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高市早苗氏が関税についての見通しを発表 総裁選で一歩リード

8〜12分

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石破総理は続投の意欲を示しており自民党の権力闘争は膠着状況に陥っている。一歩先んじているのは茂木敏充氏だそうだ。党内で会合を持ち次への意欲を滲ませている。一方の高市早苗氏は表立った意欲は見せていないそうだ。ところがXに関税交渉についての考えを発表した。バランスが取れた内容であり石破後継として関税交渉にある程度の自信を持っていることがうかがえる。

茂木敏充氏と高市早苗氏の総裁選へのアプローチはかなり違っている。茂木氏は党内の人間関係を優先しているようだ。麻生太郎氏と面会し、旧茂木派の若手と会食。さらに石破おろしにつながるとされる両院議員総会開催のための署名も先導した。もともとタフネゴシエーターとして知られているが人間的には少し問題があるとされることが多かった。周囲との関係構築を優先する姿勢はYouTubeにも出ているが、鈴木貴子氏とのやり取りは「永田町のグルーミング」と言った感じでかなり醜悪である。

一方で友達が少ないとされる高市早苗氏はXに関税交渉についての考えを投稿した。「政策重視」である。

まず石破政権を一定評価したうえで「合意文書がないため内容の確認が必要」としている。さらに関税の大枠について概観したうえで国内対策について具体策を出すなどバランスが取れた内容になっている。つまり石破政権に対してご苦労さまでした、後はこっちでやりますからと言っているのだ。

もちろん石破政権が交渉に失敗したからこそ後出しで出せるのだと辛い点数をつけることはできるのだが、ある程度の定見がなければこのような提言は出せないだろう。

赤澤経済再生担当大臣の「合意文書を作ればまずいことになる」発言からわかるように石破政権はおそらくこの問題ではすでに詰みの状態にある。トランプ政権は関税交渉というプロレスを続けたがっており相手を必要としている。このためには日本も関税交渉を維持し定期的に成果を小出しに与えてやる必要がある。いわばプロレスにお付き合いする必要があるのだ。しかし赤澤氏は合意文書は作れないと言っておりプロレスに付き合うつもりはないようである。

明らかに仕切り直しが必要な状況。交渉担当者を変えたうえで「まずは内容を確認させてください」とするのが有効だ。相手がプロレスを望んでいるとするとおそらく「約束が違いますね、はい25%ね」とはならないだろう。

高市早苗氏は保守が持っている「日本はアジアで選ばれた国である」という幻想を慰撫するためにも重要な役割を果たすだろう。社会階梯を上昇するのぞみを最初から持たない保守層には「上を向いていていもつまりませんよ、下を見て暮らしましょうよ」と言い続ける必要がある。

保守の一部は参政党に流れた。しかし彼らの発言はあまりにも場当たり的すぎる。おそらく保守の気持ちを維持する事はできないのではないかと感じる。ただ若い人たちを中心に彼らが何を望んでいるのかはわかった。これも後出しといえば後出しなのだが対策を講じることは十分に可能だろう。

自民党が経済成長の見込みを立てることができないと仮定する。この前提のもとではアメリカ合衆国と是々非々で付き合いながら生活が良くなるのぞみがない保守の人々に麻薬のような福音を与え続ける必要がある。その意味では高市氏こそ次の自民党の総裁にふさわしいのかもしれない。

さらに左派リベラルの立憲民主党支持者も「戦う相手」が生まれる。野田佳彦氏の言動を見ているとおそらく彼は総理大臣にはなりたくないようだ。むしろ「戦前回帰」を試みる強い敵がいたほうが政党としては安定するのではないか。

石破総理の「愉快に楽しく暮らすべきだ」というメッセージはそもそも愉快でも楽しくもない保守にとっては苦々しいメッセージだった。同じように楽観的な夢を語る小泉進次郎氏も保守にとっては単なる世間知らずのセレブにしか見えないだろう。自民党を支援してきた保守にとっては最も好ましくないリーダー候補である。夢を語る人達を見ていても惨めになるだけだからである。

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