9,200人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方

本日はルネ・ジラール理論を軸に、精神的に変質してゆくアメリカ合衆国について考えている。だがこの理論は、日本人にとっては非常にわかりにくい。その原因を突き詰めていくと、二つの疑問に突き当たる。

第一に、「仮に生贄がなければ内戦状態に突入する」と考えるならば、閉じた世界である日本は万人闘争状態に陥り、大混乱していたはずだが、そうなっていない。日本は構造的に「中空」を作り社会を安定させたことになっているが、これも「なぜ日本は西洋と違って大混乱しなかったのだろう?」という疑問を解決するための理論である。普通の日本人は単に「みんなが好き勝手やっていれば、そりゃ混乱するでしょ」と考えるだろう。

第二に、混乱を避けるためには「内的なエネルギーを外に向ける」という発想が理解しにくい。特にアメリカ合衆国はフロンティア国家であり、そのフロンティアの喪失が内的な緊張に転嫁している。しかしこれも、社会主義的な制度を取り入れた日本人から見れば「絶え間ない競争にさらされていれば、やがて緊張に耐えられなくなる人が大勢出るのは当たり前だよね」ということになる。つまり緊張を緩和したいなら「格差を縮小するための国家制度を取り入れればいいのに……」と考えてしまうのだ。

しかしながら、ルネ・ジラール理論はかなりうまく作られており、結果的に今のアメリカ合衆国の行き詰まりを説明できてしまう。それだけに拡張理論も作りやすい。カトリックは、こうした宗教的派生理論が起こらないように教義を管理してきた。しかしアメリカ合衆国の福音派は宗教権威を頂かないため、独自理論が作られやすい。既存メディアが信頼されなくなっており、ポッドキャストやSNSで独自理論が蔓延し、それをAIによって精緻化する人も出てくるだろう。こうして作られた派生理論が合成され、新しいアメリカ合衆国の精神基盤となり、それが世界情勢に大きな影響を与える可能性も否定できない。

内戦を防ぐために「生贄」が必要という理論は、明らかに「外に敵を作って監視・攻撃しろ」という外敵理論に発展しやすい。これは、持続可能な経済を作るためには経済拡張によって新しいチャンスを生み出すべきだという拡張理論の裏表になっている。しかしその過程で「変形ルネ・ジラール理論」は、通商によって一つに結びついた「リベラル」な世界を破壊する。つまり、日本の戦後繁栄の基盤を突き崩してしまうのである。


本日の議論は4部構成になっています。興味のある方はこちらもご覧ください。

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