テレビ朝日は左翼で野党よりと考える人も多い。久米宏のニュースステーションの印象があるからだろう。しかし、羽鳥慎一のモーニングショーで玉川徹氏が自民党の小泉進次郎氏を強く推している。政党が政策をまとめる単位ではなくなっていることがわかる。
テレビ局が一つの姿勢を持つことは悪いことではないが果たしてこれが日本の未来にとっていいことなのか悪いことなのかは改めて考えたほうが良さそうだ。
羽鳥慎一氏が玉川徹氏に遠慮していることは間違いないが、玉川氏に遠慮しているのかその背景にいる誰かに遠慮しているのかはよくわからない。
先日お伝えしたように読売新聞は社内文化的に日米同盟推進。さらに政局は自分たちで作り出すものと考えている。強い政治部は渡辺恒雄氏以来の伝統。一部では社長が政治部を統制できていないなどと伝わるが読売新聞はこれを否定している。
同じように産経新聞とフジテレビも自民党を支援してきたこちらは「天皇」と呼ばれることもあった日枝久さんの個人的なつながりに依拠していた。日枝氏が失脚しこのような強い体制が残るのはテレビ朝日だけになってしまった。
そんなテレビ朝日の朝のワイドショーが小泉進次郎氏を推している。玉川徹氏は日本の米作に強い思いれを持っており乾田直播や大規模化を推進してきた。石破茂総理大臣や小泉進次郎氏が同じ考えを持っているとされている。玉川氏は自分の考えを「日本の将来のためになる」と自信を持って考えているようだ。これ自体は悪いことではない。
この番組はタイトルが羽鳥慎一のモーニングショーと言うことになっているが羽鳥氏が玉川徹氏の発言を否定するようなことはない。玉川徹氏の力は強く現役の政治部長ですら逆らえない。
玉川氏が視聴率に大いに貢献しているのかあるいは背景にあるなにか強い意見を代表しているのかは非常に興味深いところである。
このプレゼンテーションでは小泉進次郎氏は次世代型のビジョンを持ったリーダーとして描かれており「次期総理大臣にふさわしい」骨太な印象を持つ。
しかしながらよくよく話を聞いてみると「これまでの自民党はBtoBだったがこれからはBtoCだ」とわかるようなわからないような例えを使っており安定の不安定さを示している。かなり受け売り発言が多い方なのではないかと思う。
自民党の中にも表紙を爽やかにして刷新感を出そうという動きがあるようだ。森山幹事長が小泉農水大臣とともに鹿児島県の豪雨災害被災地を訪問していた。メディアでは一貫して小泉氏が発言ばかりを放映しており「森山氏が付き従っているか」のような印象。
ところが小泉進次郎農水大臣のBtoC構想は要するに「これまでの支援団体を切り捨てて無党派層対策に重点を置く」という宣言になる。森山幹事長は自民党側の農業対策の新組織のトップに江藤拓前農水大臣を充てることにした。小泉氏に華やかな役割をもたせつつ既得権はしっかり維持しようとしている。
日経新聞の見出しは「自民党、江藤拓前農相トップにコメ増産議論 小泉改革を警戒」となっている。
小泉氏はあくまでもお神輿であって既得権は絶対に渡さないぞという強い意欲を感じる。
主語をテレビ朝日にするか玉川徹氏にするかは迷うところだが一つの政権や政策に強い思い入れを持つと結果的に中身のない改革を推進し既得権の延命に力を貸してしまうことになる。またテレビ局もメディアも表向きは公平さを謳いつつ自分たちの主張を通すために無理やりな宣伝を行うことが増えた。中には青年将校的な号外を打ち政局を混乱させている可能性のある新聞社まである。
