9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


救いも出口もないアメリカ、イスラエル、イラン情勢を整理する

7〜11分

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ネタニヤフ首相がトランプ大統領が会談した。国内向けの物語が優先される一方でイランが本当に追い詰められている。そんなイランにロシアが接近し「国内ではなく体制維持を優先しろ」と囁いている。イランが核兵器を開発すれば全面戦争の危険度が上がりサウジアラビアも核兵器開発を真剣に考えざるを得なくなる。

全体像をだけを書くとこんな感じになる。救いも出口もない。

イスラエルのネタニヤフ首相がホワイトハウスを訪問した。ネタニヤフ首相にとっては「イランと対峙するうえで必要なアメリカの支援を得られる唯一の男」であると示すための定期的なメンテナンスだ。

BBCの記事は総論だが、Axiosが詳細に記事を書いている。この一連の記事をもとに状況を分析した。

トランプ大統領にとっては単なる選挙キャンペーンである。ユダヤ系の支援を獲得し「強いアメリカ」を誇示するためにイスラエルが必要。ネタニヤフ首相である必要はないが、トランプ大統領がけしかけなくてもイラン攻撃に邁進してくれる便利な男でもある。

トランプ大統領はネタニヤフ首相の恩赦は近いと表明。イスラエルのヘルツォグ大統領はこれを即座に上書き否定した。このままでは、イスラエルの首相がイスラエル国民の権威を代表するイスラエル大統領ではなくアメリカの大統領に権威を保証された存在になってしまう。憲法のないイスラエルは制度によって支えられているためこれはイスラエルの崩壊を招きかねないという危機感があるのだろう。

一方でアメリカ合衆国のエスタブリッシュメントも恩赦発言がイスラエルから否定されることはわかっていたはずである。つまりトランプ大統領は政権内に居るエスタブリッシュメントに相談しなかった可能性が高い。ここからトランプ大統領が必ずしもネタニヤフ首相の恩赦を求めていないことがわかる。つまり単なる選挙アピールなのだ。

話がここで終われば「単なる政治ショーだった」で済むのだが、実はそうなっていない。イランの政権が追い詰められている。アメリカとの交渉が頓挫したことでイラン・リアルが価値を失い「紙くず化」している。非公式レートでは1ドルは145万リアルなので通貨崩壊・信用崩壊と言って良い。デモが発生し大統領が対策を約束したが政府に財政余地はない。

支援国がない限り、イランの体制を守るためには時間稼ぎを行い強権化を進めるしかない。

一方でロシアはイランが強権化すればするほど有利になる。アメリカがイスラエル支援を放棄する選択肢はないため二正面作戦、三正面作戦に追い込むことができる。現在プーチン大統領は、トランプ大統領に対しては対話姿勢を打ち出しているのだが、ベネズエラを支援しイランも支援している。しかし支援の内容は国民生活向上ではなく兵器開発だ。

イランはスンニ派の国々にいる武装組織に援助を行っている。仮にシーアの盟主であるイランが核兵器開発に追い込まれるとスンニの盟主であるサウジアラビアも対応を余儀なくされるだろう。

つまり世界は核不拡散どころか、核拡散に向けて大きく舵を切ったことになる。

日本のメディアはもちろん「点」は伝えている。しかしけっしてこれらを「線」で結ぶことはしない。「国民に過度な不安を与えるのは良くない」という善意なのだろうが、意図的に自己規制を行っているのだ。

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