イスラエルとイランの緊張状態が続いておりアメリカ合衆国もこれに巻き込まれる可能性が高まってきた。国内では対ICE抗議運動が続いており政治的内戦といった様相を呈している。共和党と民主党の争いと矮小化する向きが多いようだが、実際には二元代表制の否定の動きと捉えるべきだろう。直接話を聞こうとした民主党上院議員が頭を床に押さえつけられ手錠をかけられる騒ぎに発展している。移民問題の民主党側の筆頭委員だったそうだ。
議会と大統領はアメリカの民主主義を支える二元代表制の最も重要な要素だ。政権は議会民主党と裁判所を無視する形で暴走を続けており「単一行政理論」に基づく大統領宣誓を目指している。
今回の騒ぎは起きるべくして起きたと考えていいだろう。ノーム国土安全保障省長官の説明不足に苛立った民主党上院議員を大勢で取り押さえ床に頭を擦り付けたうえで手錠をかけて排除している。
ノーム国土安全保障長官はパディーヤ議員が議員だと走らなかったとしている。この説明を信じると「突然入り込んできたヒスパニック系のおっさん」を押さえつけたことになり、政権がヒスパニック系を「人間以下のなにか」と見ていることは明らかである。
一方でパディーヤ上院議員は議会として説明を求めてきたがノーム国土安全保障長官は全く応じていないと解放後に体を震わせながら抗議の意思を示した。
政権は裁判所の制止を振り切り議会にも説明をしていない。これは明らかに憲法秩序への挑戦だが、岩盤支持者たちが政権を支持していることを確信しているのだろう。手を緩める兆候はない。
裁判所は州兵の指揮権を州知事に返すように命じたが控訴裁判所は17日に「双方から話を聞く」としており差止命令は有効になっていない。
議会に対する説明不足と議員の強制排除は共和党の議員たちにとっても大問題のはずだ。実際に困惑する共和党議員もいるようだが、トランプ政権の「反アメリカ排除」キャンペーンはある程度成功しつつあり声を上げにくいのが現状のようだ。
- Padilla episode triggers five-alarm fire for Democrats(Axios)
- Democrats condemn senator being pushed down and handcuffed at Noem press conference(ABC News)
今回のロスアンゼルスの騒乱が自発的におきたものかあるいは何らかの挑発に乗った仕組まれたものなのかはわからない。だが報道を読む限り、抗議体も不法移民と同一視され「反アメリカ」のラベルを貼られることを恐れていることがわかる。
民主主義は中間層の動揺に極めて弱い事がよく分かるが、アメリカの憲法秩序が今後も国民に支持されつづけるかどうかについて、かなり重要な局面を迎えている。
