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静かなパニックが広がる高市政権

8〜12分

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日本の安全保障は、国連体制と日米安保に支えられている。つまり「アメリカ合衆国が国際法を遵守し、スタンダードを作る」という前提が崩れると、日本の安全保障体制は崩壊し、憲法改正どころの騒ぎではなくなる。正解がわからなくなった時の日本社会は脆い。さらに自分で戦略を作らず「確かなもの」に政治的ポジションを依存してきた高市総理の立場は大きく揺らいでいる。

高市総理は、今回の攻撃について「法的な解釈」への言及を避けている。要するに、国際法に違反すると暗に認めてしまったのだ。

ホルムズ海峡の封鎖が長引けば、石油価格に大きな影響が出る。原油価格の高騰と保険料の高騰に分解できる。つまり、ホルムズ海峡付近の治安が維持できなければ、我が国の経済には壊滅的なダメージが及ぶだろう。おそらくトランプ政権は「ホルムズ海峡の治安維持」のために各国に協力を求めてくるはずだ。

コラム:OPECプラス増産は無意味、焦点はホルムズ海峡の混乱期間(REUTERS)

原油価格は高止まりへ、ホルムズ海峡の供給懸念で=アナリスト(REUTERS)

つまり日本政府は、その時に備えて「これは存立危機事態に当たる」という余地を残しておくべきだった。自衛隊を派遣しても、「存立危機事態」でなければ敵対勢力を攻撃できず、当然、自衛隊の身の安全を守れない。

しかしながら木原官房長官は、「今のところ」と限定条件をつけながらも「存立危機事態には当たらない」と宣言してしまった。海峡封鎖が存立危機事態に当たらなければ、台湾海峡封鎖を口実にして存立危機事態を宣言することもできなくなる。おそらく法的に一貫した説明ができなくなっているのだろう。高市総理は元々茂木外務大臣とは距離があり、外交に詳しいブレーンがいない。口うるさい人々を自ら遠ざけてきたからだ。このため今回も突発事項に対応できなかかった。

高市政権の高い支持率には2つの柱がある。トランプ政権との強い結びつきと、経済成長に対する期待だ。しかし、国際的な正当性を失いつつあるトランプ政権に接近すれば、対イラン紛争に巻き込まれる可能性が高い。

なおヨーロッパは、「自国の基地を守るために、アメリカ合衆国と協力してミサイルを供出してもいい」と宣言した。自分たちが協力できる範囲を明確にし、「なし崩し的に協力を求められる」ことを防いでいるのだろう。「トランプ大統領に交渉の余地を与えない」のである。

オーストラリアは、アメリカとは協力しない、自分たちの問題ではないと言っている。

これまで安倍晋三、ドナルド・トランプ両氏との強い結びつきを背景に政治的なポジションを構築していた高市総理は、早くも正念場に立たされることになった。

足元では、高市総理とチームみらいに対する評価が高まっている。これは国民会議を通じて「未来の展望が開ける」「みんなが期待している」との理解が広がっているからだろう。すなわち、「みんなが期待している方に乗っておくのが安心だ」という見通しによるものではないか。

しかし「どうも何か雲行きが怪しい」となれば、高支持率基盤は崩壊する。これは「支持を打ち出した人がそれを容易に変えられなくなる」アメリカとの大きな違いである。

正解がわからなくなった時の日本社会は脆い。さらに自分で戦略を作らず「確かなもの」に政治的ポジションを依存してきた高市総理の立場は大きく揺らいでいる。そして「みんなが支持しているから」という理由で高市総理を支持している人々は自分たちが何に依存しているのかをまだ知らない。

本日は記事をサウジアラビア、トランプ大統領、アメリカの軍官僚機構、日本の視点からまとめている。その他の立場については扉ページからご参照いただきたい。

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