9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


高市総理の訪米調整 どこまで現実を無視できるかのゲームに

8〜12分

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お正月のニュースは高市総理の訪米調整のニュースから始まった。「神」であるトランプ大統領と唯一話せる力強い巫女である高市総理がこれまで通りの日常を支えるために契約を更新する。そんなおめでたいニュースだった。冬至近辺の太陽神との契約更新神話は各地に見られる。キリスト教世界ではクリスマスの伝統に一部取り入れられているそうだ。

しかしながら時事通信と共同通信は「本当にそんな神事があるのか」と疑っている。

高市神話はアメリカとの良好な関係を維持してくれそうだという期待に基づいている。このため高市総理大臣が年頭ニュースに訪米を選んだのは高市政権の生存戦略としては極めて適切だろう。

一方で、時事通信は年末に「中国軍演習「心配せず」 関係配慮し批判回避か―トランプ氏」という記事を書いている。この記事は書かれていることよりも書かれていないことのほうが重要だ。なぜトランプ大統領が言及を避けたのかが語られておらず「関係性を重要したのかもしれない」と言葉を濁している。

アメリカ合衆国ではかなりトーンが変わりつつある。こちらも書かれていることよりも書かれていないことのほうが重要である。報道に現れない現象が捕捉できるようになったのはAIによりベクター変化分析ができるようになったからだ。

バンス副大統領、国務省、ヘグセス国防長官を除く国防総省などアメリカ政府内部には、中国との全面軍事衝突は「勝利を定義できない戦争」だという共通認識が形成されつつある。そのため、政治家も官僚も、勝利を語らず、抑止と管理の言語に移行してのだが「発言がない」ためにニュースにならない。一方でトランプ大統領の揺れ動く発言は、この現実を覆い隠すための国内政治的ノイズとなっている。確かにアメリカの揺れを見るうえでは重要な発言が多いがそれは軍事的には意味がない。

アメリカ合衆国は世界覇権を維持することはできないと考えているが帝国の一つとして残る道は模索している。特に覇権が中国に交代することだけは避けたい。ただし世界覇権を放棄した瞬間に、同盟国の地位は「アメリカ帝国本体を守る周縁=盾」に格下げとなる。さらにMAGAの中にはこれを一段格下げしたアメリカ・オンリーと呼ばれる流派が分離しつつあり、そもそも地域帝国として残れるかどうかも曖昧な情勢である。

すでに「文明消滅の危機」と名指しされたヨーロッパには激しい動揺が走っている。彼らは自分たちが何を突きつけられているのかがよくわかっているのである。このためエマニュエル・トッド氏のような冷徹な記述者(彼は地盤のせいでその上に乗っている建物はやがて崩れますよと指摘しているにすぎない)には熱烈なファンと熱烈なアンチができているようだ。

そんなエマニュエル・トッド氏だが日本でも大人気なのだそうだ。文春の対談に応じている。トッド氏と佐藤優氏の噛み合っているようで噛み合っていない会話が見どころである。

日本ではエマニュエル・トッドの著作には「なぜこの人はアメリカやドイツをこれほどまでに敵視するのだろう」というアンチも付いている。しかし、彼らはけっしてお互いに議論をぶつけたりはしない。佐藤優氏も「トッド氏の著作を利用して自分のポジションを強化しようとしているだけ」であって、実情のモノローグを展開しているに過ぎない。

この内向きな内部処理こそが日本の停滞=安定の基礎になっている。

いずれにせよエマニュエル・トッド氏の著作がある程度売れていることから日本にも一定数「時代の変化」を理解している人はいるということが分かる。しかし彼らはそれをけっして行動に結びつけようとはしない。また、最大の国家のタブーを暴くこともない。

しかし「後で何かあった時」のために私たちはすでに警鐘を発していましたよと言えるエビデンスは残している。その一つが冒頭に挙げた時事通信の行動喚起に繋がらないニュースだが共同通信も高市総理がトランプ大統領から中身のある議論を引き出せなくなったところまではきちんとログを残している。

官僚があとになって「あの時何も言わなかったじゃないか」対策のために証拠を残しているのとおなじことをやっているのである。つまりこのニュースも書かれたことよりも書かれなかったことや書けなかったことのほうが重要なのだ。

日本において「神殿の中身は空っぽで実は巫女は誰とも話していなかった」と暴くことは文化的には最大級のタブーと言って良い。通信社といえどそのタブーに触れることは許されない。

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