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民主党が勝利し連邦政府閉鎖が更に泥沼化 政治家は何と戦っているのか

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ニューヨーク市長選挙、ニュージャージー州・バージニア州知事選挙が行われ、いずれも民主党の候補が勝利した。皮肉なことにこの選挙結果でますます連邦政府閉鎖の解決が難しくなっている。民主党が妥協すれば問題は解決するが全勝したことで後に引けなくなってしまったのである。

CNNによると敗因は連邦政府閉鎖ではなく長引くインフレだったようだ。

バイデン政権は足元でインフレが起きているにも関わらず「インフレなどない」と状況を軽視していた。結果的にこれが民主党の敗北とトランプ大統領の誕生につながっている。トランプ大統領も60ミニッツに出演し同じようにインフレなどないと主張した。つまりトランプ大統領とバイデン大統領は同じ過ちを繰り返しているというのがCNNの主張である。

ではこれがなぜ連邦政府閉鎖の解決を難しくしているのか。有権者は問題の解決を求めている。しかしトランプ大統領は俺のメンツ問題にこだわり民主党はイデオロギー対立に陥っている。

最初の原因はトランプ大統領の性格である。「選挙の負け=オレに対する否定」と考える傾向があり民主党に対して妥協を拒む頑なさを見せている。別のエントリーでまとめたが民主党との話し合いを拒否しフィリバスターの廃止にこだわっている。

一方で民主党も「選挙で勝ったんだからここで引き下がれば負けたことになる」と考える人が増えているようだ。下院は上院に妥協しないように働きかけており草の根団体も同調している。

さらに深刻なのは「そもそもどの民主党が勝ったのか」がわからなくなっている点だ。ニューヨーク市では不動産価格が高騰しており移民が住みにくい環境が生まれている。投票率が低いことからそもそも市の政治に興味がない富裕層が多いこともうかがえる。結果的にかなりラディカルな社会民主主義者の移民の子孫が勝利した。民主党の中で主流派になれなかったラディカルな人々はこの勢いに乗って自分たちの勢力を拡大したい。

しかしながら、ニュージャージー州・バージニア州知事選挙で勝ったのは穏健な政治家だった。特に郊外の票が結果を左右したと言われているそうだ。こちらも住宅高騰が問題になっているが、社会民主主義のようなラディカルな政策は求めていない。

CNNはどちらも勝ってしまったから党内の対立に決着がつかなかったと言っている。バイデン大統領の選挙戦撤退が遅れたためにハリス候補敗退を巡ってまとまりがない状態が続いているうえに、党内で穏健路線を取るべきか急進路線を進むべきかという路線対立が生まれてしまった。結果的にどちらも勝ってしまったことで決め手に欠ける状態が温存されてしまったということになる。

イデオロギー的に大きく異なる候補者が勝利したことで、民主党内で長年続く「進むべき路線」をめぐる論争に決着がつくことはほぼないだろう。数カ月後には中間選挙の予備選が控えるほか、2028年大統領選もすでに視野に入りつつある。

米民主党が知事選などで勝利、有権者はトランプ氏を拒否 選挙結果から見えたポイントは(CNN)

有権者はおそらく「イデオロギーや個人のメンツなどどうでもいいから眼の前の物価高をなんとかしてくれ」と考えているのだろうが、政治家はそれに応えることができていない。結果的に連邦政府は機能麻痺は続いたまま。連邦政府の閉鎖はついに新記録を達成してしまった。