高市早苗総理は今すぐ外交姿勢を変える必要がある。G20サミット出席では「舐められないような服装選び」に迷ったそうだ。中国はこのイメージを国内宣伝に利用し「猛女高市」というイメージ戦略に利用している。
さて、在日本中国大使館が「敵国条項」を持ち出したとして話題になっている。日経新聞の見出しを見て「これは誤報だろう」と思ったのだがどうやら本当だったようだ。
日本では高市さんは悪くない、悪いのは岡田と朝日新聞だなどと言われているがもはやそんなことはどうでもいい。日本のメディアは高地早苗総理がどう落とし所を見つけるのかに注目が集まるという論調になっているようだが、この問題には本質的な落とし所がないという点を考察する。
日経新聞の見出しはフェイクかと思ったのだが中国大使館の投稿は次の通り。確かにそう書かれている。だがなんとなく「国内宣伝だろう」とは感じる。
ただし国連にも「日本に侵略の意志ありとみなした場合には攻撃します」と通達しているようだ。台湾問題は(北京の共産党政府の認識では)国内問題なので「自衛」という建付けになっている。
ChatGPTのログの中に敵国条項は死文化しているという一節がある。死文化は1995年に宣言されているが安保理を通っておらず国連改革の一貫として一括削除されるべきというのが日本の考え方のようである。
日本から見れば間違った文脈が流布されていることになるため、高市総理以下日本の政府高官たちはこれに反論しなければならない。黙認すれば認めたことになってしまう。
高市総理は「日本の見解はこれまで通りだから何も説明しない」と言っているがこれは国内で高市総理を信じたがっている支援者にのみ通じる話であって国際社会では何の意味も持たない。ましてやあれは岡田某や朝日新聞のせいだなどと言ってみたところで、眼の前の状況が変わるわけでもない。
しかし日本の世論はおそらくここで議論の回帰点を間違えている。
この話題についてQuoraに書いたところ「とても不安になった」「笑っていられる日常を取り戻したい」という人がいた。つまり日本の世論は「高市総理が中国と対話することでこれまでのような日中関係が戻ってくるだろう、いや戻してほしい」と考えているのではないか。だから「落とし所」という言葉が使われている。
今回のChatGPTのログはこのあたりを整理したものだ。荒っぽい仮説を立てて批判してもらった。
起点にしたのは2014年に起きたロシアのクリミア半島侵攻だ。ロシア帝国の回帰意欲を持つプーチン大統領が力による回復を行ったという事件である。バイデン政権は反発するのだが、トランプ大統領は今やウクライナに領土を諦めてクリミア半島を放棄するように迫っている。つまり力による現状変更は決して行われてはならないという原則は成り立たなくなっている。
このときにロシアは自分たちはファシストと戦うと言っており在日本中国大使館もファシズムと戦うと言っている。
ではファシストとは何なのか?
まず、中国もロシアも経済問題として行き詰まりつつあり外に敵を設定して国内の統制を強めようとしているという仮説を置いてみたが、これはChatGPTに却下された。そこで仮説を修正した。ロシアも中国も「ファシズムとの闘い」が国家の物語として刻まれており、それを足がかりにして偉大な帝国の回復という物語につなげようとしているのではというものである。
つまり「アイデンティティ物語」なのだ。
この仮説はアメリカで現在起こっている「アイデンティティ政治」による揺り戻しを統合できる。ログの中では当初「怪奇物語」と打ってしまったため慌てて「回帰」と修正した。ChatGPTはご丁寧にも「アメリカにおける怪奇現象」と話を合わせてくれている。変更後はアメリカにおける白人中心国家への回帰現象(文化的バックラッシュ)ということになった。
日本やヨーロッパは敗戦を経験したため「一部抑圧された状態」の回帰の現象は見られる。
日本では例えば保守と呼ばれる人たちが男性中心・天皇中心の大家族主義への回帰を主張している。しかしながら、日欧は戦後復興が成功物語になっているため、かつての偉大な帝国への回帰という物語は採用されにくい。それでも参政党のジャパンファーストには一定の支持が集まった。
ドイツではナチズムにノスタルジーを感じる人がおり、フランスにもかつて植民地帝国を持っていた時代にノスタルジーを感じる人がいるようだ。メローニ政権のように回帰主義をうまく現実路線に載せ替えて成功した国もあればブレグジットによって大きな失敗を経験したイギリスのような国もある。
ChatGPTの論点整理はここで終わるのだが、一つ大きな問題を積み残している事がわかるだろう。
それは
そもそもなぜ多くの国で回帰現象が起きているのか?
である。
会釈は人それぞれだろうが、東西冷戦構造が崩れ「無秩序な消費社会」に移行した人びとが「より確かな拠り所」として新しいアイデンティティを求めているのではないかと置くことができる。グローバリズムの定義は人それぞれだろうが、グローバルからローカルへの揺り戻しと一般化できる。
新しい物語を想像できない人たちは過去の物語を都合よく改変して未来への希望の安っぽい代替物にする必要がある。
つまり、世界が古い秩序を脱ぎ捨てて新しい秩序に移行するまでの間は、こうした不安定な状態が続くということになる。だから本質的に「これまでのような穏やかな日中関係」など戻ってこない。そもそももはやそんなものはなかった。
高市総理が誕生した時、当ブログは「高市政権は安倍政権の物語を完遂させることによって破壊する政権だ」と位置づけた。当初、経済的な問題(アベノミクス)を想定してたのだが、どうやら安全保障のほうが先にくるのかもしれない。
いずれにせよ、高市早苗総理は「舐められない服」を選んでG20サミットに臨んでいる。建国物語を継続するために強いファシストを必要としている中国共産党は舌なめずりをして喜んでいることだろう。わざわざ自分は猛女であると宣伝しているのである。
