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2024年の消費支出が1.1%減少 じわじわと広がる不安と不満

10〜15分

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日本では政治に対する不満が広がっているが、かといって大規模な政府に対する反対運動が起きているわけでもない。「何がどうなっているのだろうか?」と感じる人は多いのではないだろうか。実は2024年の消費支出が1.1%減少している。これでは将来に期待はできないが、かといって強い怒りを感じるような減少でもない。

さらに実は国はかなりのお金を溜め込んでいる。このため痛みを伴う大胆な構造改革をして心機一転みんなで頑張って働きましょうということにならない。

国民民主党は所得税減税に高いハードルを設定している。国民民主党の狙いは自民党・公明党は手取りアップに消極的であると示す点にある。自民党・公明党は当初、「壁」を123万円に設定する方針だったが、新しい案では140万円まで妥協しても良いと言っている。国民民主党の狙いが「誰が納税者の味方なのか」を示す点にあるとすれば全くムダな提案と言って良い。

国民民主党の金融課税については波紋が広がっているという。具体的な案が出ている段階ではないが構想が独り歩きしているといった印象である。NISA枠で投資をしている人には関係がない話だと思うが「増税」に拒否反応を示す有権者が多いのだろう。あくまでも選挙対策のための「印象」づくりのため全体の議論がふわっとしたものになってしまう。

維新は金融資産を参考にして医療費を削減するという案を提示したという。年間削減額4兆円を目指す。どのように金融資産を把握するのかという気はする。そもそも国民は医療にどれくらいお金をかけているのだろう?と思って調べてみた。2022年度の数字が2024年10月11日に報道されている。

  • 医療費総額は46.6兆円で過去最高額になる。つまり維新はだいたい10%減らそうとしているということだ。GDP比では8.24%となる。
  • 前年比4%増加したが団塊の世代が後期高齢者入りしたことが原因。
  • 保険料が23.3兆円で約半分、公費は17.6兆円(全体の38%)、患者の窓口負担は5.4兆円(12%)

ただし、これは公的保険によってカバーされるものだけで保険外の費用は含まれない。

高校無償化については公立高校の無償化はほぼ決まったようだが私立高校の扱いをどうするかで与党と維新の意見が噛み合っていない。

立憲民主党は国民民主党と維新を「おねだり戦略である」と断じている。立憲民主党は政策立案ができる政党であるとアピールしたい。だが政策立案能力を持たないため(日本の政党にはそもそもシンクタンクがない)各省庁を呼び出して「基金はムダである」と吊し上げることにしたようだ。もともと省庁別の審査には時間をかけない予定だったため「一体何をやるのだろうか?」と思っていたのだが、結果的には単なる儀式だった。

儀式の結果「ムダな貯蓄が7.7兆円ある」ということになり「財源が捻出できた」としている。野田総理はこれをもとに修正案を突きつけて自民党から妥協を迫りたい。おそらくこのインスタント行政仕分けが最初からの狙いだったのだろう。

立民の城井崇氏は、使用実績の乏しい基金の総額が約7兆8000億円に上るとの試算を提示。これらを削減し「物価高対策などに充てるべきだ」と主張した。加藤氏は「基金は当該年度にどれだけ支出するかよく分からない前提だ」と理解を求めた。

立民、過剰基金・医療費見直し追及 衆院予算委、初の省庁別審査(時事通信)

なぜ政府が基金を溜め込んでいるのかはよくわからない。中には天下りや既得権益の確保を狙っているのではという人もいるだろう。だが実際には「将来の税収に不安があるため貯められるときに貯めておきたい」のではないか。

単なる儀式に過ぎない省庁別審査も「これまでの分科会よりはマシだった」とする意見がある。現在の与党が国家予算に依存して集票する状態になっていることがよく分かる。

省庁別審査は、これまで衆院での予算案審議の終盤に開かれていた分科会に代わるもので、予算委員長ポストを握る立民主導で実現した。野党は分科会を「陳情ばかりやってきた」(関係者)と指摘。政府関係者も「形骸化していた」と認める。

立憲民主党、「正攻法」で圧力 予算修正へ「無駄」標的―財源捻出挫折の過去も(時事通信)

日本の経済がよくなる兆しもないため政府も企業も国民も「貯められるうちに貯められる分だけ貯めておかなければ」と考えている。この結果経済はじわじわと悪化。

維新と国民民主党は金融資産に着目する。つまり「溜め込んでいる国民に負担をさせされないだろうか」と考えている。一方の立憲民主党は「実は政府もお金を溜め込んでいる」と考えており基金に着目した。つまり日本はかつて稼いで溜め込んだカネを取り崩す段階に入ったということだ。

結果的に「構造改革して明日からまた頑張って稼ごう」というマインドにはならず、じわじわと生活実感が悪化しているというのが今の日本のようだ。

このため政府に対して具体的なアクションを起こす人はおらずSNSで不満を吐き出すだけという人が増えているのかもしれない。

石破総理とトランプ大統領の会談が行われ日本は1兆ドルの投資を約束している。稼ぐ意欲を失った日本に投資するよりも消費意欲が旺盛なアメリカに投資したほうが儲かるに決まっている。日米安保は盤石かもしれないが日本にとっては実はあまり好ましい状態であるとは言い切れない事がわかる。

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