9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


2026年1月末 なぜ今、金の価格が高騰しているのか?

12〜19分

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現在金の価格が高騰している。背景にあるのは政府運営より選挙キャンペーンを優先するトランプ大統領に対する警戒感だ。しかしこの背景はあまり知られていないため、イランに対する攻撃示唆をきっかけに金の価格が更に高騰し現在は落ち着きを取り戻している。今回の騒ぎでふと「情報に踊らされず正しい知識を得るにはどうすればいいのか?」と考えた。おそらく金の価格高騰にあわてて手を出して損をした人もいるだろう。

昨日、金の価格が一オンス5600ドル近辺まで上昇した。その後5300ドルまで下落しているが目立った要人発言はなく過熱感を警戒した動きであった事がわかる。高騰の背景はトランプ大統領のイラン攻撃示唆だったとされているが、下がった理由は不明である。おそらく群集心理が一旦落ち着いたのではないか。

このところ、金の価格はじわじわと高騰していた。

一般投資家はアメリカの株式を買い漁っているがプロの投資家たちは密かに米ドル資産から撤退しているものと考えられる。好調な株価の恩恵を受けつつ、いざというときの保険を求めているものと推定される。ところが金の価格上昇がついに一般投資家に知られてしまった。その後「イラン攻撃」の可能性を示唆するトランプ大統領の発言が重なったため、一気に金の価格が上昇したのではないか。仮に戦争がメインリスクとなれば日本の商社株が暴落していたのだろうがそのような動きは確認されなかった。このため投資家たちは保険を維持しつつ一旦落ち着きを取り戻しているのだろう。

つまり、市場はイラン攻撃そのものよりも、よりインパクトの大きい別の要因に反応したと考えられる。

現時点で最大のリスクファクターは、やはりトランプ大統領その人だろう。

トランプ大統領の最大の関心事はドル安そのものではなく、ドル下落が「自分の失点」と見なされることである。このため、為替水準については気にしない、あるいは関与しないと受け取れる発言を行った。市場はこれを、ドル安を容認するというよりも、「ドルについては何もしない」という事実上の宣言と解釈した可能性が高い。

その結果、ドルの信認に対する不安が意識され、金が急騰した。一方で、戦争がメインシナリオになったわけではないため、商社株など実体経済に直結する資産には大きな動揺が見られなかった。その後、投資家は過度な警戒を修正し、金価格は急騰分を調整する動きに転じたのだろう。

しかし話はそれだけでは終わらなかった。トランプ大統領は「FRBは今すぐ金利を大幅に引き下げるべきだ」と強く主張した。この発言は、景気刺激よりも先にインフレ再燃への警戒を市場に想起させる。

これを受けて、ベッセント財務長官は「必ずしも利下げを求めているわけではない」と発言の修正に動いた。本来、財務長官は金融政策をめぐる政治的ノイズを抑える黒子的な役割を担う存在。にもかかわらず、前面に出て発言の火消しを行わざるを得ない状況が続く。「トランプ大統領が火を付け、ベッセント財務長官が消火活動を余儀なくされている」という構図そのものが、市場関係者の目に明確に映るようになってしまった。

TBS報道は、アメリカの状況を十分に把握しているのか否かは別として、こうした背景をほぼすべてスキップし、「地政学リスク」という曖昧な言葉で金や銀の高騰を説明する傾向がある。逆にフジテレビは「今急にトランプ大統領が不規則発言を繰り返しドルが安心して持てなくなった」と受け取られかねない説明をしている。面倒な前提説明を避け、分かりやすさを優先した結果だろう。

しかしその結果、実際にはアメリカ国内で進行している金融・政治面の不安定化、いわば「小規模火災」が起きている事実は、視聴者にほとんど共有されない。金属価格の高騰は、遠くの戦争リスクではなく、むしろ米国でじわじわ進んできた政策運営やガバナンスへの不信感に根差している可能性が高いにもかかわらず、その点は十分に伝えられていない。

トランプ大統領に関するニュースは、しばしば人物批評として受け取られがちである。しかし、トランプ大統領がどのような人物であるかは、もはやそれほど重要ではない。市場関係者が懸念しているのは、国内外の問題解決よりも中間選挙キャンペーンを優先し、派手で一貫性のない言動を繰り返す統治スタイルそのものだ。

実際、トランプ大統領はイランへの攻撃を示唆し、ルビオ国務長官もベネズエラに対する軍事行動に言及した後、「今は必要ない」と発言を修正している。また、ジョージア州フルトン郡の選挙事務所にFRBが家宅捜索に入ったとされ、「選挙が盗まれた証拠」を探しているとの情報も流れている。ミネアポリスの抗議運動の沈静化や連邦政府閉鎖の回避が図られている一方で、政権内部からは依然として過激な発言が聞こえてくる。

さらに、企業に対して「トランプ口座」と呼ばれる子ども向け投資資金の預託スキームへの参加を事実上求めるメッセージが発出されるなど、政治と経済の境界が曖昧になる動きも目立つ。これら一連の動きは、単発のニュースではなく、政策運営の不確実性が構造的に高まっていることを示している。

これら一連の情報を十分に咀嚼しないままアメリカの金融市場を読み解こうとしても、多くの人は「何が起きているのか分からない」と感じるだろう。日本は依然として円安構造を転換できておらず、一般投資家はNISA口座を通じて海外資産での運用を余儀なくされている。

しかし、日本のテレビ報道は必ずしも状況の全体像を正確に伝えているとは言い難い。一方で、REUTERSやBloombergといった海外メディアは情報量と専門性が高く、一般投資家にとっては敷居が高いのが現状である。その結果、日本の投資家は「海外市場に資金を投じなければならないにもかかわらず、その判断材料が十分に提供されていない」という矛盾した環境に置かれている。

理想を語るなら、「自分だけの金融リテラシーを身につけるために、コツコツ勉強すべきだ」という結論になるのだろう。実際、その通りだとも思う。

ただ正直に言えば、毎日ニュースを追い、背景を調べ、情報を整理する――そんなことに時間を割ける人は、そう多くない。多くの人は仕事や生活に追われ、その余裕がないのが現実だ。

それでも、今の状況を考えると、完全に流されてしまうのも少し危うい。知識量は十分でなくてもいいから、一段高いところに立って全体を見渡そうとする姿勢だけは、できる限り保ちたい。

では、どこから山に登り始めればいいのか。

  • 分からないことを分からないままにせず、AIなどを使って簡単な質問を繰り返す。
  • メモ書きでも構わないので、得た知識を一つの成果物として残す。
  • そして、単一の説明に安易に飛びつかない。

大切なのは、特別な知識ではなく、こうした態度を持ち続けることだ。

例えば、今回の金や銀の価格の急騰・急落を見ても、「地政学リスク」という一言で片づけてしまう報道には、少し立ち止まったほうがいい。本当にそれだけで説明できるのか、と自分に問い直す余裕が必要になる。

情報が過剰な時代に身を守る手段は、知識をどれだけ持っているかではない。違和感を覚えたときに、それを放置しない――そんな最低限の思考習慣なのかもしれない。

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