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結局はおこめ券かよ 政府の経済対策が判明

10〜15分

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予算委員会の審議が始まったが野党は時間稼ぎの質問を繰り返している。特に今回の件で「立憲民主党はいらない」という声が上がっているようだ。しかし枝野幸男氏によれば政府がまだ補正予算案を出していないので審議のしようがないそうだ。そんな中、ようやく政府から経済政策が発表されることになった。目玉はプレミアム商品券などの金券による物価高対策と一世帯あたり8643円の燃料支援だそうだ。参議院選挙からしばらくゴタゴタしていたが「何だ結局こんなものか」と言う気がする。

国民の意識を変えられない限り金券は支給額の25%程度の効果しか生まないと試算する人もいる。

政府の対策案が出てきた。先細る財源を考えるとまあそんなものなのだろうなあとは思うのだが、参議院選挙・政権の組み換えなどのゴタゴタが長く続いたことから期待値だけは上がっており「なんだ結局これくらいのことしかできないのか」と言う気がする。

政府が一律に支給を決めると必ず少なすぎると批判される。また地方組織の弱体化が進んでいるために地方自治体の議員に「活躍」の期待を与えたいとも考えたのだろう。結局、政府が応援するから使い道は地方議会で決めてくださいということになった。

これとは別にエネルギー補助の話が出ているが1世帯あたりに8643円の補助になっている。

一方で成長戦略は財政拡張的なものになりそうだ。この政権は強さにこだわる政権であり政府の集中投資によって強い日本を作り出そうとしている。財政政策は拡張的であり長期的にはインフレを誘導する政権になりそうだ。プライマリーバランスは役割を終えたということになっており単年度で財政評価する現在の体制を変えようとしている。

この経済財政諮問会議に入っているのが、テレビでもお馴染みだった永濱利廣氏だ。メディアへの露出が期待できると考えての人選だろうがこれは結果的に高市世間に対する逆風を生むかもしれないと感じる。

テレビで活躍するエコノミストたちはお互いにライバル関係にある。彼らは表向きは公平な評論を心がけているように見えるのだが、ネットでの発言を聞くと「あれ、随分違ったことを言っているのだな」と感じることがある。

名指しは控えたいがある経済評論家が「おそらく高市さんは物価高対策や円安対策には興味がないでしょうけどね」と言っていた。この発言を聞いたときに「あれ?」と思ったのだが、その後は「田崎史郎さんではありませんが財源があれば色々やりたいことがあるんでしょうね」などと発言したため、この発言に違和感を感じた人は少数だろう。

実際に財政拡張路線はドル安を通じて物価高のキードライバーになる可能性が高いい。現在一時155円をつけている。

今後「部外者」した彼らが「公平」に、その場しのぎの金券では問題は解决しないだろう、現に高市政権は円安を放置しているなどと批判し出だすとおそらく自民党に対する風当たりは更に強いものになるだろう。

つまり高市政権がテレビ受けを狙って自分に近い代弁者を立てると入らなかった人たちが「敵側」に回ってしまう可能性が高いのである。

例えば、プレミアム商品券は「おこめ券」に代表されている。国民は石破政権がコメの増産に転換したときにコメ価格の下落を期待をしたが、農水省OBの「はえぬき」大臣が政策を転換し「国民にはおこめ券でも配っておけばいいだろう」と主張した。期待値が高かったぶん、国民は「何だおこめ券か」と考えるようになる。これも公平性を装った一種の情報操作だ。

NRIの木内登英氏はプレミアム商品券について次のように分析している。

  • 物価高は全国一律で起きているのに、住んでいる場所によって支援が受け取れるかどうかが異なるため公平性に問題がある
  • 石破政権時代にあったバラマキ批判を回避する狙いがあるのだろうが、地方に丸投げでは責任回避を図っているだけなのではないか
  • 一時的な支援は支給額の25%程度の消費押し上げ効果しかない。支給額で浮いたぶんはほとんど貯金に回ってしまうからだ。
  • また低所得者に対する十分な支援が行えなくなる。

25%について検索すると内閣府の検証結果がヒットする。2020 年5月以降に支給された「特別定額給付金」の2ヶ月間のデータを家計アプリで調査したもののようだ。木内氏の発言根拠はよくわからないが、意外と政府はちゃんとした総括をしないままで次の経済対策を……ということになっているのかもしれない。所詮は政治的な「気持ちの持ちよう」ということなのだろう。

政策課題分析シリ-ズ 22 特別定額給付金が家計消費に与えた影響 -リアルタイムに記録される家計簿アプリデータを活用した分析-

この話題も実は防衛の議論と同じようなところがある。安倍政権はアベノミクスを経済的現象と考えていた。しかし高市総理大臣はアベノミクスを気持ちの問題と考えており国民経済が経済の痛みを感じなくなるまでデフレ脱却宣言は出せないと考えている。

つまり国民の気持ちが晴れるかが重要ということになるが、わずかに金券をもらってもそれが国民の経済実感を変えることはない。結果的に円安が助長され、労働者不足は解消されず、低い生産性が温存されて賃金も上がらない。

実態のない議論のため今後の与野党間のちょっとした議論によって煙がどっちに流れてゆくかが決まることになる。