ガソリンスタンドでガソリン価格が上昇しているのはトランプ大統領の影響だという認識が広がるなか、「正解暗記総理」とも言える高市早苗総理に強い逆風が吹いている。共産党の山添議員の質問に対し、「まだ会談していない、以上だ」と答えた場面の映像がXで拡散されている。
今後、高市総理のこの姿勢は国民の反発を生む可能性が高い。しかし、そのメカニズムが明確に言語化されることはおそらくないだろう。
長引く低成長を経験した日本人には、「持ち出し」を不快と感じる心理回路が形成されているのではないか。例えば、新しいパソコンやスマートフォンを購入する際、「損をしないか」「後になって使えなくなるのではないか」と念入りに質問したり調べたりする人が増えているという。
これを分析すれば「日本人の損失回避傾向」と表現できるのだろう。しかし、この回路はおそらく十分に言語化されておらず、あくまで「快・不快」という感覚として認知されている。日本人はこの快・不快を起点に、それを合理化するための材料を後から集めるという思考様式を持っていると考えると、さまざまな政治状況を比較的合理的に説明できる。
例えばこれまでは、「アメリカ合衆国に追随することが最も損失回避的」であり、「リベラル路線は不確実性が高い」と理解されてきた。アメリカ合衆国が「確実」であるという理解も、実際には感覚的なものであり、必ずしも合理的な回路で処理されていたわけではない。
つまり、トランプ大統領の不確実性が報道されればされるほど、日本人は不快感を覚えるようになる。しかしそこで「高市総理に反対しよう」とまでは考えない。不快なものからは距離を置きたいと考え、静かに離れていってしまうのだ。すると高市総理がどれほど夢を語っても、それは響かなくなる。根源にある「快・不快」に対しては、合理的な説明だけでは十分にアクセスできないからである。
つまり高市総理は、「なぜアメリカ合衆国についていくことが合理的であり、損失回避的なのか」を説明する必要がある。しかし、おそらく会談の直前になってもその理屈を見つけられていないのだろう。それも無理はない。暗記すべき「正解」が見つかっていないからだ。
REUTERSによれば、自民党内でもさまざまな声が上がっている。これまでの「正解」が溶けてしまったことで、どう対応すべきか分からなくなっているようだ。小野寺五典氏や鈴木宗男氏などの意見が並列的に紹介されているが、一定の結論には至っていない。
「不確実性」を前提にすると、トランプ・高市会談は「アメリカ合衆国が『同盟』という概念にどの程度こだわっているのか」を知る良い機会になるかもしれない。
一つ懸念があるとすれば、日本の外務省やマスメディアの態度だ。これらの組織は、不確実なものを「きれいにお化粧」して提示する傾向がある。実はすでに破綻しているものを「破綻していない」と修正してしまう可能性も高い。しかし、それは必要な対応の議論を遅らせることになり、結果として国益に沿うとは言えない。

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