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高市早苗総理大臣誕生までの道筋

7〜11分

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野党の首班指名がまとまらないため、自民党の総裁がそのまま総理大臣になると言われている。高市早苗総理大臣誕生までの道筋をざっとおさらいしておきたい。

まず党内人事がある。麻生太郎氏と茂木敏充氏が「高市早苗氏に貸しを作った」と言われており、鈴木俊一氏の要職起用が検討されているそうだ。つまり今回の総裁選挙は菅義偉氏が麻生太郎氏に「戦略的に負けた」選挙であると総括できる。これを理解すると今後の流れが読みやすくなる。

高市早苗氏は安倍晋三氏に近い仲間と麻生太郎氏の間で板挟みになる可能性が高くかねてより主張してきた財政拡大(安倍)路線がトーンダウンする可能性が極めて高い。

要職に検討されている鈴木氏が財務大臣になれば事実上の「財政拡大放棄宣言」だが、朝日新聞によると野党連携の要として幹事長に据える案が出ている。読売新聞も党の要職が連立を占う鍵になると見ているが「短命に終わるかもしれない」と実に冷ややかである。

現実的には一旦は公明党との連携を維持しつつ、先に維新と交渉するか国民民主と交渉するかが注目されている。

総裁選が決着した後の菅義偉氏の表情はかなり痛々しかった。菅義偉氏は維新との連携話を進めていたが小泉進次郎首班が前提だったとされている。音喜多駿元議員は「高市総裁で連立交渉は一旦白紙だ」との立場。

公明党の集票力の落ち込みを背景に麻生・茂木ラインは国民民主党を引き入れようとしてきた。国民民主党というよりは連合のまとまった票を求めていたのだろう。票を横取りされることを恐れた連合は玉木雄一郎代表を盛んに牽制している。

自公国」連立構想は、国民が2022年度政府予算案に賛成し、与党との協調路線を取り始めた頃から、麻生副総裁や茂木幹事長らが中心となり調整が進められてきた。

「自公国」連立へ一歩、自民「補正で国民賛成」目指す…連合内には根強い否定的意見(読売新聞)

これに対抗する形で菅義偉氏が維新に接近し小泉進次郎氏を首班とする「新しい政権」構想を持ち出したと考えるのが自然だ。メディアでは盛んに小泉新総理が期待されていたが、国民の間に薄っすらと広がる「なにか違う」を解消することはできず逆にハードルを上げすぎて自滅してしまった印象がある。

いずれにせよ公明党は高市早苗氏の動きに警戒感を見せており「平和憲法の枠組みを大きく崩すような」路線変更に反対し、維新とに接近についても「異例の」不快感を表明している。

仮に、菅・小泉ラインが退潮し、麻生・茂木両氏が主流派になると、維新より前に国民民主党との連携を模索する動きが出てくるはずだが、高市早苗総裁がサプライズだっただけにメディアの取材は追いついていない。

時事通信は維新との連携話が先に進み国民民主党が置いてゆかれるのではないかとする記事が出ている。ただし日付は総裁選の朝。つまり小泉進次郎氏が優勢とされていたときのものだった。

高市早苗候補は立憲民主党に近い給付付き税額控除の案を出していたが、野田佳彦代表は「財源について意見が違いすぎる」として慎重な考えだった。仮に幹事長として鈴木俊一氏が連立交渉を担当すれば状勢は変わるかもしれないが、リベラルよりの石破総理よりもゴリゴリの保守である高市早苗総裁のほうが「与しやすい」と感じるかもしれない。

立憲民主党にはワークライフバランスのために議員を辞めると主張している寺田学氏がいる。彼を要職につけて「ワークライフバランス重視」の姿勢を打ち出せば、かなり有利なポジションに立てるとは思うのだが、壊滅的に政治センスのない野田佳彦氏はまだそのことに気がついていないようである。

高市早苗氏は首班指名の段階で連立相手を決めておきたいようだ。15日に首班指名が行われる。まずは党内人事が固まり、その後に連立交渉についてさまざまなニュースが雨だれ式に出てくるものと見られる。

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