9,100人と考えAIとも議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方


岡田克也氏と高市早苗氏は台湾有事発言で何に失敗したのか

10〜16分

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Quoraで高市総理を批判するやつは知能が低いという質問があったので回答をし、このときに意外な発見をした。それが高市早苗総理の答弁のズレである。結果的にこれが中国を刺激し日本が長年積み上げてきた日中関係が崩壊しかけている。

しかしながら高市サポーターたちは問題にはあまり興味がなく「一体この問題で悪いのは誰か」という議論をやりたがっている。悪いのは高市さんのせいではないから考えなくていいと言いたいのだろう。

アイデンティティ化した政治にそれだけ不安を募らせているということになり、極めて不幸なことといえる。

そもそも、今回の問題で岡田克也氏がなぜこんな質問をしたのかがよくわかっていない。おそらく背景にあったのは小西洋之氏らの存在だろう。集団的自衛権の限定的行使容認から10年たったことで既成事実化が進んでいる。創業者の枝野幸男氏が軌道修正を図ったことに小西洋之氏ら原理主義的な護憲派が反発していた。

岡田克也氏はおそらくこの現実路線的な修正を正当化するために(つまり党内事情のために)総理大臣に質問をしたのではないか。内向きな議論であるためその狙いは不明だ。

外務大臣経験者でもある岡田克也氏の計算違いはおそらく高市早苗総理が自分で考えて答弁する(つまり外務省が作ったセーフティガイドを踏み越えてしまう可能性が極めて高い)というリスクを念頭に置かなかった点にあるのではないか。議論が思わぬ方向に転んでしまい「慌てて話題を変えた」と東京新聞に語っている。

つまりまとめると、立憲民主党は党内事情と独特の慣れから不用意な発言を引き出してしまったといえる。

では高市早苗総理は何を間違えたのか。この考察は非常に重要である。安倍元総理の「台湾有事は日本有事」を所与の事実として受け入れてしまいその背景にある意味をよく考察していない可能性がある。しかし高市総理の発言の意図を詳しく聞いた人はいない。むしろ騒ぎの大きさが怖くて高市総理には何も聞けなくなってしまった。安保法制は内閣が初動を決めることを容認しておりこれは極めて危険な状態である。

Quoraの回答の質問者から「お前は全文を読んでいないだろう」との批判コメントが付いたので全文とされるものを読んでみた。確かに冒頭には日米同盟を背景にした文章が出てくるのだがこれは岡田克也氏の発言である。一方で高市早苗総理の発言には台湾しか出てこない。そこでChatGPTに議論をフィードしてみた。

ChatGPTはある程度話を合わせてしまう傾向があるので「議論がズレていますよね」とフィードするのではなく、高市総理の発言にある他国ってどこですか?と聞いてみた。

岡田克也氏は2015年当時の議論について回想しているが、高市総理は将来の想定について回答している。つまりこの議論は二重構造になっており当初の前提が必ずしも受け継がれているとは言えない。むしろこのパートだけが切り取られると「アメリカとは関係なく台湾という他国(北京政府は台湾を中国の一部だと認識しているのだが)を防衛するために自衛隊を派遣する」と読み込まれる可能性がある。

つまり高市総理は問題についてあまり理解しないままに独自見解を答弁してしまった点に瑕疵があることになる。

つまり双方問題があったことになり「あとはご自由に好きな方の根拠で相手を罵ってください」ということになるだろうが、いくら相手を罵っても日中関係はもとに戻らない。

高市支援者の言い分「高市さんが悪者にならないように最大限高市さんの意思を汲んでいいように解釈して差し上げなければならない」というものなのだが、当然北京にある中国共産党政府にそんな義理はない。

この話題は中国でも誤解されているそうだ。戦前の日本はABCD包囲網に囲まれ「存亡の危機にある」という理由で中国大陸に進出した。存立危機事態という漢字の印象が独り歩きしてしまい新たなストーリーが生まれてしまっているようである。

数多くの中国メディアが、「満州事変から真珠湾攻撃に至るまで日本はいわゆる『存亡の危機』を捏造し、徐々に侵略を進めてきた」「『存亡の危機』は、90年以上前の日本による中国侵略の際に用いられた口実と驚くほど似ている」などと報じ、あたかも日本が台湾有事を契機に、中国侵略を始めると報じている。つまり、日本の「存立危機事態」の定義がよく理解されず、誤解が広まっている。日本は対策が急務だ。

日中対立の激化の背景は?中国で著しく誤解される日本の「存立危機事態」の定義 政府がやるべきこととは? #エキスパートトピ(高橋浩祐・ヤフーニュース)

アメリカCNNは「高市首相に向けられる中国の激怒、背景にある本当の理由とは」との中で、終戦後80年の節目を共産党が宣伝するなかで「タイミングが最悪」だったと冷静に分析している。国際秩序も大きく変わりつつあり国際社会は神経質になっている。

高市サポーターたちの発言を聞いていると、彼らの関心は眼の前の日中関係の修復や新しい国際秩序の対応にはないようだ。むしろ「高市さんは悪くない」と主張するのに懸命になっている。そのために槍玉に上がるのが立憲民主党と朝日新聞である。ネットでは朝日新聞が高市発言を面白おかしく取り上げたあとで「しれっとこそっと」見出しを変えたとして話題になっているそうだ。

いわゆるアイデンティティ政治が蔓延している。

高市総理が批判されるとあたかも自分が批判されたような嫌な気分になり「悪いのは朝日新聞だ!」と言いたくなるのかもしれない。たしかに毎日のように自分の悪口を聞かされていると考えれば政治記事を読むのに疲れてしまうだろう。

メディアは「この問題を一体誰がどうするんですかね」と言っているだけであって、新聞を読んでいる「あなた」を攻撃しているわけではないのだが、それは個が確立していない高市サポーターには届かない訴えなのだろう。

“岡田克也氏と高市早苗氏は台湾有事発言で何に失敗したのか” への6件のフィードバック

  1. https://x.com/ystak13am7/status/1990791935171440973?t=bGyGwCzLPmawOr9cRYkLRQ&s=19
    このXのポストを見て、実は高市氏の支持者も氏の能力が高くないと思っているのではないか、と自分も感じました。
    高市氏は支持層の「ネット保守」にとって「最後の砦」であり、高市氏の失脚は彼らのアイデンティティの崩壊を意味する。しかし高市氏の政治家としての能力は高くないため、「彼女を守らなければならない」と動いた支持者は図らずも、まるで無邪気な子供を擁護する親のような振る舞いになっている、と思いました。

    1. なるほど。「保護者的な」ということなんですかね。まあ色んな方がいらっしゃるんでしょうけど。

    2. 匿名を希望のアバター
      匿名を希望

      個人的には親と子の立場が逆な気がしますけど。ありのままの自分達を無条件で
      肯定してくれる強い親としての高市氏を強く求めてる感もある気はしますし。
      今まで安部氏がその役割を担っててそれを暗殺で失ったトラウマがあるから余計に
      高市氏にしがみついてるんじゃないかと思います。
      まあ慰撫で依存させる事で支持を得続けてきた結果がこれなんでしょう。

      1. まあ、誰しも何かしら心の拠り所みたいなもんが必要なのかもしれないっすね。

        1. 匿名を希望のアバター
          匿名を希望

          必要なのは確かなんですけどその辺拗らせて信仰レベルになったり
          幻想を抱く様になったりする場合があるのが厄介なんですよね。

          1. 宗教ってそういうもんすよねというと敵が増えるんだろうなあ……