高市総理の読売解散宣言の影響で年始の日曜討論は異様な状況だった。ビデオ収録では「喫緊の課題に全力投球をする」と発言。一方で野党はライブで」「喫緊の課題に注力すると言ったのではなかったのか?」と疑問を呈している。麻生太郎氏は地元で「解散なんかできない」と発言しており根回しも済んでいないことが分かる。一方で政権支持率は高いままだった。
NHKの日曜討論を見た。解散報道=リセットボタンがあったので「中身を聞いても意味はないだろうな」と考えて聞き流したのだが、有権者が高市総理を支持する理由がわかった。抑揚がはっきりした言い切り口調のため聞いていて気持ちがいいのだ。これは吉村大阪府知事・維新代表にも共通している。
ところが立憲民主党の野田代表はライブで「喫緊の課題に注力すると言っていたのは何だったんでしょうね」と言っている。玉木雄一郎国民民主党代表も「合意の前提が崩れた」として予算案への賛成を撤回したそうだ。公明党も政治空白を作るのかと呆れ気味である。
選挙事務を押し付けられる地方自治体も困惑気味だ。ついに安易な解散権を縛るべきではないかと言い出す人も出てきた。
これまで海部総理のような不規則発言を封じるために周囲がわざと流したのか、安倍総理の2014年の成功事例を模倣しようとしてきたのかと分析してきたのだが、どうやら「高市型」はそのどれにも合致しないようだ。
- すでに予算案を策定し閣議決定し、さらに国民会議を設置し、玉木雄一郎氏との間にも具体的な約束をしているのに、それをすべてひっくり返そうとしている。
- 麻生太郎氏が「解散なんかできない」と言っていることから、周囲と調整していない。
元々の報道は「解散を検討」だった。つまり単なるサウンディングか党内引き締めだった可能性がある。しかし、これが2014年の故事と結びついたことで検討が外れて、高市総理が解散するぞということになり、総務省が通達を出したことで既成事実化してしまった。さらに市場も「高市ラリー」を期待して株価上昇・円安の兆しが出ている。
高市総理はこれまでもこうした不規則発言が多い。
- 高市総理は総務省の文書は捏造と決めつけそうでなければ議員辞職すると言い放った。結局発言は撤回できなかったが議員辞職もしなかった。
- 外務省の想定問答を踏み越える台湾有事発言を行い、中国のレアアース輸出規制に発展した。しかし撤回してしまうと一度は方針転換したことになってしまうので撤回できなくなった。
今回も結果的に大騒ぎになってしまい、高市総理はマスコミの取材には応じていない。仮に解散しないとなると「解散が封じられた」事になってしまい影響力が削がれ株価も失速してしまうかもしれない。しかし、おそらく選挙に勝てるような大義は見つけられていないのだろう。
この件で最も恐ろしいのは国民が政治の中身には興味を示さず、高市総理の滑りの良い口調に期待を膨らませているという事実だ。支持率は上昇している。
JNNの世論調査についてYahooニュースで米重克洋氏が「高市政権の支持率が上がる一方で最も支持を伸ばしている政党は国民民主党」と指摘している。今回支持を下げたのは立憲民主党なので、自民党と立憲民主党などの「既得権政党」と、高市早苗総理・国民民主党などの「なんとなく制度がわかっていてなおかつ現状打破してくれそうな人や政党」に対立構造があるとこれが説明しやすい。小泉純一郎・安倍晋三の系譜を受け継ぐ、久々の「わかりやすい総理大臣」である点が好感されているのであろう。仮にここで自民党が勝ってしまうと調整力の不足が露呈し内部から政権が崩壊しかねない。
鈴木幹事長はこの報道が出る前に「国民民主党が連立政権に参加すれば政治が安定する」と言っていた。一体誰のための発言なんだろうかと思っていたのだが、解散総選挙に前のめりになる総理大臣を懸念していたのかもしれない。つまり不安定なのは政治ではなく高市総理だったのだ。
しかし実際には高市総理はおそらく組織をグリップできていない。つまり選挙で勝つことこそが「高市総理の追い込まれ」の始まりになる可能性がある。一方でそもそも党内をまとめきれていないのだから「やっぱり解散できませんでした」となった瞬間にこの政権は終わるだろう。
統一教会の問題が韓国で報じられ始めており「状況が変わる前に選挙を済ませてしまおう」と追い込まれたのではないかと思ったのだが、意外と「単なる引き締め」のつもりが大騒ぎになっているというところなのかもしれない。

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