国がやることは一事が万事こんな調子だ。そもそも戸籍に読み仮名が登録されると知らない人も多いことだろうが、読みがな変更を申し出るとその後の年金の受取に遅滞が生じることになるかもしれないと政府が通達している。
読み仮名の記載は1週間後の5月26日に始まるのだが、共同通信は「遅滞が起きる可能性があることが判明した」と言っている。「何を今更」という気がする。
5月26日から戸籍に読み仮名が登録されますよ。一度当ブログとQuoraのスペースでお知らせをしている。当時は「いやそんなの知らなかった」という人も多かった。おそらく未だに知らないという人も相当数いるかも知れない。
千葉市にお知らせハガキについて聞いてみたのだが「5月26日に法律が施行してから出ないと具体的なことは告知できない」と言われてしまった。あくまでも「個人の感想」だが、市長がやる気のない人に変わってから職員ももとのやる気のない状態に戻っている。糠に釘ということわざがぴったりである。
特に自民党・公明党政権が選挙目当てに場当たり的な政策を繰り返すようになってからの疲弊ぶりが顕著になっており「本当にお知らせハガキが届くのかなあ」ということが心配なレベルのやる気のなさだ。
何らかの理由ではがきが来なかった場合に備えて自分で確認する方法を探そうと思った。行政に文句を言っても仕方がない。令和は自己責任社会なのだ。
マイナポータルで確認すればよいのではないかと思ったのだが、マイナポータルは「変更届が出せる」と書かれているだけで「今登録されている読み仮名が確認できる」とは書かれていない。
変更の届け出ができるなら現状も確認できるのが当たり前だが、国に「当たり前」を期待するのは自殺行為である。
施行に合わせ、本籍地のある自治体は全住民に対し、住民票に記載された読み仮名を基に、戸籍に記載予定の読み仮名をはがきで通知。変更を求める場合は、自治体窓口やマイナンバーカード取得者向けサイト「マイナポータル」で届け出る。
戸籍読み仮名、年金遅滞の懸念 変更後に銀行口座と不一致で(共同通信)
どうしてこんな書き方になったのか。
おそらく国は「自分たちが告知をするのは面倒だから地方自治体に丸投げしよう」と思ったのだろう。しかし変更が多くなると地方自治体の窓口が大混乱しかねない。ワイドショーで「またも国の失敗」と報道されると選挙に影響が出る。そこで「申請だけはマイナポータルで出来ますよ」と宣伝しているのだろう。
政府は官僚相手に「国民の都合は無視しましょう」という研修を年に一度やっているのではないか。それくらい「政府ファースト」「住民無視」が徹底している。
これまでは「1年経過すると読み仮名が固定されてしまう」ことが問題だった。ところが安易に読み仮名を変更してしまうと問題が起きるようだ。
一体何を書いているのかよくわからかったので、自分の機能的非識字を自覚しつつ整理してみた。
- 戸籍システムのカナを変更する。
- 戸籍に連動して住基システムのカナ表記 → 変わる
- 住基システムに連動して年金のカナ表記 → 変わる
- しかし銀行に登録されているの振込人表記はそのまま → 変わらない
- 年金のカナ表記と銀行口座のカナ表記がずれる
- 戸籍に読み仮名を記載する5月26日施行の改正戸籍法に関し、年金受給などの場面で問題が生じる懸念が浮上している。
土壇場に「可能性が浮上した」つまり誰もそれまで影響を考えていなかったので慌てて政府通達が出たのだ。「おいおい一週間前ですよ」と突っ込んでしまった。
ただしそもそも戸籍にカナが登録されると知らない人がいることを考えると
- 間違えて登録された結果、
- 戸籍と銀行口座のカナ表示が合わなくなる人が発生し
- なおかつそれに気が付かないままで固定されてしまう
というケースも出てくるんだろう。
政府通達は「マイナポータルを変えたら銀行口座の変更も忘れずに」と通達することで頭が一杯になっており「行政側が間違える」可能性を見落としている。
そもそも国の事務委託に振り回されている地方自治体が真面目に登録作業を行うとは思えない。間違えたら住民が気がついて直してくれるさという前提でかなりいい加減な作業が行われている可能性は否定できない。
