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選挙に自信がないのか――ドナルド・トランプ大統領周辺が「緊急事態宣言」と「選挙国有化」を検討

7〜11分

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アメリカ国民には、勇気ある対応が求められている。アメリカの民主主義が破壊されることを懸念して、トランプ大統領の行動を止めるべきだ、という議論もある。しかし今はまず、「アメリカ合衆国がどこまで堕ちているのか」という現在地を確認すべきではないか。

トランプ大統領の周辺は、「緊急事態宣言」の発令を検討しているとされる。中国による選挙干渉を名目に、選挙を国有化して連邦政府の管理下に置き、選挙方式を再規定するという構想である。

是非、実行してみるとよい。世界は、アメリカの民主主義が破壊されたことを明確に確認できるだろう。機関的な押し返しを図るべきではない。アメリカが目を覚ますためには、これくらいのショック療法が必要なのかもしれない。

背景にあるのは、経済政策の不調である。Reuters・Ipsos、およびABC News・The Washington Post・Ipsosによる世論調査が、それを裏付けている。

Reuters・Ipsosの調査によれば、アメリカ人の7割近くが「アメリカは黄金時代にある」というトランプ大統領の発言を信じていない。共和党支持者の43%も、経済の好調さを実感していない点は深刻である。

また、ABC・Washington Post・Ipsosの調査では、医療保険、長期休暇、新車などに手が届かなくなっているアメリカ人が増えていることが示されている。つまり、生活に余裕を失いつつある層が拡大している。

今回の調査で特に深刻なのは、「アメリカ人の4〜5割程度が、そもそもトランプ大統領の経済政策についてよく知らない」という点だろう。政治情報のノイズ化や、既存メディアへの不信も影響していると考えられる。民主主義の基盤は大きく損なわれている。

こうした状況の中で、トランプ陣営は中間選挙での敗北を強く意識するようになった。その結果として、選挙制度そのものを変えようとしている。具体的には、郵便投票の制限や廃止、手集計の導入などが検討されている。

これは日本人から見ると奇妙な主張に映る。日本には郵便投票制度はほとんどなく、候補者名・政党名を手書きし、それをすべて手作業で集計している。緻密で勤勉な日本人は、この制度によって即日開票を実現できている。

時折、票数が合わないことが問題になるが、これは地方自治体の選挙管理委員会にとって「恥」の問題となる。票数の不一致を恐れた職員が無効票を混入させて隠蔽する例さえある。

ただし、日本の選挙制度には「恩賜的」な性格が色濃く残っている。民主化後も、候補者は街頭に立って政策を訴える形式しか許可されていない。戦前における「危険思想」への警戒 ― 当時は民主主義や共産主義が対象だった ― の影響が、十分に改正されないまま残っているとも言える。

これに対して、アメリカの選挙制度は、「人民が勝ち取った民主主義の証」として、参加の裾野を広げる方向で発展してきたものである。

しかし、トランプ大統領とその周辺は、こうした制度を「自分たちの体制にとって危険なもの」と認識しているようだ。おそらくこの構想は、多くの良心的なアメリカ人から機関的な抵抗を受けるだろう。

だが、それは破綻しかけているアメリカ合衆国の末期状態を、ただ先延ばしするだけになりはしないだろうか。おそらくトランプ支持者たちは「国有化ができなかったのはなにかやましいことがあるからだ」と負けを認めない準備を始めているのだろう。

アメリカの市民が、自らの手で「話し合いと妥協」の政治を取り戻せないのであれば、いっそ極限まで行き着くところまで行ってみるのも、一つの選択なのかもしれない。

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