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物語に耽溺する高市支持者が貧乏を選択するまであと3日

9〜13分

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みずほマーケット・トピック(2026 年 2 月 2 日)が話題になっている。「高市演説を受けて~危うい現状認識~」というタイトルで、かなり踏み込んだ内容になっているからである。共同通信は「円安ホクホク」発言の余波続く みずほ銀はリポートで懸念を示す」というタイトルでこれを伝えている。有権者が真実を知れば選挙結果が変わるかもしれないという期待があるのかもしれないが、おそらく有権者はより強く物語に耽溺し自ら貧乏になる道を選ぶのではないか。エビデンスこそないが、ブログの閲覧数などを見ていると強くそう感じる。

なぜそうなったのかを考えると「社会的脳梗塞の初期症状」という乱暴な仮説が浮かんだ。

実に不思議なレポートだ。アベノミクスは構造改革に失敗し企業と資本の海外流出を招いたという主張がオーソドックスな論理構成と統計により淡々と示されている。一方で政権に対する評価は極めて辛辣。しかしどこを読んでもなぜそうなったのかは書かれていない。

おそらくアベノミクスを強硬に推進していた経済学者たちが失敗を糊塗するために自己保身の言い訳を繰り返し、高市総理と周辺のスタッフがそれを鵜呑みにしていると分かる。極めて危険な近視眼的状況だ。一方で構造改革という苦いおくすりを処方するエコノミストは排除されてきた。

このところメディアは高市総理の一度いい出したら意見を変えない頑迷さに強い危機感を感じ「高市総理の考えを変える事ができるのは市場だけである」と見ている。つまり、有権者が(日経新聞社説が言うところの)消費税減税ポピュリズムに傾く中、市場が日本の進路を修正してくれることを期待しているのだ。

しかしおそらく市場は高市総理を説得することはないだろう。高市ラリーと呼ばれる機会からの利益を享受しつつ、資金を海外に逃避させるはずだ。つまりこのレポートは「ここまで強く主張しても結局高市氏は変わらないだろう」と理解するのではないか。

この「絶望感」の背景もエビデンスがない。よく高齢者と話をしていると「現状認識が入れ替わらない」ことがある。人間の脳には情勢変化を踏まえて状況をアップデートしてゆく機能があるが高齢化するに従ってそれが衰えてゆく。

レポートが指摘する「円安に日本の製造業が活況を呈する」という「前時代的な認識」が入れ替わらないのも高齢化によるアップデート能力の衰えに似ているのだが、高市総理はまだそんな年齢ではない。むしろアップデートが行われなくなった社会に最適化した総理大臣であると考えるべきなのかもしれない。

社会の認知機能の衰えは徐々に進行している。最初の世代は現状に抗ったが情勢を変化させることができなかった。彼らを敗戦世代とすると、次の世代は戦後第一世代ということになる。そもそも現状に違和感を覚えることをやめて「これが正解なのだ」と受け入れる。しかし現在の社会情勢を肯定したわけではない。何も考えないようにしそこから距離をおいている。

この世代は「いっけんよく考えられているように見える正解」を好むが、かといって「それがなぜ正解なのか」は考えない。また正解でないことが分かるとこだわりなくそこから静かに退室してゆく。期待していないから抗議もしない。

政権幹部は否定しているようだが、文春報道では高市総理は数日前からNHKの日曜討論に出ないことを決めていたとされる。そもそも過去の物語の劣化コピーに過ぎない内容を討論しても何も成果は出なかっただろうと考えると選挙キャンペーンとしては成功だったのかもしれない。

しかし、白紙委任状を求める高市総理に対して、有権者も何も書かれていない委任状を手渡しているにすぎない。当初の白紙委任状取得という戦略は破綻したと言って良い。

「現状を変えてゆく能力」にはそれなりの認知的コストがかかる。しかし「若い脳」はそれなりにそのコストを賄えている。高齢者の脳はこうした認知コストに耐えられなくなり現状認識能力が衰えてゆく。しかしそれがなぜ社会で同じ現象が起きるのかは説明できない。敢えて暴論としての仮説を立てるならば、社会のあらゆる面で「目詰まり」が起きており、社会的脳梗塞が始まっているのではないかと考えたくなってしまう。

結果的に「社会の若い細胞」も現状認識を諦め、そもそも情報を処理することをやめてしまう。別の論考で分析したようにおそらく日米同盟への過度なしがみつきは日本に高い代償をもたらすだろう。同じように「資源を輸入して日本で加工し海外に売る」という過去の成功モデルに対するしがみつきも、海外への資本流出につながる可能性が高い。賃金は上がらず、円安インフレで国内消費者が苦しめられると言う未来。

今回の総選挙で高市総理が勝てば、過去の擦り切れた物語に耽溺する日本人は自ら「貧しくなる未来」を選び取ったことになるだろう。構造改革という苦いおくすりは飲みたくない。まだまだ自分は健康だと思いたい。そんな気分はわからなくもないが、やはりそれは自滅への一本道である。

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