列の厳しい文化的にもシステム的にも「現場が勝手にやった」とは考えにくいそうで、艦長判断だったのではという観測も出ている。

ところが、日本側がこの問題をエスカレートさせた。日本側というよりいきり立った安倍官邸が動いたようである。この精神的な稚拙さは驚くに値しない。安倍首相は国会審議でも後先考えずに行動してしまうことがある。与野党の攻防で「私がやっていたら総理を辞任する」とやってしまいそのあとの国会議論にかなり悪い影響を与えた。今回も表立って「どうなっているんだ」と相手政府に怒鳴り込んだのである。

ここで面子を潰された韓国政府が「いややっていない」とか「日本こそ威嚇していた」などと言い出して話が泥沼化している。艦長の威嚇行動を認めることは青瓦台が国際秩序に基づいて軍隊をきちんと統制できていないことを認めてしまうことになる。保守派からの攻撃が強まっており青瓦台はこれを認めることはできない。そうしてまた日韓の間に解けない結び目ができてしまった。

韓国は明らかにつじつまの合わないことを言っている。これは「嘘」なのだが、なぜ韓国は嘘をつくのだろうか。もともと敵対的な姿勢があったというよりは、韓国の後ろ暗さが嘘の原因のように思える。現在の政府は親北朝鮮の姿勢をとっている。だから、自力で飛行機を飛ばせるはずもない北朝鮮当局に「おねだり」されている可能性がある。ただ、兄弟から無理な頼みごとをされたら断れないのが「ヒョン」である韓国政府の情なのではないだろうか。だが、本当に現場の軍人たちが納得しているのかはまた別の話だ。建前上も実際のオペレーション上も北朝鮮軍と韓国軍は「休戦状態」にある敵同士なのである。

情報網が一体化している韓国軍はアメリカと独立して動けない。つまり、この隠密の作戦はアメリカも知っていた可能性が高いのではないか。さらに、自衛隊や安倍政権はこのオペレーションについて米軍から知らされていなかったのだろうという予測も立つ。アメリカは知っていて日本に伝えなかったはずだ。なぜならば、アメリカが日本のEEZを無視していたということになるからだ。

改めて安倍政権がいかに「蚊帳の外」にいるのかということがわかってしまう。かといって、韓国はバレたから日本に正直に伝えようという気持ちにはならないだろう。韓国は日本にたいして「ヒョン、ここは辛いところなんだ。わかってくれよ」とは甘えられない関係になっている。さらに中国も日本の近海(EEZ内)で活動をしている(朝日新聞)ようで、中国の進出と今回の動きもごっちゃになって受け取られているようだ。

この一連の行動の裏には韓国特有の「甘え」の感情があることがわかるのだが、実は背景にあるのは単なる甘えではない。日本は意外に大きくて怖い国なのだ。世界第3位の経済大国で、実は軍隊の規模も日本の方が韓国より上なのである。グロバール・ファイヤーパワーというところが出しているというランキングが載っている記事があるのだが、日本は7位で韓国は12位なのだそうだ。つまり、韓国は日本が怖いがかといって甘えられもしないという関係になっている。

日本人はアメリカには興味があるが韓国にはあまり関心がない。精神的にアメリカから独立できておらず今でもアメリカを怖がっている。安倍首相は「戦後レジームの脱却」などと勇ましいことを言いながらもアメリカが怖いようで「米軍は友好的だから大目に見て欲しい」とプーチン大統領に説明した(共同通信社)そうである。これがTwitterでは笑い者になっている。

アメリカと比較して卑屈になっているネトウヨ首相は実は自分たちのプレゼンスをアメリカと比較して過小評価してしまっているのかもしれない。バイアスに支配されたネトウヨがやたらに「より強い国」を目指すのはそもそも卑屈さの表れだ。彼らは自前で軍隊を持ちたいとはいうが、アメリカの庇護から離れると絶対に言わない。つまり、普段から「パヨクは自虐史観だ」と言っているが実は自虐史観にとらわれているのはネトウヨ側だということがわかる。相手を批判するということは実は自分の劣等感を晒す行為なのである。

日本は意外と大きな国だ。世界第3位の経済大国であり、1億人以上の日本語話者を抱える統一された市場もある。軍隊も世界で10位以内に入っており、第6位の海洋面積が中国の目の前に広がっている。実はこの「大きさ」に自覚がない日本人は多い。

今回の件は、例えていえば「やるな」と言われていたのに裏の空き地で草野球をしていた人たちが、ホームランボールを探しに庭に侵入したみたいなものだ。そこに影が見えたので「怒られる」と考えてついつい持っていたバットを振りかざしてしまった。しかし、非を認めると何をされるかわからないので「お前が突然飛び出してきたから殴られると思った」と開き直っている。だが日本は自分たちが怖がられていることには気がつかないし、逆に適度に甘えさせて時々びしっと言ってやることが彼らを満足させるということもわからない。

そう考えると韓国人の一部の人たちは要求し続けていないと自分たちの弱さに直面せざるをえないと考えているのだろう。が同時に甘えたいという感情も持っているはずである。さらに日本より大きな国になりたいがそこまでの大国になれないという諦めと憧れの感情もあるのだろう。ところが日本はこの揺れ動く感情が理解できないので常に行き違いが生じるわけである。この屈折した感情を「恨(はん)」というのだが、これを「うらみ」と捉えるうえに自分たちのことを実力以下の小さい存在だと思い込んでいる日本人には韓国人の心情がうまく理解できない

いずれにせよ「そもそも後ろめたいことがあり嘘もついている」上に「心理的に従わなければならない」という弱さを持っている人ができるのはめちゃくちゃな理屈を持ち出して嘘を吐き続けることだけだろう。だから、韓国は日本側が「証拠」を持ち出して解決を迫るたびに嘘を吐き続けることになるだろう。

他人を批判したり攻撃するという行動の裏には潜在的な恐れが現れる。何も言わないようではあるが、実はかなり雄弁にその人が持っている影を映し出しているのである。

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