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狂喜するネタニヤフ首相と狂った世界

6〜8分

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世界が新しいフェイズに入ったことを印象付ける一週間だった。第三次世界大戦と表現されることもあるがあまり正確な表現ではない。

ネタニヤフ首相が目を見開いたYouTube動画が流れてきた。トランプ大統領の誕生日を祝うメッセージだ。

彼の表情はどこか恍惚感に満ちているが取り巻く状況は極めて混乱している。

ネタニヤフ首相のメッセージはトランプ大統領の誕生日を祝う内容だが、メッセージが進むにしたがって次第に内容がイラン憎悪に変わってくる。内容は機械翻訳で日本語で読むこともできる。

後半はイスラエルが核兵器開発に邁進するイランを攻撃したと言う主張。その背景にはトランプ大統領の素晴らしい尽力がある強調している。さらにヨーロッパとアラブに対して「イランを封じ込めるためにアメリカとイスラエルは協調して動いている」と主張する。イラン対世界という構造を作ろうとしているのだ。

別のニュースを読んでまた驚いた。

イランからの攻撃によりイスラエル側にも死者が出ているそうだ。自国民が亡くなるような悲劇に見舞われているのにこの表情とは……

心底恐ろしくなった。

イスラエルは今回の軍事作戦をアメリカに事前通告したがトランプ大統領はこれを阻止する行動は一切見せなかった。

唯一、在イラクアメリカ大使館からの撤収と軍関係者の撤収を求めている。国防総省も事前に内容を知っていたようでピザ店が大忙しだったそうだ。なにか特別な軍事作戦が行われる際にピザが売れるということで「ピザメータ」と呼ばれるそうだ。

直後にルビオ国務長官からアメリカ合衆国は今回の軍事作戦には参加していないという表明があった。ところがトランプ大統領はイスラエルの行動を「エクセレント!」と褒め称えている。この時点ではイランとの核交渉はうまくいくだろうとの見通しを示していたが、Axiosなどは交渉は難航するだろうと予想しており、実際に仲介国オマーンは協議の中止を表明した。

イラン領内にはモサドが入り込み着々と要人殺害の準備を進めていたようだが、イランは核交渉が行われている間は当然アメリカ合衆国はイスラエルを抑えておくだろうと油断していたようだ。つまりイランはアメリカ合衆国に不意を突かれた形になっている。

ロシアがウクライナを不意打ちした時、我々はこれは極めて例外的な出来事でありすぐに事態は収束するだろうと考えていた。しかし何年経っても戦争は終わらず、むしろ拡大傾向にあるように思える。

第一次世界大戦と第二次世界大戦では世界は大きく2つのブロックに別れていた。今回の混乱を第三次世界大戦と呼ぶ向きもあるが先の2つの世界大戦のような明確な構造がない。戦争終結の兆しも見えず徐々に新しい形の混乱が世界を覆いつつある。

そのなかでネタニヤフ首相は目をランランと輝かせ自国民の死を意に介そうともせず嬉々として自分の野望を世界に向けて発信している。

今でもうすうすは「この映像はフェイクなのでは?」と思っているのだが、我々は新しい現実を生きているということなのかもしれない。

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