9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


日本は憲法を改正して集団自衛に転じるべき 風向きが変わったアメリカからのメッセージ

8〜11分

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ここ最近AIを使い始めたことで閲覧数が減った。これは非常に良い傾向だ。今残ってこの文章を読んでいる人はよく言えば「選ばれた人たち」であり、悪く言えば「ちょっとした変わりもの」ということになる。特に変化や新しい技術を嫌う左派がいなくなったのはいいことだ。日本の安全を守るために憲法改正をして「集団自衛の枠組みを認めるべき」などという議論を聞けばおそらく左派は卒倒するだろう。またそれが日米同盟でないことに右派は動揺しフリーズするはずである。

ただ頭の中にある思い込みを排除できない人たちの相手をするのは時間の無駄である。今回のChatGPT議事録はこちら。

日本の安全保障議論は「感情的な右派」と「感情的な左派」に支配されて身動きが取れない状況にある。

そんな中でアメリカ合衆国からのメッセージングが変わってきた。前回はハドソン研究所(現実派保守)の主張をご紹介したが今回はバイデン政権でインド太平洋安全保障担当だった元国防次官補の「イーライ・ラトナー氏の発言」を紹介する。

人間の目は距離を測るために右と左の目からのズレを利用している。同じものを少し違った方向から見ることで立体視を実現しているのである。同じ用に両方の記事の共通点と違いを読むことで今我々がどんな状況に置かれているのかを読み解くことができる。

両者とも時事通信を通じて世論ではなく「日本のわかる人たち」に対してメッセージを伝えている。

  • 日本を取り巻く安全保障環境は変わり始めている
    • 中国が台頭し
    • アメリカ合衆国も独力で地域を守れなくなっている
  • これに対応するために日本も安全保障政策を見直す必要がある

と言っている。

もちろん違いもある。

  • ハドソン研究所のケネス・ワインスタイン日本部長:中国が日本のフィンランド化を狙っているので、議会に積極的に働きかけることでリーダーシップを発揮すべき
  • バイデン前米政権でインド太平洋安全保障担当の国防次官補を務めたイーライ・ラトナー氏:日本は過度なアメリカ依存をやめて日本・アメリカ・オーストラリア・フィリピンとの集団防衛条約を締結すべき

前者は日米同盟を基軸にして日本が前に出るべきとしているが、後者は周辺国と協力し「脱日米同盟」に転じるべきとしている。また前者は「主体的な行動を」といいながら中国の脅威を煽り立てているが、後者は(日本の憲法制約を理解しつつ)合理的な戦略転換議論が自発的に起きることを期待している。

このラトナー氏の戦略はウクライナ情勢をかなり冷静に織り込んでいる。

トランプ政権は大変不安定な政権でウクライナからの撤退をほのめかしている。ところがこれはNATOにおけるアメリカ合衆国の地位を破壊しかねない。そこで「政権が変わっても撤退が起こらない」制度的な縛りをアメリカ合衆国にかけておきたいという狙いがあるものと考えられる。ただそのためには日本国憲法が障害になってしまうのだ。

今回のChatGPT議事録はこのあたりの違いを精査しつつ「そもそも日本は主体的に動くだろうか」という点について考察した。ChatGPTはこれらの働きかけを有効に活用する方法はアドバイスしてくれるのだが、おそらく高市政権は責任は取らないだろうと考えざるを得ない。

おそらく国家安全保障の問題は「津波=自然災害」のように扱われるだろう。

本来は危険を察知し事前準備をすることはできたはずだが、誰も何もしない。津波が来たあとで「一体誰の責任だったのか?」ということになる。このときに批判されないように官僚たちはすでにエビデンスづくりを始めているということだ。

高市総理の不用意な発言を起点にした中国に関する動揺は、日本が戦略的にどう振る舞うべきかという議論には結びつかず「いったいこの問題は誰のせいなんだ?」という犯人探しにすり替わりつつある。有事が起きた際にもおそらく同じようなことが繰り返されることになるだろう。

こうした将来の議論の帰結は現在の議論の状況からかなり簡単に予想できる。一部の選ばれた人(あるいは風変わりな人)が台湾有事を巡る議論につまらさなを感じるのはおそらく鋭くこのあたりを直感的に掴んでいるからなのではないか。

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