9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


高市政権の決定打に欠ける物価高対策が明らかに

8〜11分

イイネと思ったら、Xでこの投稿をシェアしてください

政府がようやく暫定予算のたたき台を発表した。読売新聞によると総額は17兆円でクーポンは1世帯あたり1万円程度になりそうだ。今後維新との協議が必要で閣議決定は21日になるとのこと。ただ具体策が出てきた時点で経済評論家からのバッシングは避けられそうにない。バッシングには2つのルートがある。

読売新聞から数字だけを並べる。

  • 一般会計・特別会計・減税を含めて17兆円超
    • そのうち一般会計の支出は14帳円程度
    • (単位は世帯だと思うが)合計で5万円規模
  • 内容は下記の通り
    • 電気ガス代補助は月1000円〜2500円程度で三ヶ月で6000円
    • 食糧支援は地方自治体経由で10000万円程度

一方で立憲民主党は8.9兆円の経済対策を示している。

  • 総額は8.9兆円
    • 中低所得世帯に1人あたり3万円を支給
    • 子供1人あたりに2万円を支給

ぱっと見で「いろいろな数字が並んでいるがどちらも効果が見えないので評価のしようがない」と感じる。つまりよくわからない。このためTBSの解説も「決定打に欠ける」という見出しになっている。

決定打欠く物価高対策、「デフレ脱却」重視ならインフレ加速のリスクも【播摩卓士の経済コラム】(TBS News Dig)

実はこのTBSの解説は二重構造になっていて将来の批判が埋め込まれている。まず「インパクトに欠ける」という点が強調されているのだが、カバーイラストには高市総理が下を向いた写真が使われており「デフレ脱却」重視ならインフレ加速リスクもと書かれている。

つまり物価高=インフレ対応そのものがインフレを招きかねないという構造が内蔵されているのだ。現在は有権者の期待が高いため表立った批判は避けられているが、コラムの後半は財政拡張的な政策が円安を招きかねないと指摘している。

これをもう少しはっきりと書いている人もいる。こちらは陸軍の大陸進出さながらである。

やっぱり「高市首相の経済政策」はいずれ破綻、「成長戦略も絶対に失敗に終わる」と言える10の理由(東洋経済)

外交・安全保障政策では陰謀論を信じるような相対的剥奪感を持った人たちが高市総理の発言を縛りかねない書いた。経済にも実は同じような構造がある。

日本は長年国際的な地位の低下に悩んでおりすでに地位が低下しつつある状態しか知らない人たちが増えてきている。この危機感は民主党政権時代に一度ピークを迎える。しかし駄目だ駄目だと言われてもどうしていいかわからない人たちは安倍総理の「あなた達は変わらなくてもいいのです」というメッセージに一筋の希望を見出した。彼らがすがったのは日銀が資金を大量に供給すれば日本人が変わらなくても状況は大幅に改善するはずだという福音だった。

日銀の約束が守られなかった事がわかった今、高市総理は経済成長さえ起これば日本人の生活は劇的に改善するだろうという新しい福音に頼り始めている。つまりどこかに魔法の杖が隠されており高市総理の一振りで状況が劇的に解決すると思いたがっている人がたくさんいるのだ。

しかし小幡績氏はこうしたメッセージを主張する人々は単にポジションでそう言っているだけであり高市総理を支えて日本を良くするつもりなどないのではないかと言っている。そればかりかそのポジションこそが今の彼らの地位を支えているのだから今更それを変えることはできないだろうと主張する。

彼らは、自分たちの主張するポジションこそがすべてであり、存在意義であるから(特にこのように偏ったポジションをとっている人々はなおさらだ)、「進め!」という大将の号令には、「オー!」と大将が望む以上のスピードで突き進む(大将に気に入られ、重用されるために)。

やっぱり「高市首相の経済政策」はいずれ破綻、「成長戦略も絶対に失敗に終わる」と言える10の理由(東洋経済)

つまり、すでに高市総理の一連の経済政策は、高市諮問団の蚊帳の外に置かれた人々によって取り囲まれている状態になっている。金融市場のネガティブな反応で顕在化した時に彼らが準備していた爆弾が破裂するという仕組みだ。

今は「高市政権の経済政策には決定打がない」程度の批判ですんでいるが、実は底にはすでに埋め込まれた別のメッセージが潜んでいる。仕掛けるのは得意だがその後の対応が苦手という高市総理の持つ構造的特性はすでに公明党や中国という「敵」を作り出している。次の対戦相手は金融市場なのである。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで