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弱さに直面しなかった私たちが直面する混乱の「鏡」としてのトランプ大統領(4/4)

7〜11分

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今回の分析では、トランプ大統領の「直感の暴走」を起点に考察を行った。しかし最終的に浮かび上がってきたのは、弱さに直面することを避け、SNSへと逃避した人々の欲望が、あたかも巨大な集団的自我のようなものを形成し、それが世界経済すら揺るがしかねないという構図である。

この構図の中では、最終的に個人の生活が破壊される可能性が高い。しかし、一度暴走を始めた集団的自我を、個人の力で制御することは極めて困難である。

一方で、「組織マネジメント」という現実的な観点から見れば、別の示唆も得られる。とりわけラインマネージャー(現場指揮官)から経営層へと移行する過程においては、「自分の得意分野」だけでなく「苦手分野」を正確に把握しておくことが重要になる。そして、それを個人の問題として抱え込むのではなく、「組織として明示的に共有する」仕組みを構築する必要がある。

トランプ大統領の暴走は、「自らに従わない人間」を排除したことによって加速した側面がある。自分自身でシャドウと向き合うことができないのであれば、外部にブレーキとなる仕組みを持つべきである、という教訓が導き出される。

なお、本稿ではユング心理学とMBTIをやや直線的に結びつけて論じたが、本来ユングはMBTI的な類型化に対して批判的な立場を取っている。ユングが重視したのは「劣等機能と向き合い、それを統合していくプロセス」であるのに対し、MBTIはしばしば「自分の強みを理解し、適職選択に活かす」ためのツールとして利用される。そのため、劣等機能の重要性に対する認識は相対的に弱くなりがちである。

さらに、MBTIが自己申告型である以上、「現実の自分」ではなく「理想化された自己像」や「憧れの自己」に引き寄せられてしまう傾向もある。これはかえって自己理解を難しくする要因にもなり得る。

いずれにせよ、トランプ大統領に見られる劣等機能の暴走は、当面のあいだ続く可能性が高く、それに伴う混乱も避けがたいだろう。仮にアメリカとイランの戦争が終結したとしても、それは次なる、より大きな混乱の序章に過ぎない可能性がある。

そして、その流れを個人の力で食い止めることは容易ではない。SNSやAIによって自我が拡張され続ける現代において、「自分たちの限界」を自覚し、謙虚に向き合うこと自体が、ますます困難になっているからである。

「弱さの発見こそが世界を平和にする」と言っても、大げさではない。では、私たちはどのようにして自分の弱さを発見すればよいのだろうか。

最初の一歩は、「気がつけば自然とやっていること」や、「ストレスなく続けられること」を見つけることである。身近に信頼できる友人がいるのであれば、周囲に尋ねてみるのも一つの方法だろう。おそらくそれが、自分にとっての優等機能である。

優等機能が見えてきたならば、次はそれを裏返してみる必要がある。今回の仮説に従えば、その裏側にあるものこそが、自分の「見たくない側面」である可能性が高い。そしてそれは多くの場合、「SNSでは他人に見せたくないもの」として現れる。

人は強みを通じて世界と関わるが、弱さを通じてしか自分自身と向き合うことはできない。だからこそ、直感が冴えていると感じた瞬間や、自分が正しいと強く確信したときほど、「それは本当に現実なのか、それとも願望の増幅に過ぎないのか」と問い直す必要がある。

その問いを持てるかどうかが、個人の破綻と成熟、そして世界の混乱と安定を分ける分岐点になるのかもしれない。

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