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強硬化するが本来の社会構造とは遊離するイラン

5〜8分

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イランの政治を理解するには、まず社会構造を見る必要がある。エマニュエル・トッド氏によれば、イランはもともとペルシャ型の核家族社会である。アラブ的な男系部族社会と比べると女性の力が強いことで知られており、実際にイランでは女性の大学進学率も高い。

イギリスも宗教革命(ピューリタン革命)を経験している。短期的には極端な思想が立ち上がるが、やがて穏健化するのがヨーロッパ型の革命の推移だった。つまり当初の先鋭化した「正しさ」は、時間をかけて角が取れ、次第に丸められていくのである。

その意味では、イランの革命は「長過ぎる」と言ってよい。背景にあるのは、アメリカ合衆国をはじめとする西側の圧力だった。これが当初の過激な革命思想を延命させている。ロイターは「アングル:ほころぶ忠誠派の基盤、イラン新指導者とイスラム体制存続に試練」という記事の中で、忠誠を誓う一部の強硬派が社会を統制しようとしている状況を指摘している。

一方で、急速に高まるアメリカの圧力が、国家総動員体制の構築を可能にしているのもまた事実である。通関の書類手続きのような平時の制度は軽視され、来たるべき戦争に備える体制整備が急速に進んでいる。

この「イランはいずれ穏健化する」という予想に対しては、「北朝鮮やキューバはどうなのか」という反論が予想される。短く答えるならば、経済ネットワークの維持が必要な帝国的規模の経済圏は、北朝鮮やキューバのような閉じた国家にはなれない、ということになる。中国もまた、強過ぎる革命体制は長続きせず、「改革開放路線」を取らざるを得なかった。

アメリカ合衆国は軍事的・経済的には強いが、国家総動員体制を作ることはできない。それどころか短期的な犠牲すら拒否する傾向が強い、「戦争に弱い」社会でもある。中国との比較においては、国民動員や計画経済のような仕組みも導入できない「経済競争に弱い」構造を持っている。一方でイランは軍事的・経済的には弱いが、国家総動員体制は作りやすい。しかしその強さはあくまでも外圧によって強化された短期的な強さであり、持続可能性は低いと見るべきだろう。


本稿は「【特集】アメリカとイラン どちらが悪いのか」の一パートになっています。全体はこちらから。

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