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過激左派がチャーリー・カーク殺害事件の原因の一つ

11〜16分

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トランプ政権の移民追放が始まったとき、この迫害はいずれ内国民に向かうだろうと書いた。だがこれほど早く進展するとは思わなかった。

当初は次第にトランプ大統領の経済政策の行き詰まりにつれて政権が分断を煽る発言を増やすだろうと考えていたのだが、すでに不満を抱えていた人々は誰かを攻撃したくてたまらなかったようだ。MAGAの支持者たちはチャーリー・カーク事件の原因の一つは過激左派であると主張している。根拠は特に示されていないし、そんなネットワークも確認されてはいない。

日本でもSNSの一部が過激化しているという指摘があるが、アメリカ合衆国の場合は政府と政府支持者たちがここに加わっているという特徴がある。

テレビ朝日でこの問題を取り上げていた。容疑者のタイラー・ロビンソンがトランスジェンダーと暮らしていたとする箇所はぼかされており、個人の動機を探るうえでは重要な情報だがワイドショーでは扱いにくい話題なんだろうなと感じた。このニュースは主にストレートニュースとして扱われており論評とは切り離されている。

番組ではアメリカの情報に直接触れている山口真由氏が「分断がここまで進んでいる」と驚いていたのが印象的。一方で玉川徹氏は事情が飲み込めておらず「共和党と民主党では政府関与の度合いが違う」などと見当はずれのコメントに終始していた。ドイツ父権主義的な背景を持つトランプ大統領連邦の政府介入を増やしており伝統的な共和党の姿勢とはかなり異なる。現代アメリカ合衆国を知るうえでは重要な情報だがテレビメディアの上層部にいる人達には理解されていないのだろう。

もともと共和党支持の家に育ったタイラー・ロビンソン容疑者は何らかの理由で政治的に傾倒していったと考えられている。本人は何ら供述をしていないかあるいは本人の供述があまり重要視されていない可能性がある。またSNSの言論空間は「発酵」が進んでおり現在の右派左派の構図では理解が難しいかもしれない。出廷は16日になるそうで現在はユタ郡の刑務所に収監されている。

コックス・ユタ州知事は今回の件で捜査当局のスポークスマンの役割を果たしておりこの件を自身の政治的アジェンダである反SNS・反テック企業につなげたいと考えている可能性がある。しかしながらコックス知事が積極的に情報開示をしなければならない理由は他にもある。とにかくFBIが揺れているのだ。

トランプ大統領はFBIの捜査姿勢を敵視しており、FBIの幹部を粛清するためにパテル長官を送り込んだ。パテル氏は陰謀論混じりの言説で知られるトランプ大統領支持者だが捜査当局を指揮した経験はない。

今回の捜査においてFBIは早々に容疑者を確保したとSNSで発表したが後にこの容疑者は見当違いの人物だとわかった。また事件が起きた後、パテル長官は予約が取りにくいニューヨークの高級レストランで食事を楽しんでいたことも批判の対象になっているという。

これらの一連の対応がMAGAに批判されると「法務当局の反対を押し切ってビデオを公開したから」犯人逮捕が早まったと功績を主張。ユタ州の捜査当局は自分たちの地道な捜査で容疑者が確保されたと反論している。

そんななか、バンス副大統領がチャーリー・カーク・ショーの司会を務めることがわかった。予告編で「過激左派が原因の一つ」であると主張し、ミラー副首席補佐官がそれに同意している。またミラー氏は「背景に過激左派のネットワークがある」とも主張する。MAGA界隈は過激左派を「彼ら」と呼び、今回の事件は過激左派による自分たちへの挑戦だと受け止めているようだ。

当初批判されていたパテルFBI長官もタイラー・ロビンソン容疑者の背後にいるかも知れない過激左派ネットワークの捜査を始めたと主張しているが、もちろんそんなものは確認されていない。しかし批判にさらされて成果を焦るFBIが何をしでかしても不思議ではない。

一方でチャーリー・カーク氏を殉教者として神格化する動きも進んでいる。

タイラー・ロビンソン容疑者がまだ何も語っていないにも関わらず、周辺はそれぞれのアジェンダの宣伝にチャーリー・カーク事件を利用し始めており、当初の「トランスジェンダーと付き合っていた」という情報はもはやさほど大きな意味を持っていない。

この件について「まだ当事者が何も語っていないのだからセンセーショナルに語るのは良くないのではないか」という指摘があることは重々承知しているが、そもそも自分たちの人生が誰かに盗まれたという被害者意識を持っている人たちが大勢いる。つまり、きっかけなど何でも良かったというのが実際のところではないか。

ただし、ここまで来ても「政治的内戦とは言い過ぎではないか」という人がいるかも知れない。

ABCニュースによると政治家たちは次は自分が襲われるのではないかと考えている。日曜日のABCニュースは政治家たちのキャンペーンが相次いでキャンセルされたと伝えていた。キング牧師やケネディ大統領が殺された時代の再来を恐れている人達もいるようだ。

さらに、チャーリー・カーク事件を称賛する人を報告せよというMAGAの運動も始まっている。解雇者リストがトロフィーのように展示されているそうだ。航空会社はすでに複数の従業員を解雇し職務停止になった陸軍中佐もいるという。かつてアメリカ合衆国で起きたレッドパージのようなことが起きている。