老害になる人・老害にならない人の違いとは？

このエントリーでは「老害」について考える。日本の政治は老害政治と言われる。この老害のために普通の人は政治について語らなくなり「静かにシステムから離反」する。

少子高齢化や地方からの離反は女性たちの静かな離反によって生じているのだから老害政治・老害言論に対する対処を研究したうえで適切に対処しなければ、社会はますます住みにくいものになってしまうだろう。

Quoraと当ブログで「選択制夫婦別姓問題」について書いた。当ブログではコメントはつかなかったがQuoraには断片的に読み込んだだけのクレームがいくつかついた。普段はこのようなネガティブなコメントはあまりつかないので不思議に思い「老害」について調べてみることにした。

このプレゼンテーションには老害テストが出てくる。「自分は老害かもしれない」と考えて危機意識を持つ人と「自分は老害ではない」と考える人がいるだろう。実は「老害ではない」と考える人の方が危険だ。

• 老害テスト（6以上で老害の兆候あり）
  • 自分の話を優先
  • 成功体験を押し付け
  • デジタルツールに抵抗
  • 新しい音楽や映画を楽しまなくなった
  • 最新ニュースやトレンドに興味がない
  • 自分と異なる意見にイラッとする
  • 他人に対する口調がキツくなる
  • 年下にジェネレーションギャップを感じる
  • 外見への関心が薄れる
  • 新しいことを始めるのが億劫

加藤医師は脳の機能を８つにわけてそれぞれの機能の衰えを分析している。

• それぞれの分野の衰え
  • 思考系：知らないことがめんどうくさくなり、過去の経験に固執する（新しい何かを作るのが思考系）。
  • 感情系：相手を拒絶する・逆に他人の感情を無視する。
  • 記憶系：新しい情報を受け入れられなくなる（既に出てきた新しい事実を記憶するのが記憶系）。記憶できないので気が付かない。自覚できない場合には認知症の可能性もあり、診断と経過観察でない特別できない。
  • 伝達系：話が一方的になり「対話」が難しくなり、相手を傷つける言葉遣いを抑制できなくなる。
  • 聴覚系：人の話を長く聞けなくなる。聞いても理解（＝記憶）できなくなる。
  • 理解系：複雑な情報が処理できなくなるので、自分の単純化された理解を相手に押し付けるようになる。理解系が衰えると感情系が反応する。
  • 視覚系：複数の視覚情報が処理できなくなる。特にSNSのスクリーンが全てだと考えている人は「目の前のPC画面・スマホ画面だけがすべて」になるので視覚系老害に陥っている可能性がある。
  • 運動系：運動不足の自覚がない人や座りっぱなしの人は要注意。理解や思考などと密接に関連する。

加藤医師は、老害化を防ぐためにはできるだけ睡眠をとり脳が活性化している状態で問題に対処すればいいと言っている。この時に「相手は自分のことをどう思っているのか」と俯瞰することが重要。

脳の機能が衰えると「新しいことを計画する意欲」と「新しい情報を処理して記憶する」能力が衰える。同時に自分が社会的にどう見られているのかを認知することができなくなる。これを「メタ認知の衰え」と呼んでいる。

認知機能が衰えると他人の考え方を理解することができなくなり自分の思考フレームを他人に押し付けようとする。また自分が他人からどう見られているかがわからなくなるために言葉遣いは荒くなる傾向があるようだ。

ここから普段の海外政治事情に関する投稿に反応しない人が「自分がよく知っていると感じている（本当に知っているかどうかはわからない）問題」に限って堂々と割り込んできて、自説を展開しつつ、お前の言っていることはよくわからないから謝れと主張してくる理由がわかる。

では「老害」は高齢者の問題なのだろうか。大阪・関西万博のイギリス館のアフタヌーンティーが炎上している。主に紙コップで提供される紅茶と「粗末に見える」お菓子が問題になったようだ。

そもそもアフタヌーンティーは使用人の仕事の邪魔をしないような簡単な軽食が元になっているのだが、日本ではイギリス貴族の生活を美化したいという欲求があったようだ。もともと手作り弁当のクオリティにもこだわるほど「見た目にうるさい」日本人の有閑主婦向けのサービスとして受け入れられたこともあり、日本人が持つアフタヌーンティーはイギリス本家のものよりも豪華である可能性が高いのではないかと思う。

ハフポスト日本語版も次のように書いている。英国に対する憧れを持っている人が多いことがわかる。

日本や海外のティールームが写真や詳細とともに次々と投稿されて「アフタヌーンティー祭りになっている」とコメントが寄せられるなど、アフタヌーンティーに対する関心の高さを伝えた。

大阪万博で話題のアフタヌーンティーがSNSの声で劇的変化。カップは紙から陶磁器に、ケーキは？英国大使館に聞いた（ハフポスト）

一方でさすがに紙コップはひどいということになったのだろう。すでに陶器での紅茶提供が行われているとハフポストは書いている。

しかしながら「問題」を指摘した投稿はすでに炎上状態になっている。記事の複雑な情報や投稿者の気持ちが読み込めなくなっている。自分の思い込みに強化されたまま細かい情報（販売元や原価など）を調べ上げ、投稿の一部を切り取って批判してくる人が多いというのだ。

想定外の反響に驚いたというが、思わぬ展開を見せてしまい、困った事態も。「Xでは失礼な人が多くいて、ケーキやスコーンの販売元や原価まで調べ出し、満足したという私の一文だけを切り取り、誹謗（ひぼう）中傷されるポストがとても多くなっています。

紙コップ提供で物議の“万博のアフタヌーンティー”　投稿者が騒動の誹謗中傷に困惑、英国側からは直接連絡（ENCOUNT）

こうした炎上祭りに高齢者だけが参加しているとは思えないが、現象だけを見ていると「認知機能の衰えによる老害」で全て説明ができてしまう。知らずしらずのうちにSNSの老害化は若者にも浸透しているのかもしれないが、おそらくメタ認知の衰えた当事者たちにその自覚はないだろう。

これらの例から分かるように「何が炎上するか」を予測するのは難しい。あくまでも一般的な人が理解できるような身近な話題の方が複雑な問題よりも炎上しやすいが、一体祭りの参加者が何に反応しているのかはわからない。

PIVOTのプレゼンテーションは老害に対する接し方も説明している。そもそも認知機能が衰えているので論理的に間違いを指摘しても意味はないそうだ。仮に説得を試みたとしても理解できない言葉は全て「捨てられてしまう」のであたかもブラックホールに吸い込まれたかのような疲労感が残る。

老害には関わらないのが一番だそうだが、関わる場合には「反論するのではなく、相手がどんな認知を持っているのか」を一つひとつ確認しながら事実ベースで話を進めてゆくべきだとしている。

この「事実」という言葉は少し扱いが難しい。あくまでも「相手が事実をどう認識しているのか」が重要になる。そのフレームに逆らわない形で「でも実際にそうなっていないですよね」と相手にわからせる必要がある。つまり相手のメタ認知を補完してやらなければならないということになる。

特にSNSではPCやスマホに一日中張り付いて「そこが世界の中心」のように考えている人はすでに老害になっていると考えた方がいい。こうした人には関わらないのが一番である。