アメリカ合衆国は政治内戦状態にある。この主張に「そんな大げさな」と考えた人も多いのではないか。ミネソタ州で民主党所属の州議会議員が襲撃された。下院議員と夫は亡くなり、上院議員と妻は手術が終わったところだそうだ。
容疑者は逃亡中で車中から州知事と民主党所属議員をターゲットとするメモが見つかっていて、州知事はテロという表現は避けながら「政治的暴力」と表現している。
アメリカ合衆国ではトランプ大統領の生誕祭に合わせた軍事パレードが行われることになっている。これに対抗する形で各地で「王様はいらない」デモが実施されている。動員は数百万人規模になりそうだ。
そんな緊張状態が続くアメリカ合衆国ではノーム国土安全保障長官に詰め寄った民主党上院議員が頭を押さえつけられ手錠をかけられる事件が発生した。
さらにミネソタ州では州議会の上院議員と下院議員の夫妻がそれぞれ襲撃されている。下院議員と夫は亡くなり上院議員と妻は手術を受けているという。
容疑者は確保されていないようだが警官の服装をしていたという報道がある。車中からは知事と民主党議員をターゲットにしていたとされるメモが発見された。
- Minnesota lawmaker Melissa Hortman killed, State Sen. John Hoffman wounded in ‘targeted political violence’（ABC News）
- 米民主党のミネソタ州議会議員、２人撃たれ１人死亡…議員らの名前書かれた「標的候補」リスト回収（読売新聞）
一応のところ連邦当局もトランプ大統領も政治的暴力は良くないと言う声明を出しており今回の行動を称賛するような暴挙には出ていない。だがアメリカ合衆国を「親アメリカ」と「反アメリカ」に分断するような言動を繰り返しており、起こるべくしておきた事件と言えるだろう。
当然民主党だけがターゲットになるはずはない。「議会政治に重大な警告」というAxiosの記事は極めて真っ当な感覚だがいったん分断されてしまった政治状況が自然に修復されるとは考えにくい。
ときには暴力も使いようだと考える人もいるのだろうが、所詮暴力は暴力であって容易にコントロールが難しい状況が作られることになる。人間は飼いならされた存在かもしれないが集団を作って相手を圧倒したいという本能をなくすこともできない。
ミネソタ州は人口が500万人程度。ミネアポリス中心に人口が集中しておりこの地域では民主党が強い。前回の大統領選挙ではハリス氏が勝利しておりウォルツ知事はハリス候補のランニングメイト（副大統領候補）だった。
今回の事件を受けて知事は「テロ」という表現は使わず「（狙い撃ちにした）政治的暴力」という表現を使っている。