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自民党が負けたのは国家像の打ち出しが弱かったからだ 青年局が意見聴取

9〜13分

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このところ不思議に思っていることがある。眼の前で問題が起きている。まずは状況を分析し対策を考えるのが最も単純でコストが小さいように思える。だが、誰もそれをしようとはしない。むしろ問題が大きくなるまで放置し「どうせ解決できないから仕方ない」と逃げてしまう。

どうしてそうなるのかがよくわからない。

自民党青年局が都道府県連に聴取を行った。結果「国家観の打ち出しが弱い」などの意見が上がったそうだ。石破総理はついに周囲の調整を諦め国会図書館から本を借りて読書三昧の日々を過ごすそうである。

時事通信の記事は次のように書いている。

  • 参議院選挙で負けたのは「政策や国家像の打ち出し」が不明確だったから
  • 国民政党として再出発するためには「自民らしさ」の打ち出しが重要

そもそも自民党が負けたのは「みんなが両手をあげて賛同できるような国家像」なるものが存在しないからだろう。仮にそんなものが存在するとすれば「国家像が明確ではない」等といった曖昧な意見ではなく「こういう国家像を目指すべきだ」という具体策が出ていたはずである。

結果的にこれと言った打ち出しができないため、とりあえずどこかで総裁選をやっってリセットしなければならないという結論になっている。どうしていいかわからないからとりあえずリセットボタンを押しましょうということだ。

日本の保守と呼ばれる人たちの国家像を集約すると次のようになる。

  1. 日本は何も間違ったことはしていないのだから問題に対処する必要はない。このままでいい。
  2. 日本はとにかくアメリカ合衆国という強い国についてゆけばいい。

一番目のドクトリンはアベノミクスの破綻によって崩壊した。そして二番目のドクトリンはトランプ大統領の誕生により崩壊しかけている。

もちろん迷走しているのは自民党だけではない。維新もまた迷走している。革新政党という側面と分配政党という側面をうまく使い分けてきた。ところが石破政権が不人気のままで続くようになると「分配を得るためには自民党に近づかなければならない」が「不人気な石破政権に近づきすぎると一緒に沈みかねない」というジレンマにさらされる。結果的に大阪組が復権した「利益分配政党」と言う側面が強くなったが、党内に亀裂が生じているため前原誠司氏の側近を政調会長として起用している。これは吉村洋文代表のいう「挙党一致体制」で要するに前原誠司氏の離反を心配している。

トランプ大統領を起点として日本の利益分配構造が崩れつつある中でそれに必死でしがみついているというのが実情。おそらく自民党の中でも同じ動きが起きてるのだろうが、維新の場合は形式上は独立した政党なのでわかりやすい。

自民党が国家像・国家観を再構築するためには、まず今までの国家像・国家観が何だったのかを総括しなければならない。おそらくそれはアメリカが作り上げた分配国家であり、アメリカ合衆国が変化すれば自ずと変化せざるを得ないのだろう。

しかしこれを総括するためにはなぜ日本がアメリカを中心とする分配国家を選択したのかを総括しなければならない。日本は敗戦によってこの新しい国家像をアメリカに「押し付けられて」いる。

ところが保守と呼ばれる人たちの動機を見ていると「私は悪くない」「何も間違っていない」という自己保身の気持ちが強いことがわかる。自分に自信がないため常に「私が悪いのではないか」という気持ちに苛まれているようだ。

しかし例えばバブル崩壊と失われた30年のきっかけになったプラザ合意はアメリカ側の都合でゲームのルールが変わっただけ。特に日本人が何かを間違ったわけではない。更に日本が第二次世界大戦に突入したのも世界の無極化が進行し日本が自前の自衛権構築に動かざるを得なかったからである。

このままでは日本人はとにかく過去に対してひたすら平伏し続けるか、あるいは全てなかったことにするしかなくなる。未来志向になるためには過去の過ちが何故起きたのかを分析した上で「こういう対策を取ったから過ちは繰り返さない」と説明しなければならないが、日本の民主主義はアメリカから与えられたものにすぎないためこれができない。

結局のところ「現在のゲームのルールがどのように作られているか」を理解しようとする気持ちがないままで「私が間違っているのだろうか」「いや私は絶対に悪くない」と怯えているだけということになる。保守と呼ばれる日本人は弱々しい虚弱な自己像に怯え過去と対面することを恐れているようだ。

なぜ日本人がこのように無駄な罪悪感に囚われ続けているのかがさっぱりわからない。いろいろなところで「なぜ日本人が無駄な罪悪感に囚われているのか」を聞き回っているのだが、誰も「これ」と言った答えを教えてくれない。

いずれにせよ政治家たちは今も現状を受け入れることを拒み「とにかくリセットだ」と主張し続けている。石破総理に至ってはついにどうしていいかわからなくなり国会図書館で本を借りて読書三昧の「事実上の」夏休みを過ごすそうである。続投を諦めれば好きなだけ本が読めますよと言ってあげたい。