文春が林芳正総務大臣と城内実経済財政担当大臣の政治とカネの問題を取り上げている。スクープとしてはやや小粒で「お祝い電報代わりなんだろうなあ」と言う気がした。有権者は「政治家はなんとなくズルい」という感覚を持ち続け、減税にしか興味を持たなくなるだろう。冷淡な有権者は政治家との協力を拒むが、政治家が成果を上げるためには国民をその気にさせなければならない。
林芳正総務大臣のスクープはポスター貼りをした支援者に5000円を払いさらにポスター監視の名目で5000円を渡していたというもの。城内実経済財政大臣のスクープは自分に自分で家賃を支払っていたというものだ。どちらも涙ぐましい。
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維新のスクープと合わせると「選挙の協力者」になにがしかのお金を渡さないと動いてもらえないということなんだろうと感じる。そのためには「縛り」がきつい政党助成金をロンダリングして自分の懐に入れたり秘書に還流したりしなければならないということだ。
政治は有権者の心を動かすような政策を打ち出せなくなっており、代わりにお金を使って人を動かさざるを得ないという寒々しい実態が浮かび上がる。また、そのために職人芸的な工夫を凝らしているさまは「ご苦労さま」としか言いようがない。
これまでなら「アメリカ合衆国のような政治寄付文化を根付かせるべきだ!」と主張していたところだが、アメリカ合衆国は政治参加がむしろ過激化し政治内戦と言って良い状態を作り出している。
つまりどちらも両極端だと感じる。なかなか程よい政治参加を作り出すのは難しいようだ。
いずれにせよこうしたスキャンダルはおそらく時間をかけて報告書を探るといくらでも出てくるのだろう。コストプッシュ型のインフレが定着し今後も有権者の不満がたまり続けるだろうと考えるとおそらく財源論に踏み込んだ政党・政治家が選挙で懲罰されるという罰ゲーム型の政治が続くのだろうと思う。
成長戦略が軌道に乗るためには日本人がその気になって働かなければならない。結局政治家は他人を動かすことでしか日本をよくできないのだが、今の政治家はその基本を忘れているのだろう。
