国内のどうでもいいドロドロの政局報道を整理していたのでフランスとアメリカについてはさっくり済ませたい。ただ事態はアメリカとフランスの方が格段に深刻だ。
アメリカ関係の話題は「破綻前の手続き」のようなガザ和平交渉と連邦政府閉鎖問題がある。どちらも「ゴタゴタしている」だけの状況なので特にまとめなくても良いと思っている。だが国内事情がどうもおかしくなってきた。
ホワイトハウスが「政府閉鎖中の給料は支払わない」と宣言している。すでに空の安全と安心に影響が出始めているが、トランプ大統領が州兵を民主党都市に差し向けている。「兵隊さん」の給料が支払われないとどうなるのだろう。賃金がもらえない兵士の通り相場は「反乱」と「略奪」に決まっている。お腹をすかせた軍人ほど怖いものはない。
先日ABCニュースが運輸長官の訴えを流していた。CNNも同じ箇所を抜いている。
ダフィー運輸長官は6日、記者会見で、政府閉鎖に陥って以降、病欠する管制官の数が増加していると述べた。「今や、私たちの空域を管制している彼らは、『住宅ローンをどうやって払おうか? 車のローンの支払はどうしよう?』と考えている」
米政府閉鎖が空の移動を直撃、各地で管制塔閉鎖や遅延が発生(CNN)
そもそも管制官は人員が足りていない。人材が逼迫すると一人ひとりの管制官に強い心理的プレッシャーがかかり病欠が増える。ダフィー長官は「請求書のために管制官がバイト(厳密にはUBERだが……)で欠勤しても文句は言えない」と主張している。
しかしながらこれまでは「連邦政府が再開された暁には給料が遅れて支払われる」という前提があった。実際にそういう法律があるのだそうだ。このため「そうはいってもいつかは連邦政府も再開されるんでしょう」と思った。つまり決着してから調べればいいやと考えてきた。
ふとAxiosで「連邦政府は閉鎖中の給料を支払わないかもしれない」とする記事を見つけた。Scoop: White House memo says furloughed federal workers aren’t entitled to back payというタイトルが付いている。そうは言っても「Axiosだしなあ」と感じた。トランプ政権にはかなり批判的な「左より」の記事が多い。ただBloombergも同じ論調で記事を書いており「トランプ政権は本気なんだろう」と感じた。
連邦政府閉鎖はすべて民主党のせいなのだから民主党に対する批判が増えるはずという計算があるのだろう。トランプ大統領の行動はすべて民主党攻撃に向かっている。
この表れが州兵の民主党州・民主党市への派遣である。表向きは治安維持ということになっているが、だんだん主張が常軌を逸したものになってきた。
トランプ大統領はアメリカの治安を守るために働いている。それを邪魔するものは反乱分子とみなすというのである。ついに民主党だけではなく「裁判所」まで反乱分子とみなされそうな勢いだ。
トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、「これまでのところ必要にはなっていないが、反乱法があるのには理由がある」と語った。「もし発動する必要があればそうする。人々が殺され、裁判所や知事、市長らが我々を妨げているような場合は、もちろんやる」
トランプ氏、「反乱法」の発動に言及 州兵派遣を阻む裁判所判断回避で(CNN)
トランプ大統領は民主党との「正義をかけた戦い」に夢中になっており、連邦政府職員が生活のために働いているという現実が見えなくなっている。
ここでふと「そう言えば州兵たちの給料は誰が払っているのか」と思った。予算が通っていないので「別枠のお財布」は存在しない。仮に州兵たちが賃金を受け取れなくなるとどうなるのか?と考えた。
発展途上国では暴動を起こしたり略奪による「自己調達」に走ることになるが、今のところそのような懸念は出ていないようだ。ただ異常事態が続けば懸念されるような状況も生まれるのではないかと感じる。おそらくICEの職員たちにも賃金は支払われていないだろうし、今後日本に展開する米兵も同じ状況に置かれる可能性がある。
