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思ったよりずっと稚拙だった吉村洋文代表と維新  – 定数削減議論を巡り

8〜12分

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時事通信が「自民党と維新の間に亀裂が入った」と分析している。どこまで本気でそう思っているのだろか?と疑問に感じた。そもそも最初から詰んだ議論だった。時事通信もよくわかっていたはずだ。

今回の定数削減の議論は最初から詰んでいた。支持率が低迷した維新は大阪に利益誘導するために「副首都構想」を必要としている。菅義偉・遠藤敬両氏の間で連立の話が進んでいたが、小泉進次郎氏が総裁選に敗れ一旦白紙になった。これを引き継いだのが高市早苗氏だが、この内閣の目標は政権を維持するためのコストの最小化だ。つまりできるだけ安価に政権を維持しようとしている。

結果的に維新が採用したのが「身を切る改革」だった。政治がコストを支払う意思を示すことで改革姿勢を打ち出すというもの。しかし、実際には維新は「自分たちの利益誘導」のために「他人の議席」を奪い取ろうとしているわけだから当然議論の構造化・モデル化ができない。

モデル化ができないのだから当然「1割削減」の理由付けも」できなかった。

そこで持ち出したのが「そう言えば民主党が1割と言っていた」から「1割が相場なのだ」という理論だ。実は維新はここで「詰んだ」のだ。

時事通信がまとめているように、当時の1割は実はディスカウントされた数字。最初は80議席削減だったそうだ。そしてこれは消費税増税のバーター議論だったのである。国民に消費税を押し付ける代わりに我々も縮小しますという典型的な縮小均衡ゲームだった。

そもそも論を提示して密かに置いておくとは…… 時事通信はいい仕事をする。

翌年にかけての協議会で、座長を務めた民主党の樽床伸二氏は比例80削減に加え、自民党案を丸のみした小選挙区「0増5減」を提案した。だが、公明党など中小政党が反発し、選挙制度の抜本的な改革を要求。樽床氏は軌道修正を重ねた。民主党は比例の削減幅を40に圧縮し、中小政党に有利とされる「小選挙区比例代表連用制」を部分導入する案を示したが、理解は得られなかった。

同時期の国会では、消費税増税も議論されていた。民主党は国民に負担を強いる前提として、議員自身が定数削減により「身を切る」ことにこだわった。曲折の末に12年11月14日、「小選挙区0増5減」と「比例40削減」の計45減を盛り込んだ選挙制度改革関連法案を国会に提出した。

妥協と迷走の「身を切る改革」  歴史から読み解く衆院定数削減【政界Web】


ここで構造を明確にしてしまうと「じゃあ、維新は議員定数削減の代わりに一体我々に何を押し付けてくるんですか?」ということになってしまう。それは消費税増税級の爆弾だ。当然維新には説明ができない。

ここで2つの疑問が湧く。

1つは「この程度の理屈付けしかできない政党がなぜ大阪では大成功してしまったのか」という点。大阪の有権者があまり政治に関心を持っていないのか、あるいは権力を監視するようなメディアが存在しないのであろうと考えざるを得ない。

もう1つは今回の件で表立って維新を支援する人が誰もいないのはなぜかという問題だ。

高市総理の人気は高く高市批判を行うと猛烈な反論が返ってくる。日米同盟を推進していた保守の人たちは連日のように「高市政権は素晴らしい政権だ」と喧伝している。ところが国民民主党と維新にはそのような可視化された支持者がいない。国民民主党は「表では自分は国民民主党支持者と主張できない」人たちに支えられいたが、玉木雄一郎氏が総理大臣になるつもりがないとわかった瞬間に支持率が半減した。

おそらく支持者たちも「自分たちが得をするためには誰かから奪ってくるしかない」と思っているのではないか。典型的なゼロサムゲームだ。これを克服するためには攻撃の矛先を外に向けるしかない。日本人という塊を作って中国などに対峙してみせるしかないのである。

吉村洋文代表は「表では自分のことを維新支持者だと言えない」人たちと戦っている。支持者たちが一体何を期待しているのか本気で定数削減に期待しているのか、あるいはどうでもいいのかが全くわからない。それがわかるのは支持者が静かに宣言なく離反してしまった時なのだ。

高市政権はとにかく面倒なことには関わらない総理大臣だ。円安か金利高かという選択からも逃げてしまった。当然、高市総理が維新の味方をすることはない。結果的に維新は振り上げた拳を下ろすことがきない。時事通信はそれを亀裂といいたかったのかもしれないがそもそも最初から接合などしていなかったのではないか。一体化していないものに「亀裂」などはできるはずはない。

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