9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方

悲劇は時々喜劇のように振る舞うことがある。トランプ大統領は自身の誕生日に合わせて盛大な軍事パレードを行った。もちろん軍隊に対しての祝賀もあったが、ところどころでトランプ大統領誕生日おめでとうございますというメッセージも流されていた。

トランプ大統領は軍隊への敬礼を繰り返していたがその姿は「祭り上げられた王様」と言った風情で非常に滑稽だった。

今回の「お誕生会最高司令官ごっこ」はその背後で行われたノーキングスデイと対比されることが多い。アメリカの有権者は必ずしもトランプ大統領を王様とはみなしていないぞというわけだ。確かに各地で数百万単位の動員があったようである、

しかしながら実は今回の軍事パレードごっこの裏では本物の戦争の危機が高まっている。おそらく参加者の中にも「今こんなことをしている余裕はない」と気がついていた人たちがいたはずなのである。

トランプ大統領は軍隊とアメリカの歴史を私物化し「最高司令官ごっこ」にご満悦だった。パレードではヘグセス国防長官がトランプ大統領の隣に座りイベントの成功に大変満足していたようだ。ただその敬礼にはどこか滑稽さも入り交じる。行進の足並みは揃っておらず実際には空席も目立ったようだ。

途中でルビオ国務長官が何回か映し出される。彼は非常に不満そうな様子だった。また陸軍長官・海軍長官なども乗り気でない表情。

トランプ政権はイスラエルから攻撃の事前通告を受けていた。

トランプ大統領は連邦政府関係者と軍の関係者を退避させたがそれ以外の行動は取らなかった。Quoraでフライトレーダー24の情報をまとめている人によると攻撃直前にも周辺空域には飛行機が飛び交っていた。一歩間違えれば自国民が犠牲になりかねない状況だったようだがトランプ政権は意に介さなかった可能性がある。

ルビオ国務長官は攻撃直後に「アメリカは関与していない」との声明を出した。しかしトランプ大統領は「エクセレント!」とイスラエルを称賛し、今後はイスラエルの防衛に介入するかもしれないとメディアに応えている。

トランプ大統領は現在でも「イスラエルとイランはすぐに和平に合意すべきだ」と絶叫しておりおそらく状況の深刻さを理解していないものと考えられる。

情報も錯綜している。AP通信はイスラエルがハメネイ師殺害をアメリカ合衆国に持ちかけたがトランプ大統領がこれを拒絶したと伝える。しかしながらネタニヤフ首相は「マスコミがありもしない会合を捏造した」としておりアメリカがイスラエルの援助を断ったとする報道を否定しているようだ。

日本語ではBloombergが状況を伝えているが情報戦になっており、アメリカ(厳密にはトランプ政権)がどちらに転ぶのかは定かではない。

ネタニヤフ政権は崩壊の危機をすんでのところで食い止めているのが実情で後戻りはできない。トランプ大統領の誕生日にかこつけてアメリカ・ヨーロッパ・アラブを戦争に巻き込もうと目をランランと輝かせているのだが14人の自国民が犠牲になっている。

トランプ大統領はFOXニュースなどの論調や最後に聞いた声の大きな人の主張をそのまま鵜呑みにしてしまう可能性が高い。つまりアメリカ合衆国の国際的立ち位置について中長期的な視点を持たない。

ルビオ国務長官はこの貴重な時間が刻々と過ぎゆく中でトランプ大統領のバースデーパーティーに合わせて主催された「最高司令官ごっこ」に参加せざるを得なかったということになる。

今回のG7サミットで世界の首脳はこの混乱した状況にあるトランプ大統領を説得して世界を核戦争から救うというほぼ不可能に近いミッションを背負うことになった。

状況を概観すると「カオス」としかいいようがないのだがそれが喜劇のような悲劇なのか、悲劇のような喜劇なのかはとても判断できそうにない。

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