当ブログは、外国人排斥運動に対して自分で要求を出せない人のルサンチマンであり思い込みであるというポジションを取っている。日本には様々な政治課題があるがそれを差し置いてまだありもしない問題に焦点を当てすぎているという気持ちがあるからだ。すると「ルサンチマンだと切り捨てるのは問題である」というコメントが付く。では、どうすればいいのかという気分になる。
そもそも日本政府は国民を騙して事実上の移民政策を隠蔽するのだろうか。
外国人排斥運動は国内にその国の文化を守らない外国人が多数流入することでおきている。アメリカ合衆国やヨーロッパでは現実の問題になっているが日本はまだそのような段階にはない。
しかし、実際に日本政府も事実上の移民政策を推進しているため、この問題は将来「リアルな政治課題」に変化するだろう。
ではそれを未然に防ぐべきではないのかという気持ちを持つ人がいても不思議ではない。
外国人問題について騒ぐ人の明確な欠点は不機嫌さだけを全面に出し「問題のまとめと回答」を他人に依存しているという点にある。学校で議論を教えてこなかった弊害だ。誰かが教科書をまとめてくれるまで誰も何もしないのだ。
「そもそもなぜ各国政府は外国人が将来的に問題を引き起こす事がわかっていながら外国人を導入するのか?」という点を考えてみたい。AI(GEMINI)でまとめると次のようになる。
ドイツは1950年代にイタリアなどからの労働者を呼び寄せ始めた。これがトルコに広がる。ガストアルバイター(アルバイトは仕事という意味のドイツ語)と呼ばれ「ゲスト扱いの短期労働者をローテーションさせる」という政策で、二カ国協議で受け入れていたそうである。
しかしながら、ローテーションを続けるといちいち教育をし直さなければならなくなるため企業はガストアルバイターの定着を求めた。次第にトルコ系住民は定着したが、単に労働者として移入した外国人の社会順化政策は進まなかった。
つまり企業は労働力だけを求めて社会順化(あからさまに言ってしまえば同化政策だが)や送り返しなどのコストを負担する人はいなかったということだ。
アメリカ合衆国にも同様の事情がある。アメリカ経済はコロナで過剰抑制される。その後、回復による急成長が始まるのだがコロナで離職したベビーブーマーたちは職場に戻ってこなかった。このためバイデン政権下では労働力供給問題が起きる可能性があった。すでにバイデン政権の経済政策はインフレを招いたためにこれ以上経済を悪化させることはできないという気持ちがあったのだろう。
Geminiにこの問題を聞くとバイデン政権が移民を受け入れたのは「人道支援」という表向きの回答が返ってくる。ところが、ここで本当は労働制約の解消が目的だったのではと聞くとあっさり認めてしまう。仮に労働力不足が解消できなければ経済が失速する可能性があったと指摘されているそうだ。
バイデン政権は急速に入ってきた移民(730万〜900万人)の受け入れ体制を整えることができなかった。事務処理さえ間に合わず大量の「Undocumented(非文書化)」移民が生まれる。もちろん社会の側で彼らを適切に管理順化させるような体制も整わずさまざまな社会問題が起きている。
この問題があまり取り上げられないのはトランプ大統領のやり方があまりにもめちゃくちゃだからだ。仮にまともな共和党系の大統領が就任していればバイデン政権の欺瞞に満ちた労働力供給政策が議論されていた可能性はある。
いずれにせよ、この基本構造が理解できれば「労働力供給が制約された状態で投資だけを呼び込むとどうなるのか?」という疑問が生じるはずだ。おそらくその答えはコストプッシュ型のインフレだろう。トランプ大統領はH-1Bビザの高額化政策にも着手している。これも高技能人材のコストを釣り上げることになるはずだ。
格差が拡大しているアメリカ合衆国では高額所得者が貪欲な消費を続けている上に経済統計がぼろぼろになっている。経済の実態が明らかになるまでにはまだ時間がかかるかもしれない。
だいたいここまでが「議論をするための基礎知識」ということになる。いわば大学でいう研究に入る前の教養段階の整理レベルだ。さらにここに価格を決定するために需要と供給のグラフなどを加えてもいいかもしれない。
だが、おそらくここまで読み進めた人はほぼ皆無ではないかと思う。それよりも「日本政府は日本人と外国人を置き換えようとしている!」と考えたほうがラクだし楽しい。
では日本では労働制約問題は議論されていないのか。
議論に関心がある人は植田総裁のジャクソンホール演説を挙げて反論するだろう。ただテレビ朝日のプレゼンテーションは日本人の労働参加については触れているが外国人問題は「さらなる議論が必要」とテキストを読み上げているだけにとどまっている。植田総裁発言は「タッチーな問題に触れることで世間を騒がせかねない」という暗黙の了解が働いているのではないかと思う。
では総裁選で各候補はこの問題について何を言っているだろうか。この植田総裁の発言について取り上げる人はおらず質問する記者もいない。代わりに候補者たちは「総量規制」や「管理の厳格化」について触れている。
自民党総裁候補たちの発言は「言わなかったこと」のほうが重要だ。
ドイツの例を踏まえると「産業界からはいずれ定着を要望する声が出てくるだろうが、それにどう対応するのか」という点が重要。地方票に期待する各候補はおそらく何も答えないだろう。
さらにアメリカ合衆国の事例を踏まえるとすでに労働力供給制約が始まっている地方における管理コストを誰が担うのか?という問題が出てくる。例えば小泉進次郎候補は投資の拡大と再成長を訴えているが、労働力制約解消の「手っ取り早い手段(=外国人導入)」なしに投資だけをつぎ込むと植田総裁の言う「賃金の上昇圧力」が高まることになる。
アメリカ合衆国の現状については比較的多くの記事でご紹介しているが、ドイツはどうなっているのだろう。
ドイツは労働力供給制約問題を回避するために多数の移民を入れてきたがウクライナの戦争により別の供給制約が起きた。さらに中国経済が停滞しトランプ関税により需要も停滞している。結果的に今までうまく回ってきた経済が回らなくなり鉄道などのインフラ投資にも事欠く有り様だそうだ。
この制約はドイツの外で起きているため政権交代で解決することはできない。またドイツは戦争の経験から表立った人種差別が行いにくい雰囲気があるそうだ。
結果的に次のようなことが起きているという。
- 経済は停滞しインフラも古びているため、人々は疲れて諦めきっている。
- AfDに期待する人が増えている。
- 地方ではヨソモノを無視する動きがある。明らかな人種差別ではないがもう受け入れたくないという気持ちがあるようだ。
- 都市部でも外国人に対して寛容な人が減っている。
- 表立って移民阻止ができない政府は移民流入ルートの国境で「仄めかすように」警備を強化している。
第二部ではドイツの移民政策の経緯(AIがまとめた経緯とその後)が具体的に語られている。
ここまで読んできた人は「眼の前でそんなことが起きているとは知らなかった」と感じるのではないか。そもそも誰も問題をまとめようとせず、産業政策=成長の問題と外国人問題は完全にこれらを別々の問題であると思い込んでいる。

“日本で急速に湧き上がる外国人排斥とどう向き合うべきか” への2件のフィードバック
こういう日本で急速に湧き上がる外国人排斥が起きる前から、日本には多くの外国人が住んでおり、文化や宗教の違いからすれ違いもあったのは確かだし、日本人同士でも起こりうるので、当然のことだと思います。
そういうの解消するために、地域や行政は色々と工夫と努力(優しい日本語の掲載や義務教育の外国人児童への放課後の日本語教室)を重ねていました。
最近、毎日新聞で「「北九州市がムスリム給食」誤情報拡散→市に苦情殺到 業務に支障も」という記事がありました。とあるブログで「北九州市 令和6年 2月 定例会(第1回) 03月04日-06号」を記載しており、それを読むと、ムスリムやアレルギーを持つ子供の給食に対する配慮の配分をどうするかを考えていることを知りました。
しかし、そういう努力さえも、外国人排斥を煽動する人たちには稼ぎの種にしか見えないのでしょうね。政治家も、共生しようと頑張っている人たちの要望を聞くどころか、自分の地位のために煽動の片棒を担いでいて、呆れてしまいます。
この件についてはQuoraで何回かアンチの人たちと「お話」したんですが、どうも彼らも議論が組み立てられないことは気がついているみたいですね。それをカバーしようとしていろいろな話を持ち出すために話が拡散してしまい議論にならなくなります。