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正解がわからない 徐々に計算が狂い始めた高市総理

8〜12分

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時事通信社の世論調査によると、高市早苗政権の支持率が下落した。不支持が先に上がり始めたのが特徴だ。ここで政治的な実力を示せなければ、高市政権の基盤が崩れ、支持率はさらに下落するものと考えられる。

高市総理の人気の根源は二つある。一つは「今までの政治家より私たちに近い」という親しみやすさ、もう一つは権威主義的な強さである。安倍晋三の支援を前面に打ち出し、現在はドナルド・トランプ大統領との関係を協調している。高市総理は、この「正解」に基づいた答案を書けば合格点が得られるはずだった。

安倍総理は国賓級の訪米の際、祖父である岸信介の決意表明を引用し、有名な「希望の同盟」議会演説を行った。高市総理もこの故事に倣い議会演説を行う予定だったが、急遽キャンセルされた。理由は「議員たちがいないと分かった」からだという。

もともと三月は中間選挙に向けた準備が始まる時期にあたり、議会は比較的閑散とする。現在は連邦政府の部分閉鎖も起きているが、解決のめどは立っていない。議会スケジュールが大きく変わったという情報もないため、無理をして演説日程をねじ込んだと考える方が自然なのかもしれない。つまり「最初から議員がいないこと」が分かっていた可能性もある。

議会の日程は数か月前から公開されている。したがって「議員がいないと分かった」という説明はやや不自然だ。むしろ訪米を格上げする外交演出として議会演説が一度は検討されたものの、議会側の温度が上がらず実現しなかったと見る方が自然かもしれない。

そもそも、安倍総理の演説はなぜ歓迎されたのか。バラク・オバマ政権第二期には、議会のねじれがあった。民主党と共和党がそれぞれ軍事費と医療・福祉を人質に取る形となり、予算をめぐる対立が続き予算審議は度々危機に陥っていた。

この「希望の同盟」演説は、限定的集団的自衛権の議論とリンクしていたが、実際にはアメリカ議会への政治的メッセージの意味合いが強く、具体的な要請につながったわけではなかった。

アメリカ議会とオバマ政権の対立という背景は、日本国民に十分説明されることはなかった。安倍政権にとっては、「日米同盟が正解である」というゴールに向けて、期待される答案を書けばよかったのである。

しかし今回は事情が異なる。今回はトランプ大統領のイラン戦争とリンクしている。つまり力強い同盟を強調すれば、自動的にイランとの戦争に「アメリカ側」として巻き込まれる可能性がある。すでに湾岸諸国の米軍基地が攻撃対象になっており、沖縄や関東の米軍基地も攻撃対象になりかねない。

国民の間に残る「巻き込まれ不安」も深刻だ。時事通信の調査によれば、イランとの戦争に多くの日本国民が不安を感じている。また、ガソリン価格の高騰が誰によってもたらされたのかについても、日本国民はよく理解している。

安倍総理の時代には「日本が今後も恵まれた通商環境を維持するためには、アメリカとの同盟は必要不可欠だ」と説明されてきた。しかし高市政権は、もはやこの「正解」を使うことができない。

今後は、正解に頼ってきた高市総理が、自らの頭で新しい答えを考えられるのかに注目が集まる。もしこれに代わる「ナラティブ(物語)」を提示できなければ、「夢の管理人」としての高市総理の政治的資産は大きく損なわれることになるだろう。

自衛隊の機雷掃海についての説明を聞く限り、高市内閣はアメリカ合衆国に協力するための理論構築がまだ十分ではないように見える。協力のためには、アメリカ合衆国が国際法を遵守していること、そして戦争が終結していることを示す必要がある。しかし、そもそも宣戦布告なしに始まった「Excursion(ちょっとした遠出)」と表現された戦争なのだから、正式な終戦宣言が出されるかどうかは不透明である。

おそらく外務省、そして茂木敏充外務大臣と高市総理の関係はそれほど良好ではないのだろう。カンニングも許されない、厳しい状況に置かれている。


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