石破総理は選挙に負けたはずなのに支持率が上昇傾向にある。背景にあるのは石破同情論と清和会への反発だが世論調査の項目からこれを読み取ることはできない。結果的に世論調査は意思決定に役に立たなくなっている。
こうなると自民党も過去の精算手法(反発を読み取って表紙を変える)が使えなくなってしまう。このまま支持が回復しないままでダラダラと自民党政権が続くのかもしれない。
この際徹底的に過去の問題と向き合って精算すれば良いのではないかと思うがどうやらそれだけは絶対にやりたくないようである。部外者にはわからない話ではあるがそれほど難しいことなのだろうか。
かねがね不思議だったことがある。どこかの政党に心理的に所属しているという感覚はないが「支持政党を決めなければダメ」という思い込みがあった。まだ新聞を読むという習慣があり」「新聞がそうなっているからそうしなければならない」と思い込んでいた。しかし近年では新聞を読まない人が増えておりこの刷り込みは成り立たなくなっている。
真面目な自民党支持者たちは清和会の政治とカネの問題に腹を立てており石破総理に総括を求めている。彼らはおそらく新聞を読んでいる。自民党支持者に聞くと石破続投論が強いそうだ。
しかしこれまで自民党を支持してきた保守は自民党から離反し(つまりおそらく自民党に投票していないが)つつも自民党所属の高市早苗氏を支援している。
このように政治言論を巡って就職氷河期を経験した人とそうでない人の間に断層があり1つの世論調査で国民全体を総括するのが難しくなっているのではないかというのが昨日の考察だった。
結果的に各メディアでは石破内閣の支持率が上がっており、各社とも解釈に頭を悩ませている。
石破総理は総理大臣経験者と立て続けに面談した。まず小泉純一郎氏と会食しその後岸田文雄氏とも会っている。一方で菅義偉氏は不在を理由に面会できなかった。確執が伝えられる麻生太郎氏の名前もない。
菅義偉氏は森山幹事長を使い「次期小泉内閣」に向けて準備を進めていると言われる。一方で森山幹事長は慎重に2つのシナリオを天秤にかけていて、このまま総理大臣も幹事長も交代しないのではないかという説まで飛び出している。
個人的な経験を踏まえるとそもそも保守と呼ばれる人たちには政党への帰属意識はなかったのではないかと思う。自民党には投票しなかったが次の総理大臣候補は自民党に所属の高市早苗氏が良いと考えている。
一方で悩みながら自民党に投票したような人たちは石破総理が続投し政治とカネの問題を総括してくれることを望んでいる。
誰もが政策で政党を支持しているという世論調査の前提はもはや物語だったのだろうが、これが成り立たなくなったことで都府県連は日和見ムードが高まっている。時事通信の取材に対して過半数が「態度を表明しない」としている。
さらに自民党内では別の力学が働いているようだ。清和会に対する風当たりが強まっている。清和会が政権を担当していた時代が長かったため「非主流派」の反発が強まっているのだそうだ。自民党の政局は人間関係によって動くことが多いが要するに過去のルサンチマンが原動力になっているのである。そもそも政党を支持するという考え方を失いつつある有権者には理解しがたい。
